とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

最悪の相性















「とりあえず警報を鳴らさないと」

楓先輩が慌てて近くにあった非常時ボタンを押すが何も起こらない。

「無駄だよ。私の能力でこのホテル内の機械を全てハッキングしてあるからね…」

黒フードの1人、穂花がそう呟く。

「さて、では私はターゲットを捕獲に向かう。ミィリィ、ここはお前と穂花に任せた」

「りょーかい、適当にこの子達と遊んであげればいいのよね?どっちも強そうだから楽しみ〜ターゲットの捕獲が終わったらすぐに穂花を連れて離脱してよね。エルザ」

「ふん、私が戻ってくるまでに戦いを終わらせておけよ」

エルザと呼ばれるフードはそう呟きながら近くの壁に触れた。次の瞬間、ずるずるとフードは壁に吸い込まれた。

「何、今の…」

「ふふふ、エルザの能力は壁を自由にすり抜けられる。少し遠回りをしてすぐにそっちの部屋に入っちゃうわよ」

ミィリィはニヤリと笑いながらミカさんと楓先輩に言う。

「楓さん、すぐに部屋の中へ!ここは私が引き受けます」
「わかりました。ミカさん、お願いします」

楓先輩はそう言いながら自動ドアの前に立つが開かない。

「ごめんなさい。その自動ドアもハッキングして動かなくしちゃいました」

穂花と呼ばれるフードが呟く。楓先輩は咄嗟に扉を破壊しようとするが、この扉は地震が起きても壊れない、どんな衝撃にも耐えられる仕様になっているので楓先輩では破壊できなかった。

「さあて、じゃあ、さっそく遊びましょうか」

そう言いながらミィリィと呼ばれるフードが前に出た。楓先輩とミカさんは戦闘態勢に入る。

「ミカさん、隙を見てあのハッキングフードを倒します」
「ええ、わかりました」

ミカさんと楓先輩、2人の矛先がミィリィと呼ばれるフードに向く。

「武装ドローン展開、敵を迎撃…」

穂花がそう呟くと部屋の中にドローンが10機入ってくる。ドローンは銃などの武装をしていて狙いを楓先輩とミカさんに定める。

「なるほどね、ハッキングの能力でドローンを強制的に自動操縦にしてるのか…厄介ね…」
「10機…楓さん、あのドローンは私が破壊します。楓さんは敵の撃退をお願いします」

ミカさんはそう言いながら10本の剣を展開してドローンに向ける。

「穂花、あの剣使いはあんたに任せる。私はあっちの子をやるから…すごく強そうだし楽しみだわ〜」

「エルザさんが戻るまでに片付けてくださいよ〜」

「わかってるわよ〜」

ミィリィはそう言いながら楓先輩の目の前に移動する。

「さて、楽しく遊びましょうね」

「遊びにならないと思うわよ」

ミィリィの拳を受け止めながら楓先輩が呟く。そして楓先輩は一気にミィリィに電気を流し込む。が、身の危険を感じたミィリィは慌てて少し下がり楓先輩から距離をとった。

「電気使いかな…厄介ね、近づけないじゃない」

ミィリィはそう言いながら指をパチンと鳴らす。するとミィリィの側に4つの鏡のようなものが現れる。

楓先輩は電気を直線上に飛ばす。するとミィリィは鏡を自分の前に移動させて楓先輩の電気とぶつける。

「いただきま〜す」

ミィリィがそう呟いた頃には楓先輩が放った電気は消滅していた。

「これ、倍にして返すね〜」

ミィリィがそう言うとミィリィの鏡の1つが光りだす。そして光り出した鏡から大量の電気が楓先輩目掛けて一直線に発射された。楓先輩は慌てて電気を放ちミィリィが放った電気の軌道を逸らした。

「鏡で吸収して威力を挙げて放つことができる能力?厄介ね…」

「うーん、まあそんな感じだよ。それにたぶんあなたが思っているのより数倍厄介だと思うよ」

ミィリィはにやにや笑いながら楓先輩に言う。現在、楓先輩の攻撃方法は電気を放つ以外にない、周囲に砂鉄や鉄の塊でもあればいいのだが、すごく綺麗なホテルの室内、楓先輩が操れるものはほとんどない。そして唯一の攻撃手段は吸収される。ミィリィと楓先輩の今の相性は最悪だった。




















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