とある学園生活は制限付き能力とともに
前哨戦後
「ふう、ゆき姉強すぎだよ…」
前哨戦を終えた僕とゆき姉は学園側の人間から今日の報酬のお金を受け取った。やばい、かなりいいバイトになるなこれ…
「晴樹が私に勝ってくれないから返事聞けないんだけど…」
「ごめんなさい…ていうかゆき姉が本気になった瞬間僕を凍死させたのが悪いんでしょ!観客席も急に盛り下がったじゃん」
そう、ゆき姉の両目が変色したことによりゆき姉の本気が見られると思った観客席は今日一番の盛り上がりを見せた。だが、ゆき姉が僕を瞬殺したため観客席は静寂に包まれた。
「ごめん…本気になったら周りの冷気の調整ができないの…次からは本気になる前に倒して」
「なかなか無茶なことを言ってくださる…」
「晴樹の能力ならできるでしょ…ていうかあの能力何?どんな能力持ってんの?」
「あー、僕が知ってる能力を全て制限なしで使える能力かな…」
「何それチート…」
初めて僕の能力を知った時の花実と同じ反応をしてくれるな…
「まあ、制限のせいで最大11分しか能力が使えないんだけどね…」
どうやらバーチャルリアリティ空間で能力を11分使っても現実で11分使えるらしい。バーチャルリアリティ空間では試合ごとに11分フルで使えるようだ。
「なるほど、じゃあ次からは長期戦になるようにするわ…」
「長期戦ねぇ…長期戦になる前にゆき姉が本気になって詰みだよ」
「そうね…」
ゆき姉が本気になるまで約5・6分といったところだろう。ぶっちゃけゆき姉が本気になったら勝ち目はない、次は5分以内に決めないとな…
「さて、じゃあ返事を先延ばしにした罰として今日の夕飯は晴樹のおごりね…」
「え、ゆき姉がおごってくれるんじゃ…」
「こんなかわいい女の子と一緒に食事に行って女の子におごらせる気?」
自分のことかわいいとか言うなよ……まあ、実際にかわいいから否定できないけど……
「わかったよ。僕のおごりでいいよ。何食べたい?」
「焼肉」
遠慮ねえな…まあ、前哨戦のおかげでだいぶお金が入ったからいいけど…
「わかった。じゃあ近くの焼肉屋に行こうか…」
「うん。あと晴樹…疲れて歩けないからおんぶして…」
「嘘つくな…」
さっきまでピンピンしてたじゃねえか…
「じゃあ、手を引いて…」
「まあ、それくらいならいいけど」
僕はゆき姉の手を取り手を繋いで歩き始める。
「あれ?晴樹さんじゃないですか、こんなところで何してるんですか?って…白雪姫様!」
「あんた、何で白雪姫様と一緒にいるのよ」
ダイナと花実が驚きながら僕に尋ねる。
「2人とも晴樹の友達?」
「え、あっはい」
ゆき姉の問いに対して花実が慌てて返事をする。
「そう、じゃあ一緒に焼肉行きましょう。晴樹がおごってくれるから」
えっ、ちょ…ゆき姉、それはあかん…
「え、あっ、はい。ていうか晴樹、あんた白雪姫様とどういう関係なの?」
「え、ああ、ゆき姉は昔近所に住んでた幼馴染なんだよ。僕にとってお姉ちゃんみたいな人」
「へえ、晴樹は私のことお姉ちゃんって思ってたんだ」
ゆき姉が少し嬉しそうに僕の方を見ていう。ちょっ、そんな顔で見ないでよ。恥ずかしいだろ…
「で、どうする?晴樹のおごりだけど一緒に行く?」
「晴樹のおごりなら是非!」
「お邪魔じゃないならご一緒させていただきたいです」
「というわけだから晴樹、4人で行きましょう」
こうして僕はゆき姉と花実とダイナに焼肉をおごることになった…
「うまー、焼肉食べるの久しぶりだわー」
花実が肉を口にほうばりながら言う。ゆき姉も肉を夢中になって食べている。
「白雪姫様って結構食べるんですね…てっきりあまり食べないと思ってましたが…」
すごい勢いで肉を食べる花実とゆき姉を見てダイナが呟く。
「ゆき姉は昔からめっちゃ食べるよ。花実も…」
せめて食べ放題の店だったらよかったのだが近くに食べ放題の焼肉屋がなかったため普通の焼肉屋になってしまった。まあ、前哨戦でもらったお金があるから足りないということはありえないが…ぶっちゃけかなりもらえたし…
「あの、花実ちゃんとダイナちゃん…その、白雪姫って呼ぶのやめてくれないかな?ちょっと恥ずかしいから…」
肉を食べながらゆき姉がダイナと花実に言う。
「わかりました。えーと、じゃあ、ゆきさんでいいでしょうか?」
「うん。それでいい…花実ちゃんもそう呼んで…」
ゆき姉がすごい勢いで肉を食べ続ける花実に言う。
「わかひまひた!」
肉を大量に口に入れた状態で喋るな、行儀悪いぞ…一応女の子なんだからそれくらい気をつけろよ…
「ふう〜食べた食べた〜」
「美味しかった。満腹…」
「美味しかったです。晴樹さん、ごちそう様です」
花実とゆき姉食べすぎ…僕とダイナが食べた量の5倍は食ってるだろ…
「お会計3万2500円になります」
………高校生4人が焼肉屋で払う額じゃねえだろこれ…まあ、前哨戦でもっと稼いだからいいけど…
「ふう、さて、じゃあ帰りましょうか、みんな家は何処なの?」
「私たちはみんな同じアパートですよ。すぐそこのアパートなんですけど」
「へえ、私も近くのアパートなの、方向も一緒みたいだし途中まで一緒に帰りましょう」
この後ゆき姉のいう近くのアパート=僕たちと同じアパートということが判明しとても驚いた。
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