とある学園生活は制限付き能力とともに
無敗
ゆき姉がリンリン先輩目掛けて再び氷の柱を伸ばす。すると今までならゆき姉の攻撃を躱していたリンリン先輩はゆき姉の攻撃を躱そうとせずにゆき姉の攻撃を迎え撃とうとする。
「さあ、準備は整った。我が最高の爆裂をくらうがいい!」
リンリン先輩が勢いよくそう言い放ちゆき姉が伸ばした氷の柱を全力で殴りつける。するとゆき姉の氷の柱が爆発して消滅する。
「あれが爆裂姫の能力みたいですね」
リンリン先輩を見ながらダイナが呟く。
「ダイナはあの人の能力を知ってるの?」
「はい。爆裂姫の能力は触れたものを爆弾に変えてしまう能力、爆弾に変えられた物は爆裂姫の望む時に爆発します。しかも爆裂姫は自分の能力で発生して爆発には一切巻き込まれません」
「どゆこと?」
ダイナの言うことがあまり理解できなかった僕がダイナに再び尋ねる。
「簡単に言うとあの人の能力で爆発に変えたものは自由に爆発させることができて能力で作った爆弾ではダメージを受けないんです」
「….…なにそれ、チート…」
「あんたが言う?」
僕の発言に花実がツッコミを入れる。いや、僕の場合は制限が酷すぎるからあまりチートではないと思うけど…
「それよりもゆき姉やばそうだな…」
「ゆき姉?」
「僕の幼馴染なんだ。ゆき姉は…」
「それよりもやばいってどういうこと?明らかに白雪姫が優勢じゃん」
僕とダイナの会話に花実が割り込んでくる。
「爆裂姫の能力は触れたものを爆弾に変える…先程みたいに白雪姫の氷の柱も爆弾に変えることができます」
「あっ…」
ダイナがここまで言ってようやくわかったらしい。ゆき姉は序盤から氷の柱を大量に作ってしまった。そしてリンリン先輩は氷の柱を躱すふりをしながらゆき姉の氷の柱に触れていた。つまりゆき姉の周りにある氷の柱は全てリンリン先輩の爆弾に変わっている。
「おかしい…ゆき姉がこんなミスをするわけがない…」
相手の能力をわかっているはずのゆき姉がみすみす相手に有利になるような展開を許すはずがない。
「ふふふ、白雪姫よ!覚悟はできたか!我に負ける覚悟は….」
「詰んだわね。白雪姫の勝ちよ」
「え?」
リンリン先輩が決め台詞を言っている中僕達の後ろに現れた女の子が僕達に言う。
「さあ!我が最高の爆裂を味わうが…」
リンリン先輩が氷の柱を爆発させようと決め台詞を述べている途中で地面から伸びて来た氷の柱がリンリン先輩を貫いた。リンリン先輩の体はその場から消える。ゆき姉の勝ちだ。
「なるほど、まさか地面から氷の柱を伸ばすなんて….」
「昔、私もあれにやられたのよ。あいつがあれを使ったのはその1回だけ、爆裂姫が知らなくても無理はないわ…」
僕達の後ろにいた女の子はそう言いながら立ち去っていった。
「さて、ランキング戦も終わったことだしはやく第11番基地に行きましょう」
花実がそう言いながら勢いよく立ち上がる。
「悪いけど先に言ってて、ちょっとゆき姉に会ってくるから」
「わかりました。ではまた後でお会いしましょう」
「じゃあ、また後でね」
ダイナと花実が去っていくのを見送り僕はゆき姉のもとに向かう。
「ゆき姉」
「あっ、晴樹…どうしたの?」
「え、いや…なんかゆき姉ともう少し話したくて来ちゃった」
「甘えんぼ…」
「別にいいじゃん、久しぶりに会ったんだしさ….そういえばすごかったね。ゆき姉強かったよ。ゆき姉のはどんな能力なの?」
さっきのランキング戦を見てもゆき姉の能力はよくわからなかった。
「私の能力は氷を自由に出して自由に操れる。温度や硬さもある程度の自由は効く」
「じゃあやっぱりさっきのランキング戦の序盤はリンリン先輩をはめるためのプラフ?」
「ええ、案の定引っかかってくれて助かったわ…そういえば晴樹もsランクの能力を持ってるんだよね?ランキング戦は参加するの?」
「うーん、悩んでるんだよね。ガーディアンズの仕事もあるし…」
ぶっちゃけガーディアンズの仕事とランキング戦の掛け持ちはきつそうだしな…
「それなら大丈夫…ガーディアンズの仕事がない日にランキング戦の日程は調整してくれるから…」
「そうなんだ…じゃあ、やってみようかな…」
僕がそういうとゆき姉はすごく嬉しそうな表情になった。
「よかった。ぶっちゃけ爆裂姫とかが弱すぎて飽きてたの…期待してるから…」
何それ怖い……
「あと晴樹…昔、私が引っ越した時の返事も待ってるから…」
「うん。ちゃんと返事はするよ。もう少しだけ待ってくれない?」
「再開した時に返事するって約束だった…」
「ごめん、まさかこんなにはやく再開するとは思ってなくて….」
「まあ、いい…いい返事待ってるから…」
ゆき姉は僕にそう言い残して去っていった。ちゃんとゆき姉への返事を考えないとな…
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