とある学園生活は制限付き能力とともに
絶対守ってみせる
「晴樹…なんでここに…」
花実が泣きそうな顔をしながら僕に尋ねる。
「あいつらの仲間同士の連絡を聞いて急いで駆けつけたんだ。大丈夫か、怪我とかしてない?」
「うん…ありがと、助けてくれて…」
「あのさ、君さ、せっかく僕がその子を殺して自由になろうとしたのにさ…なんで邪魔するんだよ」
「なんでって僕にとって大切な人を殺そうとするのを止めないわけがないだろ」
「えっ…晴樹…今、私のことを大切な人って…」
花実は顔を赤くしながら小さな声で呟いた。
「はあ…まあ、そうだよね。僕がその子を殺そうとしたら邪魔するよね…だったら君から殺してあげるよ。そうすれば君は僕がその子を殺す邪魔ができた状態で死ねるし僕は殺せる獲物が増える。お互いにとっていい話だろ?」
「悪いが僕は死なないし花実は殺させない、ついでにお前は牢屋にぶち込んでやるから覚悟しとけ」
「ふう…そうやってできないことを大声で叫ぶのはどうかと思うよ…まあ、僕には関係ないからどうでもいいけど…」
「花実、僕の手を握ってて…」
僕はそう言いながら花実に手を差し出す。
「ひょえ?」
花実が顔を赤くしながら変な声を出す。
「嫌かもしれないけど、はやくしてくれ…もう少しでテレポートの効果が切れそうだから…」
「あっ、うんごめん。一応言っておくけど晴樹と手を繋ぐの、嫌じゃないから…あと、しっかり私を守ってよね」
花実がそう言いながら両手で僕が差し出した手を強く握りしめる。
「わかってる。花実は絶対に僕が守るから安心して…」
「うん。お願いね…」
花実が優しく笑いながら僕の手を握る強さを強める。
「花実、移動するよ」
「わかった」
花実は僕にそう返事をして僕の左側に抱きついた。
「!?」
テレポートして男に蹴りを入れながら僕は驚愕した。
「ちょっ…花実、急にどしたの?」
「こうしてれば絶対に晴樹を離さないから…それにこうしてたらなんか落ち着くの……」
「そう、まあ僕は気にしないから大丈夫だよ」
とは言え肩にあたっている花実の胸は少し気になるが……花実って意外と大きいんだな……
「花実、絶対に僕から離れないでよ」
「わかってるって」
僕は次から次へとテレポートを繰り返し男に次から次へと攻撃を仕掛けていく。
「やばっ…もう切れたか……」
男を蹴りつけた後、テレポートが使えなくなっているのに気づいた僕は一旦能力を使うのをやめて男から距離を取る。
「晴樹、どうするの?」
「あいつの能力がわからないからな…無理に別の能力で攻めるよりも今みたいにテレポートでじわじわとやっていこう….…」
「わかった。私に何かできることはない?」
「そうだな…今みたいにじっと僕に引っ付いてくれてればいいよ。花実がそうしてくれてると花実を守らないとって強く思えるからさ…」
「わかった……あんがとね………」
花実は僕に聞こえないように小さな声で僕に礼を言った。
「花実、またテレポートを使うよ。しっかりつかまってて…」
「うん」
僕は再びテレポートを発動させて男を蹴りつけようとする。
「そこに来るんだろ…もう、見切ったよ」
男は僕が移動した方向にナイフを投げつける。
「なっ、まずい…」
ナイフが花実に当たると思われた直前、たまたま花実の靴が脱げて飛んで行きナイフに当たりナイフの軌道を逸らす。
「ふう、助かった」
僕はホッとしながらテレポートを使い男から離れる。
「今度はそこに移動するんだろ」
男は僕が移動した場所目掛けて勢いよくナイフを投げつける。
「やばっ…」
ナイフが僕に当たる直前、急に突風が発生しナイフの軌道を変えた。
「ちっ…またか…運がいいなお前ら…」
「運がいい…花実のおかげかな。ありがとな花実」
「え?私の能力?そうなのかな…」
何故か花実が顔を赤くして僕から目線を外す。
「急にどうしたの?」
「べ、別に何でもないわよ………私の能力のおかげって…もしかして私、本当に晴樹のことを好きに……」
花実が小さな声で呟くが、僕の耳には聞こえなかった。
「何であいつは僕達がテレポートで移動する場所がわかるんだ…」
「ふふふ…謎を残したままあの世に行くのはかわいそうだし教えてあげるよ。僕の能力は予測力を格段に向上させる能力、始めに何回か君の攻撃をくらい続けたのは予測をより正確にするため、君の移動パターンはわかった。君に勝ち目はない、大人しくしてくれたら2人仲良く同時に殺してあげるけどどうする?」
「なるほど、テレポートが効かないのは厄介だけどお前は僕の能力の予測をミスったみたいだな。僕の能力はテレポートじゃないぞ」
「ふふふ…面白いハッタリだね。じゃあ見せてくれよ。君の能力を」
「ああ、今から見せてやるよ」
とは言え僕の能力は残り3分しか使えない。その間にあいつの予測能力を上回らなければ僕に勝ち目はなかった。
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