とある学園生活は制限付き能力とともに
ナンバーズ
「こいつはちょっとやばそうなのかしら…晴樹、気を抜くんじゃないのよ」
ヴィオラ先輩が巨大なネジを作りながら僕に言う。
「わかってます。とりあえず、僕が敵を引きつけるんでヴィオラ先輩は隙を見てネジを撃ってください」
「わかったのかしら」
ヴィオラ先輩の返事を聞いて僕はテレポートで男の真後ろに移動し蹴りを入れようとするがテレポートで移動した瞬間、男に足を掴まれた。
「同じ手に二度も引っかかるわけないだろ」
男は掴んだ僕の足を振り上げ僕を床に叩きつけようとしたが僕は地面に叩きつけられる直前に再びテレポートを使い男の後ろに回り込み男を殴りつける。僕に殴られた男は少しふらつきながら倒れそうになった。
「チャンスなのかしら」
ヴィオラ先輩がそう言いながらネジを男に向けて乱射する。ネジが次々と男に当たり男は倒れる。
「やった…のかしら…」
「ヴィオラ先輩、妙なフラグを立てるのはやめてくださいよ〜」
僕がヴィオラ先輩に冗談みたいな感じで言うとどさっという音を立てながら男は立ち上がった。
「ヴィオラ先輩、あの人ちゃんとヴィオラ先輩のフラグを回収してくれましたね」
「あいつが立ち上がったのを私のせいみたいな感じにするんじゃないのかしら」
ヴィオラ先輩が頬っぺたを膨らませながら言う。あっ、かわいい…今はそんなこと考えている場合じゃないということを思い出して僕はヴィオラ先輩に近づく。
「ヴィオラ先輩、すみません。もうテレポートの効果が切れちゃいました」
「何をやってるのよ…まあ、いいかしら私があいつを倒すからお前は少し見てるといいのかしら」
「おいおい、レヴナントが誇るナンバーズの一員である俺を相手に一人で戦う気かよ」
「ナンバーズ?」
「なんだ、知らねえのか…ナンバーズってのはレヴナントが誇る最恐の軍団、ナンバーズメンバーは5人、ナンバーズメンバーはレヴナントに捕らえられた最悪の悪人の集団だ。全員が殺しのプロ、そして今、ナンバーズメンバーにある依頼がレヴナントからやってきた。とりあえず俺にしか依頼は来てないみたいだが依頼内容は貴様ら侵入者を殺すもしくは捕らえること…まあ、捕らえるって選択肢は俺にはないがな…そして依頼達成の暁には俺を解放すると…俺の自由のために貴様らには死んで貰おう…」
「なんだ、要するにレヴナントに飼われている負け犬が私達に返り討ちにされに来たってことかしら…長々と説明ご苦労なことなのよ…」
「俺が負け犬…だと…」
「実際そうなのかしら…要するにあんたたちはレヴナントに負けて捕らえられていたのよ。それをレヴナントに負けてレヴナントに飼われている負け犬と以外なんていうのかしら…」
ヴィオラ先輩がそう言いながら男をあざ笑う。
「殺してやる!俺を侮辱したことを後悔させながら死ぬがいい」
男が目の色を変えて叫びながらヴィオラ先輩に襲いかかる。
「すぐに挑発に乗るのはよくないと思うのよ。しっかり周りを見て、安全をよく確認するのが大切なのかしら…」
ヴィオラ先輩がそう呟きながら男に背を向ける。
「調子に乗ってんじゃねえ!死ね」
男の手がヴィオラ先輩に触れる直前、無数のネジがあちこちから発射される。ネジは次々と男に直撃する。どうやらヴィオラ先輩は僕が男と戦っている間にあちこちにネジを仕掛けていたみたいだ。
「この程度で…」
「たしかにその程度じゃお前を倒せないのかしら…そのままじゃ…ね…」
ヴィオラ先輩が振り向きながら指をパチンと鳴らすと男に当たっているネジに回転が加わる。次から次へとネジに回転が加わり男は叫び出す。
「そんなに喚かなくても今、楽にしてやるのかしら…」
ヴィオラ先輩が左手をあげて5メートル程はありそうなネジを作り出し男に少しずつ近づいていく。
「やめろ…くるな……」
「これで終わりなのかしら…」
ヴィオラ先輩は不敵な笑みを浮かべながらネジを上に放り投げる。ネジは放物線を描きながら男に近づいていく。
「いや、やめ…」
ネジが男に当たる直前、男は完全に気を失った。ちなみにヴィオラ先輩が男に向けて放り投げたネジは中身が空洞でかなり軽いネジだった。
「さて、とりあえずこいつを縛り付けて先に進むのかしら…」
ヴィオラ先輩はバッグにしまっていたロープを取り出して男を巨大な柱に縛り付けた。
「さあ、先に進むのかしら…」
ヴィオラ先輩がそう言いながら走り出したので僕もヴィオラ先輩の後を追う。
僕とヴィオラ先輩が居なくなってから数分後…
2と書かれた扉と3と書かれた扉が開いた。
「うわぁ、こいつ完全に気を失ってるじゃん」
「見るに耐えんな…」
そう言いながら3と書かれた男は容赦なく1と書かれて男の命を絶った。
「相変わらず容赦ないね…」
「負けたこいつが悪い…弱い者をいかしておく意味はない」
「そう…まあ、とりあえず依頼を達成しようか。侵入者は何処にいるのかな?」
「侵入者は複数いるらしいからな、こいつがここで縛り付けられていたことから最低でも1人は先に進んだな…」
「じゃあ、俺がそいつを追いかけていいかい?」
「……構わん。では俺はここで守りに就こう」
「じゃあよろしくね〜」
2と書かれた男はそう言い残してその場を去って行った。
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