とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

能力の暴走











「えーと、どうしますか?杏奈先生……」

花実がアビリティア本部に迫るレヴナントの軍隊を見て言う。

「まさかアビリティアまで攻めて来るとは思いませんでしたね…とりあえずアビリティア内にいる戦闘員は出撃してください。全員で迎え撃ちます。アビリティア内の非戦闘員は武器を持ってアビリティア内で待機、アビリティアに入ってこようとする敵は撃ってかまいません」

杏奈先生の指示を聞きアビリティア内が慌ただしく動き出した。アビリティア内にいる戦闘員は約1000人、相手は軽く10倍はいそうだ……

「杏奈先生、私も出ます」

志穂先輩が杏奈先生にそう言うが杏奈先生が志穂先輩を止める。

「杏奈先生、すみません。私も戦いたいんです。みんなを守りたい…」

志穂先輩がそう言いながら服を脱いで消えた。

「仕方ありませんね。ちゃんと戻って来てくださいよ。志穂ちゃんにもしものことがあったら楓ちゃんに殺されちゃいますから…」

杏奈先生が志穂先輩の服を拾い集めながら言う。

「わかりました」

「花実ちゃんとティナちゃんと当夜君はこっちに来てください」

杏奈先生の案内に従い花実達は場所を移動する。

「そんな……」

花実達が少し目を離していた間にアビリティアの前は乱戦状態になっていた。血が飛び交い次々と人が倒れていく。

「志穂先輩…あそこに1人で……」

花実がすごく心配そうな顔をする。

「ティナちゃんは見ちゃダメ…」

花実が慌ててティナちゃんの視界を遮ろうとするが遅かった。ティナちゃんは下の光景を見てただ震えるだけだった。

「いや……いやだ….…こんなの見たくない……」

「ティナちゃん?」

花実がティナちゃんの異変に気付き心配そうな表情で話しかける。

「やめて…お願いだから…もう…やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて…」

「ティナちゃん、どうしたの?しっかりして」

「やめてくれないなら…私が終わらせる……全てを……」

ティナちゃんが呟きながらアビリティアの窓から飛び降りる。

「ティナちゃん……」

窓から飛び降りたティナちゃんを見て慌てて花実がティナちゃんに手を伸ばすが間に合わなかった。

「ティナちゃん…ティナちゃんー」

花実が慌てて下を覗き込むがティナちゃんは無事着地していた。

「花実ちゃん…まちなさい」

ティナちゃんを追いかけようとした花実を杏奈先生がとめる。

「杏奈先生…」

「今下に行くのは危険です。一旦様子を見ましょう…」

「でも……」

「わかりました。じゃあ、下の階に行くのだけは許可します。ですが絶対に外に出てはいけませんよ」

「……わかりました」

花実と杏奈先生、当夜先輩がティナちゃんの後を追い下の階に移動する。

「ティナちゃん?」

透明化して周りのレヴナントの連中を次々と倒していた志穂先輩がティナちゃんを見つけて驚く。

「ティナちゃん…こんなところで何を……」

志穂先輩が慌ててティナちゃんの元に行こうとしたが志穂先輩はティナちゃんの様子を見て少し後ろに下がった。

「戦いをやめろ…やめないと私が全てを終わらせる」

ティナちゃんの周りにいたレヴナントの連中が何言ってんだこいつというような表情でティナちゃんに襲いかかる。

「私はたしかに忠告したぞ。それを無視するってことは死ぬ覚悟があるんだろうな」

ティナちゃんに襲いかかったレヴナントの連中が次々と倒れて行く。

「もう一度だけ言ってやる。今、戦いをやめるなら見逃してやる!」

ティナちゃんが大声で叫ぶが戦いは止まらない。

「たしかに私は忠告したぞ。この場の全てを……終わらせる」

ティナちゃんがそう言いながら能力を発動させる。するとティナちゃんの周りに倒れていた人達の血が勝手に動き出す。地面に溢れた血や飛び交う血…全てがティナちゃんの思い通りに動き始める。

「私の力…この血の力で…この場の全てを終わらせる」

ティナちゃんは周りの血を操り次々とレヴナントの連中を倒して行く。

「ティナちゃん…ダメ…何してるの…」

志穂先輩がティナちゃんを止めようとするがティナちゃんの周りの血がそれを許さなかった。

ティナちゃんの能力により次々と人が倒れていく。敵味方関係なくティナちゃんは周りにいる人全てを片付けていく。

「ティナちゃん、やめてー」

志穂先輩がティナちゃんに向けて叫ぶがティナちゃんの耳には聞こえない。ティナちゃんは本当に全てを終わらせようとしていた。


















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