とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

考えるのがめんどくさくなったので正面突破します











「ビスタさん、私はテレシアさんを探しに行きます」

楓先輩がビスタさんにそう言うがビスタさんは許可を出さなかった。

「ビスタさん、お願いです。私、ずっとあの時もう少しでも能力を維持できていたらテレシアさんを置いて行かずに済んだかもって思っちゃうんです。せめてもの償いをさせてください」

「わかった。そういうことなら頼むとしよう。ヴィンセントの能力でテレシアの大体の位置はわかる。テレシアを早く見つけたいならヴィンセントと合流しろ。ヴィンセントはこの付近で待機しているはずだ」

「わかりました。ありがとうございます」

楓先輩はビスタさんにそう言うと能力を発動させて能力を使いビルの中の鉄からとなりのビルの鉄へと移動していく。

「楓先輩すごいな……」

勢いよく飛び出して行った楓先輩を見て僕は呟いた。

「さて、お出迎えのようですね」

進軍していたアビリティア側の人達が足を止める。僕が前の様子を確認すると前からアシュリーさんの大群が迫って来ていた。

「うわぁ…なんかすごい光景だな……」

「ちょっと…見てて…気持ち…悪く…なる…」

僕の隣にいた百合子先輩が緑先輩の後ろに引っ付きながら言う。

「あれどうしますか?」

僕がビスタさんに尋ねるとビスタさんもどうすればいいか悩んでいた。軽く数千人はアシュリーさんがいそうだよな……

「私がやります」

ダイナがそう言いながら先頭に立つ。

「アシュリーさん、さっきは狭い場所だったため力を押さえましたが今回は全力でやりますよ」

ダイナが4つの光の玉を作り出し一斉にビームを発射してアシュリーさんの大群を薙ぎ払う。

ダイナが左から右へと弧を描くようにアシュリーさんを倒していくがアシュリーさんは左から右へと分身を増やしていく。ダイナが右から左へとビームを動かすとアシュリーさんは右から左へと分身を増やしていく。

「なんかすごいことになってますね…」

「ああ、そうだな…」

倒したらまた現れるアシュリーさんを見ながら僕とビスタさんがそう呟く。

「ダイナちゃん、ここは任せていい?」

「はい。あのアシュリーさん達は私が止めます」

この場はダイナに任せて僕達は別の道からレヴナントに向かうことにした。したのだが………

「ここにもいるのか…」

「なんかゴキブリみたいですね…」

僕達が進む先に現れたアシュリーさんの大群を見て僕とビスタさんが呟く。

「どうします?」

「……策を考えるのがめんどくさくなったな…」

「ですね……」

「よし、正面突破だ」

ビスタさんがそういうと全員が勢いよくアシュリーさんの大群に飛び込んでいく。

「なんかすごい乱戦になってるのかしら…」

ヴィオラ先輩が次々と出て来るアシュリーさんの分身を倒しながら少しずつ進んでいくアビリティアの人達を見ながら言う。

たしかにすごいことになってるな……

「お前はでないのかしら?」

「行きたいですけどいざという時まで能力は温存するように言われてまして…ヴィオラ先輩こそ行かないんですか?」

「ぶっちゃけあの中に入って戦いたくないのよ…だからショートカットするのかしら…お前もついてくるのよ」

「え?」

ヴィオラ先輩に突然首を掴まれて僕は驚きの声を上げる。

「しっかりつかまってないと危ないからちゃんとつかまってるのよ…」

ヴィオラ先輩は地面に巨大なネジを設置する。あっ、ヴィオラ先輩が今から何しようとしてるかわかった…

「ちょっ…暴れるんじゃないのかしら…危険なのよ……」

すみません。僕、高所恐怖症なんですけど〜〜僕はヴィオラ先輩にそう言おうとしたが遅かった……

「ギニャーーー」

謎の奇声を発しながら僕はヴィオラ先輩とともにレヴナント本部に突っ込んだ。

「いたた…着地のことを考えてなかったのかしら……」

「ヴィオラ先輩、今僕何回か死ぬかと思ったんですけど…」

レヴナント本部のかなり高い場所に空いた穴を見て僕がヴィオラ先輩に言う。僕達が乗ってきたネジがレヴナント本部に当たる直前にヴィオラ先輩がかなり巨大なネジをレヴナント本部の壁に撃ってなかったら死んでたぞこれ……

まあ、結果的には無事僕とヴィオラ先輩はレヴナント本部に侵入することができたのだが……

「まさか本部に風穴を開けて入ってくるとは思いませんでしたよ…」

アシュリーさんの分身が引きつった笑みを浮かべながら僕とヴィオラ先輩に言う。アシュリーさん何処にでも湧いてくるな……

「さて、無事侵入も成功したことだし派手にやるのかしら…」

ヴィオラ先輩が両手にネジを構えながら言う。

「ヴィオラ先輩、僕もそろそろ能力を使います。レヴナント本部に侵入したからには一気に勝負をつけましょう」

「わかって……」

ヴィオラ先輩が僕に返事をしようと僕の方を振り向いた瞬間、ヴィオラ先輩が引きつった笑みを浮かべる。

「お前まで増えるんじゃないのかしら気持ち悪い…」

ヴィオラ先輩がアシュリーさんの能力を使い分身を大量に作り出した僕を見て言う。僕の大群とアシュリーさんの大群に挟まれたヴィオラ先輩は苦笑しながらアシュリーさんに向けてネジを発射した。















コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品