とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

楓の能力








「あれー楓じゃん、そんなところで何してるの?」

志穂から離れまて1人ポツンと校内の階段に座っていた楓に1人の女性、弥生先生が声をかける。

「弥生ちゃん…」

楓が寂しそうに呟く。

「だから弥生ちゃんはやめてって言ってるでしょ」

「ごめんなさい」

いつになく素直な楓を見て弥生先生は少し戸惑っていた。そんななか携帯電話のアラーム音が鳴り響いた。

「もしもし?………はい。わかりました。楓ちゃん、学校の近くでまた生徒が暴れてるみたい。一緒に来てくれる?」

電話を切った弥生先生が楓先輩に言う。

「わかりました」

楓先輩は弥生先生に続いて学校を出る。







「こんな世界なくなればいい…こんな世界…」

そう呟きながら1人の男子生徒が街中で能力を使いながら暴れている。

「弥生ちゃんは下がってて、私がなんとかするから」

楓先輩が弥生先生に言う。

「わかった。気をつけてね。」

弥生先生は楓先輩にそう言い少しさがる。

「さて、大人しくお縄につくなら乱暴なことをしないで済むから助かるんだけど…」

「うるさい。うるさい。うるさい」

男子生徒はそう言いながら楓先輩に殴りかかる。

「どうやら話し合いが通じる状態ではないみたいね。少し痛いかもしれないけど我慢してね」

楓先輩が男子生徒にそう言い能力を発動させる。

「10分以内に決めないと…」

楓先輩が何か言おうとした瞬間、地面が歪み楓先輩がバランスを崩して倒れそうになる。その隙を狙って男子生徒が楓先輩を殴ろうとした。

「まずい…」

楓先輩が慌てて能力を使い近くの鉄板に電気を流し、自身の体を無理矢理引っ張り回避する。

「楓先輩!」

基地で待機していた緑先輩から連絡を受けた僕と花実とダイナが楓先輩が戦ってる場所の近くに到着した。

「3人とも、こっちに!」

どうすればいいのかわからなかった僕達に弥生先生が声をかける。

「見ての通り暴れてる生徒の相手は楓がしてくれている」

「じゃあ、僕達も援護に…」

僕が楓先輩の戦いの援護をしようと楓先輩のもとに向かおうとする。

「やめなさい。まだ現場に慣れてない貴方達が行っても邪魔になるだけよ。ここは楓に任せなさい。私達は近くにいる人の避難誘導をするわよ」

「「「わかりました」」」

弥生先生に言われた通り僕達は避難誘導を開始しようとする。

「そういえば志穂は何処に行ったの?」

弥生先生が僕達に尋ねる。

「志穂先輩なら寄るところがあるから先に行ってって私達に言ってどこかに行きました」

弥生先生の質問にダイナが答える。

「そう、志穂がいれば楓のサポートに回ってもらおうと思ったんだけど…まあ、志穂には何か考えがあるみたいだし私達は私達のできることをしましょう」

僕は何か違和感を感じた。この人なんでこのタイミングで笑ったんだ?たしかに僕は目撃した。志穂先輩がこの場に来ていないと聞いた瞬間、弥生先生がニヤリと笑ったのを…僕は違和感を覚えながらも避難誘導をしに向かう。

「とりあえず2手に別れましょう。晴樹君は私と来て、花実ちゃんとダイナちゃんは向こう側をお願い。」

弥生先生が僕達に言う。

「「「はい」」」

僕は弥生先生とともに避難誘導に向かうことになった。

「そういえば弥生先生、楓先輩の能力ってどんな能力なんですか?」

走りながら僕は弥生先生に尋ねる。

「楓はね、簡単に言うと自身から電気を放って自由に操れる能力よ。ただ制限のせいで長時間は使えない。使いすぎるとしばらく能力が使えなくなっちゃうの」

弥生先生が僕の質問に答えてくれる。なるほどかなり便利そうな能力だな。今度ためしに使ってみようかな…未だ僕は能力を1度も使ったことがなかった理由は2つある。

1つ目の理由は制限のせいだ。まあこれは1日が終わる直前に能力を使っちゃえばいい。例えば23時59分に能力を発動させれば0時にリセットされるので損はしない。

2つ目の理由は単純に僕が知ってる能力が少ないのだ。僕が知ってる能力と言えば花実とダイナの能力くらいだった。どちらも試そうと思ってもなかなか試せない。楓先輩の能力はかなり便利そうだから今度試しに使ってみよう。





僕がそう思いながら走っていた頃、楓先輩は…

「なんなのこいつ、いったいどんな能力を使ってるの?」

楓先輩が次々と変化して行く地面を見ながら言う。

「地面の形を変化させる能力とか?もしそうだったらかなり厄介ね…」

相手の男子生徒は何も反応しない。とりあえず近づいて電気を流して無理矢理気絶させたいところだがなかなか近づく機会がない。どうしたものかと楓は逃げまわりながら考えていた。

「しまった…」

楓先輩が自身の足元を見ると足が地面のコンクリートで固められていた。

「死ね…」

男子生徒がそう言いながら楓先輩を殴りつける。

「くっ…」

足が動かせないため逃げたり避けたりできない楓先輩に男子生徒のパンチが直撃する。

「まだまだ殴ってやるぜ…」

男子生徒が腕を鳴らしながら再び楓先輩に近づいてくる。










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