とある学園生活は制限付き能力とともに
発見、戦闘開始
志穂と楓が再会する少し前…
「ヴィオラ先輩〜ちょっと待ってください〜」
ダイナが息を切らしながらヴィオラ先輩の後を追いかける。
「まったく、この程度でそのざまなんてだらしないのよ」
そう言いながらもヴィオラ先輩は走り続けていた。ダイナは頑張ってヴィオラ先輩について行っている。
「ようやく見つけたのかしら…」
ヴィオラ先輩が一番奥の部屋の戸を開けて言う。
「あら、思ってたよりだいぶ早かったわね。あなたは…ヴィオラちゃんね…」
弥生先生が椅子から立ち上がりながら言う。
「なんで私の名前を知ってるのかしら?」
「志穂と楓から昔あなたの話を聞いたことがあるのよ。あなた、かなり強いみたいね。どう、あなたも私のものにならない?」
「丁重にお断りするのかしら」
ヴィオラ先輩が弥生先生の提案を即決で断った。
「はあ、はあ、ヴィオラ…先輩…」
ダイナがようやくヴィオラ先輩に追いつく。
「遅いのかしら!もっと早くくるのよ!1人だと少し心細いのよ」
「すみません…って!ヴィオラ先輩が私を置いていったのが悪いんでしょ!」
「……それより早くみんなに連絡するのかしら」
「今、ごまかそうとしてませんか?」
「してないのよ」
「まあ、いいですけど…」
ダイナがそう言いながらポケットからスマホを取り出して、電話を掛けようとする。
「あなたバカなのかしら?部屋の外で連絡するのが基本なのかしら」
「えっ、あっ、ごめんなさい」
「いいから急ぐのかしら」
ヴィオラ先輩に急かされてダイナが慌てて部屋から出て行く。
「あの子を行かせちゃっていいの?まあ、私としてはあの子のデータがなかったから助かるのだけど…」
「ふん、あんたの相手くらい私一人で十分なのかしら…大人しく捕まってくれるのなら手荒くしないで済むから助かるのだけど…」
「あら、親切にどうもありがとう。でも、お断りさせていただくわ」
「そう、なら覚悟するのかしら…」
ヴィオラ先輩がそう言いながら両手の上に巨大なネジを作り出す。
「楓から聞いてた通りの能力ね、好きな大きさ、重さのネジを作り出し自由に加速度を設定して放つことができる能力だったかしら…」
「ずいぶんと調べてくれたみたいなのかしら…ご苦労なことなのよ」
「あなたの能力はかなり強力だと思うけどいくつか弱点があるのよね。一つは能力の設定を強くしすぎるとあなたの体力がすぐに尽きてしまう」
「まさか、そこまで調べられてるなんて…でもそれがわかったからってあなたは私を倒せるわけではない」
「ええ、確かにそうね。だからあなたを倒すのは私じゃない…」
弥生先生がそう言いながら近くにあったボタンを押す。すると弥生先生の後ろにあったシャッターが開き始めた。
「これは…」
「私の作り出した最高傑作よ。そうそう、あなたのもう一つの弱点、楓みたいな電気操作系の能力を持つ者には手も足もでないのよね…」
弥生先生が不敵な笑みを浮かべて言う。
「確かにそうだけど、それがどうしたのかしら…」
ヴィオラ先輩はそう言いながら両手に構えていたネジを弥生先生の後ろにそびえ立つ巨大な機械に向けて飛ばす。
「無駄よ…」
弥生先生がそう呟いた瞬間、ヴィオラ先輩が放ったネジが機械とは全く別の方向に飛んでいった。
「言ったでしょう。無駄だって…その機械、スキルブローグ相手にあなたの能力は通用しないわよ。その機械は私のかわいい生徒たち全員の能力が使えるのだから」
「つまり暴走状態の生徒全員の能力が使えるってことかしら…」
「その通りよ。制限とかも気にせずに連発できるわ。さて、あなたにはスキルブローグの起動実験の実験体になってもらうわね」
弥生先生がそう言った直後、スキルブローグは巨大な蜘蛛のような動きでヴィオラ先輩に向かっていく。
「なるほど、確かに私と楓の能力の相性は最悪なのかしら…だからって打つ手がないわけじゃないのよ」
ヴィオラ先輩がそう言いながら再び両手の上にネジを作り出す。
「そう、なら頑張っていい戦闘データを提供してちょうだいね…」
弥生先生が不敵な笑みを浮かべてヴィオラ先輩に言う。
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