異世界は割とどうでも良かったけど地球もピンチらしいので行ってきます。但し相棒のおかげで胃がマッハです。
これが女神様!
「あーもー忙しい忙しい、忙しいわー。ポリポリ」
僕の目の前には、どう控え目に見ても暇そうにテレビのようなものを見て紅茶を優雅に飲みながらクッキーを食べている絶世の美女がいた。真っ白な貫頭衣に上品な装飾が施された、絵画の世界から抜け出してきたようなイメージそのままの女神だった。
世界はふわふわとした足元で、乳白色の空がどこまでも続いており、足元の雲のようなものも果てしなく続いている不思議な世界だ。
「あっ! あっちゃー、そこ言っちゃう? あーあ、ほら振られちゃたじゃない。仕方ないわねー下界の子は」
見た目は麗しいのに、やってる事は完全に出歯亀である。
「あんまりいい趣味じゃないですね」
僕が声をかけると、こっちを見ようともせずに気怠げな声音で返答があった。
「ふーん? 他に楽しみないから仕方ないじゃないですか……ってうわぁっ!?」
答えてから僕の存在に気がついたのか、びっくりしすぎて紅茶を零してしまっている。
「あちゃーっ! 熱い熱い! あーもー折角の服が台無しじゃないですか!!」
「あ、何かすみません」
「これはもう神罰モノですよ! ぷんぷん!」
「今時ぷんぷんて……」
このやりとりにデジャブを感じる。
「あら? あらあら? あなた、この間ヴァールスに落っことした……おほん。転送した子じゃないの!」
「今落としたって言いました? 言いましたよね?」
「まあまあ細かい事はいいじゃないですか」
冷や汗をかきながら必死に目を逸らしてる女神様。もう威厳も何もあったもんじゃないな。
「っていうか、あなたどうやってこの天上界まで来たんですか?!」
「いえ、普通に願いを念じてたら普通に来れました」
「……あそっかぁ、そう言えばあなたに授けた能力のおかげね……」
がっくりと肩を落としたような女神様に、僕は詰め寄った。
「そう! それについて教えてくださいっ!」
迫る僕に、女神様はジト目を向けてきた。
「えー、だってあなた私の話聞きませんでしたよねー?」
「教えてください」
「えっ!? 即効土下座ってびっくりなんですけどっ!?」
僕は秒で土下座した。自分の現状が改善される為ならプライドなんてくそくらえだ。
「お、おほん。まあいいでしょう。あなたのその……熱意? に免じてこの前の事は水に流してあげます」
「ありがとうございます」
僕は土下座から正座に身体を起こして女神様を見上げる。女神様は自分の椅子に座り直して一息つき、ようやく話をしてくれる気になったようだった。
「んっんっ。では、まずは何から話したらいいかしら?」
「もしお願い出来れば、この間おっしゃっていた世界の危機から教えて頂けませんか」
「いいでしょう」
そして女神様は語った。
今現在、異世界ヴァールスは魔王をいただく魔族の軍勢に押され、このままでは人族や亜人種が滅ぼされてしまうこと、魔王は魔神の加護を受けており、これを倒すには創造神(女神様)の加護が必要なこと、そして何より――。
「異世界ヴァールスを掌握した魔王軍は、そのまま他の異世界へと侵攻を開始するでしょう」
「えっ? ま、まさかそれって……」
「そう、あなた達の世界。地球が危なくなるってことね。あなた方の科学文明とヴァールスの魔法文明どちらが勝つかはわかりませんが……以前の大戦以上の死者が出ることは確実でしょうね」
僕は驚愕の余り固まってしまった。今までは、言っては悪いがどこか所詮は他人事だと思って構えていた面があった。それが僕達の世界に直接関わってくるだなんて……。
「だからあなたに加護を授けたのです」
「……どうして、僕なんですか」
正直に言って世界の運命なんて、僕の肩には重すぎる使命だ。平々凡々を地で行くような一介の高校生にやらせるようなものなんだろうか。
「それは、あなたがヴァールスの勇者との相性が最高だという神託が出たからなんですよ」
「え? 僕とリアが?」
「ええ……。もちろん、あなたには世界の運命なんてものを背負わせて申し訳ないと思っています。でも、あなたしかいないんです」
「あの……」
「何かしら?」
いっそ憐憫さえ感じさせる女神様の目を真っ直ぐに見て、僕は訊ねた。
「なら前回の時もんの凄い適当に僕を放り出した理由はなんなんです?」
「…………」
そろそろと僕の目から逃れるように目を移動させる女神様。
「ほら、あの……アレの続きが気になってついつい……」
ちらっと女神様が視線を写したのは先程のテレビのようなもの。僕は疑惑が確信に変わった。
「適当ですよね? 適当に決めたんですよね?」
「そ、そんな事ないですから!」
「なら自分の名に誓って嘘ではないといえますか?」
「め、女神に向かって不敬ですよ、不敬!」
「め が み さ ま」
ちょっと凄みを効かせて睨みあげると、女神様はひぃっと涙目になって自白した。
「だって! ケイコとマナブがどうなるか気になったんだもの!」
誰やねん、ケイコとマナブ。そしてお前達のせいで僕が選ばれたのか……。
「だからあなたには最高のチート能力を上げたでしょ! これでお相子、ね、ね?」
必死に自分悪くないアピールする女神様はとてもとても情けなかった。
「はあ、それじゃあ僕のチート能力って奴、説明してもらえますか?」
「もちろんです! あなたのチート能力はね、“願いを形にする魔法”なのよ」
「――――は?」
僕の目の前には、どう控え目に見ても暇そうにテレビのようなものを見て紅茶を優雅に飲みながらクッキーを食べている絶世の美女がいた。真っ白な貫頭衣に上品な装飾が施された、絵画の世界から抜け出してきたようなイメージそのままの女神だった。
世界はふわふわとした足元で、乳白色の空がどこまでも続いており、足元の雲のようなものも果てしなく続いている不思議な世界だ。
「あっ! あっちゃー、そこ言っちゃう? あーあ、ほら振られちゃたじゃない。仕方ないわねー下界の子は」
見た目は麗しいのに、やってる事は完全に出歯亀である。
「あんまりいい趣味じゃないですね」
僕が声をかけると、こっちを見ようともせずに気怠げな声音で返答があった。
「ふーん? 他に楽しみないから仕方ないじゃないですか……ってうわぁっ!?」
答えてから僕の存在に気がついたのか、びっくりしすぎて紅茶を零してしまっている。
「あちゃーっ! 熱い熱い! あーもー折角の服が台無しじゃないですか!!」
「あ、何かすみません」
「これはもう神罰モノですよ! ぷんぷん!」
「今時ぷんぷんて……」
このやりとりにデジャブを感じる。
「あら? あらあら? あなた、この間ヴァールスに落っことした……おほん。転送した子じゃないの!」
「今落としたって言いました? 言いましたよね?」
「まあまあ細かい事はいいじゃないですか」
冷や汗をかきながら必死に目を逸らしてる女神様。もう威厳も何もあったもんじゃないな。
「っていうか、あなたどうやってこの天上界まで来たんですか?!」
「いえ、普通に願いを念じてたら普通に来れました」
「……あそっかぁ、そう言えばあなたに授けた能力のおかげね……」
がっくりと肩を落としたような女神様に、僕は詰め寄った。
「そう! それについて教えてくださいっ!」
迫る僕に、女神様はジト目を向けてきた。
「えー、だってあなた私の話聞きませんでしたよねー?」
「教えてください」
「えっ!? 即効土下座ってびっくりなんですけどっ!?」
僕は秒で土下座した。自分の現状が改善される為ならプライドなんてくそくらえだ。
「お、おほん。まあいいでしょう。あなたのその……熱意? に免じてこの前の事は水に流してあげます」
「ありがとうございます」
僕は土下座から正座に身体を起こして女神様を見上げる。女神様は自分の椅子に座り直して一息つき、ようやく話をしてくれる気になったようだった。
「んっんっ。では、まずは何から話したらいいかしら?」
「もしお願い出来れば、この間おっしゃっていた世界の危機から教えて頂けませんか」
「いいでしょう」
そして女神様は語った。
今現在、異世界ヴァールスは魔王をいただく魔族の軍勢に押され、このままでは人族や亜人種が滅ぼされてしまうこと、魔王は魔神の加護を受けており、これを倒すには創造神(女神様)の加護が必要なこと、そして何より――。
「異世界ヴァールスを掌握した魔王軍は、そのまま他の異世界へと侵攻を開始するでしょう」
「えっ? ま、まさかそれって……」
「そう、あなた達の世界。地球が危なくなるってことね。あなた方の科学文明とヴァールスの魔法文明どちらが勝つかはわかりませんが……以前の大戦以上の死者が出ることは確実でしょうね」
僕は驚愕の余り固まってしまった。今までは、言っては悪いがどこか所詮は他人事だと思って構えていた面があった。それが僕達の世界に直接関わってくるだなんて……。
「だからあなたに加護を授けたのです」
「……どうして、僕なんですか」
正直に言って世界の運命なんて、僕の肩には重すぎる使命だ。平々凡々を地で行くような一介の高校生にやらせるようなものなんだろうか。
「それは、あなたがヴァールスの勇者との相性が最高だという神託が出たからなんですよ」
「え? 僕とリアが?」
「ええ……。もちろん、あなたには世界の運命なんてものを背負わせて申し訳ないと思っています。でも、あなたしかいないんです」
「あの……」
「何かしら?」
いっそ憐憫さえ感じさせる女神様の目を真っ直ぐに見て、僕は訊ねた。
「なら前回の時もんの凄い適当に僕を放り出した理由はなんなんです?」
「…………」
そろそろと僕の目から逃れるように目を移動させる女神様。
「ほら、あの……アレの続きが気になってついつい……」
ちらっと女神様が視線を写したのは先程のテレビのようなもの。僕は疑惑が確信に変わった。
「適当ですよね? 適当に決めたんですよね?」
「そ、そんな事ないですから!」
「なら自分の名に誓って嘘ではないといえますか?」
「め、女神に向かって不敬ですよ、不敬!」
「め が み さ ま」
ちょっと凄みを効かせて睨みあげると、女神様はひぃっと涙目になって自白した。
「だって! ケイコとマナブがどうなるか気になったんだもの!」
誰やねん、ケイコとマナブ。そしてお前達のせいで僕が選ばれたのか……。
「だからあなたには最高のチート能力を上げたでしょ! これでお相子、ね、ね?」
必死に自分悪くないアピールする女神様はとてもとても情けなかった。
「はあ、それじゃあ僕のチート能力って奴、説明してもらえますか?」
「もちろんです! あなたのチート能力はね、“願いを形にする魔法”なのよ」
「――――は?」
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