異世界でニートは英雄になる
第四三話 交渉と対立
「ルーは一度、魔王軍の手下に取り憑かれています」
「何!?」
声を発したのは父であるタロット。すると、腰に付けていた剣を抜き、タイガに刃を向ける。ミンティークが涙目で母のメービルに抱き着く。
「小僧! 適当な事を言うんじゃない!」
「適当な事なんて言ってませんよ。これも真実です」
タイガは刃を向けられるも怯まず、真っ直ぐとタロットの目を見る。
「いい加減にしろ! ルーが魔王軍の手下ごときに――」
「失礼ですが、貴方はその場にいたのですか?」
声を発したのはタイガじゃない。カリンだった。
「勝手に取り憑かれていないと言い張っていますが、貴方はその現場を見たのですか?」
「そ、それではカリン様は見られたのですか?」
「いえ、残念ながら私も」
「なら――!」
「ですが」
カリンは立ち上がり、タイガ達に手を示す。
「彼等は見ています。ルーさんが取り憑かれている所を。私の使い魔も見ています。これ程にも目撃している人がいるのにも関わらず、貴方は否定するのですか? それも、ご子息様の前で」
カリンが真剣な表情でタロットを見る。そしてタロットは何も言えなくなり、俯いてしまった。
「タロット。君の気持ちも分からなくはない。だが、人の話をまず聞きなさい」
「……はい。申し訳御座いません」
タロットはカリン、イグニルに深くお辞儀した。
「タイガ君、すまないね。続けて貰っていいかい?」
「あ、はい」
タイガは一息入れて、再び話始めた。
「では何故、ルーが取り憑かれたか。それは、魔王軍によるカリンの殺害の為です」
「魔王軍!?」
その言葉を聞いた時、コナッチ家の人々が驚愕した後、顔を顰めた。そしてタイガは、その事件の真相を前回同様事細かに話す。
「そうか。アイル、ルー、君達はどうしたいんだ?」
「私は、迷惑を掛けたのにも関わらず、カリン様は家族同然に振舞ってくれました。ですので、恩は返したいと思います」
アイルの言葉を聞いて、イグニルは静かに頷く。
「それで、ルーは?」
「ボクは、カリン様達に……タイガに救われました。操られていたボクを、タイガは決して斬ろうとはしなかった。今度はボクの番だと思うんです。タイガやカリン様が困っているなら、ボクは守りたい! 騎士団の名に恥じぬように!」
ルーは心の奥の中を全部吐き出した。タイガはそんなルーを見てフッと笑う。イグニルもタイガと同じ様に笑っていた。
「と、言っているが? タロット、お前はどうだ?」
タロットは何も言わず、俯いたままいた。そしてゆっくりと顔を上げ、ゆっくりと口を開いた。
「タイガ殿、先程のご無礼をお許しください」
タイガの前まで来て、頭を深く下げる。
「いえ、息子さんを思う気持ちは分かりますから。顔を上げて下さい」
「タイガ殿。是非とも、息子達を宜しくお願いします」
タイガに言われ一度は顔を上げるも、もう一度下げた。
「ありがとうございます。タロットさん」
こうして無事、アイルとルーはドルメサ王国の騎士団に異動する事が決まった。
オトランシス家は騎士団に挨拶しに行くと言い、応接室を出て行く。残ったのはコナッチ家、執事のギル、カリン、タイガ一行の九人。
「それにしても、タイガ君。カリンを守ってくれてありがとう。カリンの先代からお世話していたからね。カリンに何かあったら私が彼にどやされちゃうよ」
ハッハッハッと笑いながらイグニルが言う。大事な話は終わったので、ミンティークはカリンの膝の上で座ってた。
「いえ。カリンと初めて会ったのも、カリンが危険な時でしたからね。もしかしたら、それが俺の宿命なのかもしれないですけど」
タイガは苦笑いしながら自虐ネタみたいに言う。
「お転婆な子だけど、カリンを頼んだよ。タイガ君」
「ちょっとイグニル様! 恥ずかしいです!」
カリンが顔を真っ赤にさせ、イグニルに反抗する。イグニルはそれに対して笑っているだけだった。
だが、そんな笑い声とは別の声が聞こえる。
「本当にそんな奴に任せられますかね」
声の主は、イグニルの隣に座っていた第一王子、ラモーネだった。
「何?」
「カリンを危険な目に合わせている人間に、カリンは任せられないって言ってるんですよ」
イグニルの言葉に、ラモーネが少し怒り気味でタイガに面と向かって言う。タイガは表情を変えない。
「〈魔剣士〉だか何だか知らないが、お前じゃカリンは任せられない。実際に、魔王軍の幹部を仕留め損ねているじゃないか。そもそも、王宮に居候しているだけでも不愉快だ。早く荷物をまとめて田舎に帰りな」
「ラモーネ! タイガ君に何て事を言うんだ!」
「だって本当の事でしょ? 父様。結果的にはカリンを守っているかもしれないが、カリンは危険な目に遭っているのもまた事実。さっきお前は『カリンとの最初の出会いも危険な時だった』と。つまりお前が危険なんだよ。お前がいるだけでカリンに危険が付きまとう。だからカリンは俺に任せて、お前は帰りな」
もの凄く冷たい声でタイガに言い放つ。タイガはピクリと眉を顰め、それでもラモーネから視線を外さない。そして暫くして、タイガが口を開く。
「流石、王子の言っている事は違いますね。まるで、自分が強いみたいな言い方ですから」
「当たり前だろ? 俺を誰だと思っている。コナッチ王国の時期国王、ラモーネ・スゥ・コナッチだぞ」
嘲笑うかのようにタイガを見下す。タイガは座ったままなので、強制的に見下される形ではあった。
「いい加減にしろ! お前が出しゃばって良い話じゃないんだ!」
イグニルはラモーネに怒鳴りつけるも、ラモーネはタイガから視線を逸らさない。カリンは震えているミンティークを抱き締め、タイガを心配そうに見ていた。ミルミアとリンナもタイガとラモーネを交互に見ている。
「俺が嫌だと言ったら?」
「お前はただの一般人。俺は王族。その先は言わなくても分かるだろ?」
――こいつ、腐ってやがる……
先程からのラモーネの発言から、タイガは少しずつイラついていた。
「まぁそうだな。俺もそこまで鬼じゃない。俺と勝負して、お前が勝ったら言う事を聞いてやる。でも俺が勝ったら、すぐさまカリンから離れろ」
――何でここまで俺に突っかかるのか分からん。それにさっきっから言い方がイラつくんだよ。見下すような言い方が。
タイガは溜め息をついて、どうするか考えていた。
――仮にも相手は次期国王の一人。その人に怪我でもさせてみろ。俺の首が飛ぶぞ。だが、言われっ放しも腹立たしい。
チラッとイグニルを見たタイガ。イグニルは何かを察したのか、頷いて見せた。
「分かりましたよ。その挑戦、お受けします」
ふぅ、と一息つき立ち上がると、ラモーネは応接室を出て行く。それを見たイグニルは、タイガの下へと近付く。
「申し訳ないタイガ君。息子の相手をしてくれないか」
「本気でやりそうで怖いんですけど……」
「本気でやってくれて構わない。ラモーネは少し自分を過大評価しているようだ。少々手荒な真似になるが、ラモーネの目を覚まさせてやってくれ」
そう言ってタイガの両肩に手を置くと、訓練場へと案内する。
「タイガ、どうするのよ」
後ろを歩くミルミアに、タイガは声を小さく掛けられる。
「正直、俺は苛立ってる。あの王子は気付いていないかもしれないが、王子が言った事は、お前らの事も含んでいるからな」
タイガの言葉に、ミルミアは驚いた。確かに、ミルミア達もイラついていた。だがタイガは自分よりも、その仲間の事を言われたことに腹立っていた。
「国王様にも了承は得ている。本気でやるよ」
タイガのその目付きは、魔王軍の幹部と闘っている時の目と同じだった。
「国王様、一つ伺います。俺は今回、魔法は使いません。ですが、体術は使ってもよろしいですか?」
「君は体術も使えるのか。それで構わない。怪我をしても、こちらがきちんと治癒させるよ」
「ありがとうございます。それから、剣はこれを使わせてください」
タイガは申鎮の剣を見せる。イグニルは目を見開いて剣を見たが、命に関わらない程度ならと、申鎮の剣を使う事を許可してくれた。
タイガは目を瞑り、申鎮の剣にガリルを流す。すると、世界が急変した。その場所はタイガが一度、夢で訪れている。
『呼んだ? マスター』
「本当に会えるんだな」
周りが何もない白世界。タイガはジュピターに、どうすればこちらから会えるか聞いていた。その方法が、目を瞑り申鎮の剣にガリルを流すことだった。
『何か、大変な事になって来たね』
「ちょっとあの王子、天狗みたいだからその鼻をへし折ってみたいんだよ。こんな事言う俺も俺だけどな」
そう言い、薄笑いを浮かべる。そして真剣な表情に戻り、ジュピターを見る。
「で、ジュピターに頼みがあるんだけど」
『分かってる。刃を落とすんでしょ? できるよ』
「お前、凄いな」
『ただし、ガリルは流したままにしてね。少しでもガリルが途切れると、刃が戻るから』
「はいよ。例えガリルが途切れても、再びガリルを流せば大丈夫だよな」
その言葉にジュピターは頷く。
タイガはお礼を言って、白世界から出る。タイガが目を覚ますと、周りが怪奇な様子でタイガを見ていた。
「タイガ君、大丈夫かい?」
「あ、ごめんなさい。行きましょう」
イグニルはタイガの言葉を聞くと、再び歩き始めた。
訓練所に着くと、ラモーネは動きやすい格好に着替えており、体操をしていた。
「遅いよ。逃げたかと思った」
「まさか」
そう言うなり、タイガも体操を始めた。その姿を、ラモーネは睨みながら見る。
タイガは一通り身体を解し終えると、マントを外してリンナに投げた。ミルミア、リンナ、カリンはその姿を見て感じた。タイガは本気なんだ、と。
「何!?」
声を発したのは父であるタロット。すると、腰に付けていた剣を抜き、タイガに刃を向ける。ミンティークが涙目で母のメービルに抱き着く。
「小僧! 適当な事を言うんじゃない!」
「適当な事なんて言ってませんよ。これも真実です」
タイガは刃を向けられるも怯まず、真っ直ぐとタロットの目を見る。
「いい加減にしろ! ルーが魔王軍の手下ごときに――」
「失礼ですが、貴方はその場にいたのですか?」
声を発したのはタイガじゃない。カリンだった。
「勝手に取り憑かれていないと言い張っていますが、貴方はその現場を見たのですか?」
「そ、それではカリン様は見られたのですか?」
「いえ、残念ながら私も」
「なら――!」
「ですが」
カリンは立ち上がり、タイガ達に手を示す。
「彼等は見ています。ルーさんが取り憑かれている所を。私の使い魔も見ています。これ程にも目撃している人がいるのにも関わらず、貴方は否定するのですか? それも、ご子息様の前で」
カリンが真剣な表情でタロットを見る。そしてタロットは何も言えなくなり、俯いてしまった。
「タロット。君の気持ちも分からなくはない。だが、人の話をまず聞きなさい」
「……はい。申し訳御座いません」
タロットはカリン、イグニルに深くお辞儀した。
「タイガ君、すまないね。続けて貰っていいかい?」
「あ、はい」
タイガは一息入れて、再び話始めた。
「では何故、ルーが取り憑かれたか。それは、魔王軍によるカリンの殺害の為です」
「魔王軍!?」
その言葉を聞いた時、コナッチ家の人々が驚愕した後、顔を顰めた。そしてタイガは、その事件の真相を前回同様事細かに話す。
「そうか。アイル、ルー、君達はどうしたいんだ?」
「私は、迷惑を掛けたのにも関わらず、カリン様は家族同然に振舞ってくれました。ですので、恩は返したいと思います」
アイルの言葉を聞いて、イグニルは静かに頷く。
「それで、ルーは?」
「ボクは、カリン様達に……タイガに救われました。操られていたボクを、タイガは決して斬ろうとはしなかった。今度はボクの番だと思うんです。タイガやカリン様が困っているなら、ボクは守りたい! 騎士団の名に恥じぬように!」
ルーは心の奥の中を全部吐き出した。タイガはそんなルーを見てフッと笑う。イグニルもタイガと同じ様に笑っていた。
「と、言っているが? タロット、お前はどうだ?」
タロットは何も言わず、俯いたままいた。そしてゆっくりと顔を上げ、ゆっくりと口を開いた。
「タイガ殿、先程のご無礼をお許しください」
タイガの前まで来て、頭を深く下げる。
「いえ、息子さんを思う気持ちは分かりますから。顔を上げて下さい」
「タイガ殿。是非とも、息子達を宜しくお願いします」
タイガに言われ一度は顔を上げるも、もう一度下げた。
「ありがとうございます。タロットさん」
こうして無事、アイルとルーはドルメサ王国の騎士団に異動する事が決まった。
オトランシス家は騎士団に挨拶しに行くと言い、応接室を出て行く。残ったのはコナッチ家、執事のギル、カリン、タイガ一行の九人。
「それにしても、タイガ君。カリンを守ってくれてありがとう。カリンの先代からお世話していたからね。カリンに何かあったら私が彼にどやされちゃうよ」
ハッハッハッと笑いながらイグニルが言う。大事な話は終わったので、ミンティークはカリンの膝の上で座ってた。
「いえ。カリンと初めて会ったのも、カリンが危険な時でしたからね。もしかしたら、それが俺の宿命なのかもしれないですけど」
タイガは苦笑いしながら自虐ネタみたいに言う。
「お転婆な子だけど、カリンを頼んだよ。タイガ君」
「ちょっとイグニル様! 恥ずかしいです!」
カリンが顔を真っ赤にさせ、イグニルに反抗する。イグニルはそれに対して笑っているだけだった。
だが、そんな笑い声とは別の声が聞こえる。
「本当にそんな奴に任せられますかね」
声の主は、イグニルの隣に座っていた第一王子、ラモーネだった。
「何?」
「カリンを危険な目に合わせている人間に、カリンは任せられないって言ってるんですよ」
イグニルの言葉に、ラモーネが少し怒り気味でタイガに面と向かって言う。タイガは表情を変えない。
「〈魔剣士〉だか何だか知らないが、お前じゃカリンは任せられない。実際に、魔王軍の幹部を仕留め損ねているじゃないか。そもそも、王宮に居候しているだけでも不愉快だ。早く荷物をまとめて田舎に帰りな」
「ラモーネ! タイガ君に何て事を言うんだ!」
「だって本当の事でしょ? 父様。結果的にはカリンを守っているかもしれないが、カリンは危険な目に遭っているのもまた事実。さっきお前は『カリンとの最初の出会いも危険な時だった』と。つまりお前が危険なんだよ。お前がいるだけでカリンに危険が付きまとう。だからカリンは俺に任せて、お前は帰りな」
もの凄く冷たい声でタイガに言い放つ。タイガはピクリと眉を顰め、それでもラモーネから視線を外さない。そして暫くして、タイガが口を開く。
「流石、王子の言っている事は違いますね。まるで、自分が強いみたいな言い方ですから」
「当たり前だろ? 俺を誰だと思っている。コナッチ王国の時期国王、ラモーネ・スゥ・コナッチだぞ」
嘲笑うかのようにタイガを見下す。タイガは座ったままなので、強制的に見下される形ではあった。
「いい加減にしろ! お前が出しゃばって良い話じゃないんだ!」
イグニルはラモーネに怒鳴りつけるも、ラモーネはタイガから視線を逸らさない。カリンは震えているミンティークを抱き締め、タイガを心配そうに見ていた。ミルミアとリンナもタイガとラモーネを交互に見ている。
「俺が嫌だと言ったら?」
「お前はただの一般人。俺は王族。その先は言わなくても分かるだろ?」
――こいつ、腐ってやがる……
先程からのラモーネの発言から、タイガは少しずつイラついていた。
「まぁそうだな。俺もそこまで鬼じゃない。俺と勝負して、お前が勝ったら言う事を聞いてやる。でも俺が勝ったら、すぐさまカリンから離れろ」
――何でここまで俺に突っかかるのか分からん。それにさっきっから言い方がイラつくんだよ。見下すような言い方が。
タイガは溜め息をついて、どうするか考えていた。
――仮にも相手は次期国王の一人。その人に怪我でもさせてみろ。俺の首が飛ぶぞ。だが、言われっ放しも腹立たしい。
チラッとイグニルを見たタイガ。イグニルは何かを察したのか、頷いて見せた。
「分かりましたよ。その挑戦、お受けします」
ふぅ、と一息つき立ち上がると、ラモーネは応接室を出て行く。それを見たイグニルは、タイガの下へと近付く。
「申し訳ないタイガ君。息子の相手をしてくれないか」
「本気でやりそうで怖いんですけど……」
「本気でやってくれて構わない。ラモーネは少し自分を過大評価しているようだ。少々手荒な真似になるが、ラモーネの目を覚まさせてやってくれ」
そう言ってタイガの両肩に手を置くと、訓練場へと案内する。
「タイガ、どうするのよ」
後ろを歩くミルミアに、タイガは声を小さく掛けられる。
「正直、俺は苛立ってる。あの王子は気付いていないかもしれないが、王子が言った事は、お前らの事も含んでいるからな」
タイガの言葉に、ミルミアは驚いた。確かに、ミルミア達もイラついていた。だがタイガは自分よりも、その仲間の事を言われたことに腹立っていた。
「国王様にも了承は得ている。本気でやるよ」
タイガのその目付きは、魔王軍の幹部と闘っている時の目と同じだった。
「国王様、一つ伺います。俺は今回、魔法は使いません。ですが、体術は使ってもよろしいですか?」
「君は体術も使えるのか。それで構わない。怪我をしても、こちらがきちんと治癒させるよ」
「ありがとうございます。それから、剣はこれを使わせてください」
タイガは申鎮の剣を見せる。イグニルは目を見開いて剣を見たが、命に関わらない程度ならと、申鎮の剣を使う事を許可してくれた。
タイガは目を瞑り、申鎮の剣にガリルを流す。すると、世界が急変した。その場所はタイガが一度、夢で訪れている。
『呼んだ? マスター』
「本当に会えるんだな」
周りが何もない白世界。タイガはジュピターに、どうすればこちらから会えるか聞いていた。その方法が、目を瞑り申鎮の剣にガリルを流すことだった。
『何か、大変な事になって来たね』
「ちょっとあの王子、天狗みたいだからその鼻をへし折ってみたいんだよ。こんな事言う俺も俺だけどな」
そう言い、薄笑いを浮かべる。そして真剣な表情に戻り、ジュピターを見る。
「で、ジュピターに頼みがあるんだけど」
『分かってる。刃を落とすんでしょ? できるよ』
「お前、凄いな」
『ただし、ガリルは流したままにしてね。少しでもガリルが途切れると、刃が戻るから』
「はいよ。例えガリルが途切れても、再びガリルを流せば大丈夫だよな」
その言葉にジュピターは頷く。
タイガはお礼を言って、白世界から出る。タイガが目を覚ますと、周りが怪奇な様子でタイガを見ていた。
「タイガ君、大丈夫かい?」
「あ、ごめんなさい。行きましょう」
イグニルはタイガの言葉を聞くと、再び歩き始めた。
訓練所に着くと、ラモーネは動きやすい格好に着替えており、体操をしていた。
「遅いよ。逃げたかと思った」
「まさか」
そう言うなり、タイガも体操を始めた。その姿を、ラモーネは睨みながら見る。
タイガは一通り身体を解し終えると、マントを外してリンナに投げた。ミルミア、リンナ、カリンはその姿を見て感じた。タイガは本気なんだ、と。
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