猫好き高校生と人間になった三匹の美人三姉妹

チャンドラ

23話

 一日目は、映画をやるが、映画の上映自体は、あまり手間をかけないため、結構一日目は暇だった。
 貴正は、午後に一時間ほど映画の準備の担当があるだけである。
 それまでは、自由時間である。五十嵐は、午前の最初、映画の準備担当であった。
 しかたないので、貴正は、一人で学内を適当に回ることにした。

 貴正が向かったのは、図書館。文化祭では、古本の購買が行われていた。小説などだけでなく、ライトノベルやマンガ本も置かれている。
 ブックオフなどで事足りるのではないかと思うかもしれないが、図書館で売っている本の方がブックオフなどよりも安いのである。
 例えばマンガなどは、一冊なんと五十円前後で購入することができるのだ。
 結構早い時間帯に向かったが、それなりに人がいた。
 そこで、貴正は、読んだことのない実写化の評価が、賛否両論分かれている『鋼の錬金術師』の一巻と二巻を購入した。合計たったの百円である。貴正は、ルンルン気分になった。
 適当にぶらついていると、元祖、バスケ部の美人マネージャー、大谷木佐江と出会った。
「あ! 貴正くん。今日、映画って言ってたけど、貴正くんは今日は非番?」
「いやぁ、一応午後に一時間だけ手伝いがあるけど、映画はそんなに人出がいらないから今日は基本暇だな……」

 貴正は、午後の映画の準備の手伝いまで暇を持て余していた。一緒に回ってくれそうな友達も特にはいなかった。
「それじゃ、一緒に文化祭回らない?」
 佐江の突然の申し出に貴正は少し驚いたが、誰も文化祭を回る人がなかっため、断る理由はなかった。

「ああ、いいよ。一緒に文化祭見ようか。」
「ありがとう! 貴正くんたちの映画は、午前は何時に上映するの? 私、見たいんだけどいい? もう貴正くんは、文化祭前に映画は観ちゃってるよね。」
「まぁ……ただ俺も実際に放映されてるとこみたいし、付き合うよ。確か午前は十時からと十一時からのやつが放映されるんだよな。もうすぐ、十時だし、十一のやつ見に行かないか? 十一時までは、適当に回る感じで。」
「オッケー。そうしましょう。」

 貴正と佐江は、最初に一組に向かうことにした。一組といえば、磨衣子のクラスである。一組に到着すると、予想よりもたくさんの人がいた。
 おそらく狙いは、磨衣子なんだろうと貴正は、思った。来客数の八割が男性である。
「結構人がいるわね。」
「ああ、これは一組優勝するかもしれないな。」
「確かに。でも、さっき他のクラスの様子も見に行ったんだけど、四組も結構人がいたわ。」
 四組は、彩香のクラスである。恐らくは、狙いは彩香であろう。

 一日目は、どうやら磨衣子VS彩香という感じらしい。
 これなら、自分たちのクラスも二日間メイド喫茶をしたほうがいいのではないかと貴正は、感じた。そうすれば、美賀子の力でこっちのクラスもいい勝負担っていたと思う。
 まあ、クラスの評価は、単純に来客数や売り上げだけで決まるわけではないのだが。
 自分のクラスの映画は果たして人が入っているのだろうかと貴正は、不安になった。
 結構長い列だったが、ようやく貴正と佐江は、六組のなかに入ることができた。
 話したこともない、六組の男子生徒(六組の中華レストランは、男性も接客をする)に席に案内された。
「貴正くんは、何注文するの?」
「うーん、適当に肉まんと、タピオカジュースにしようかな。」
「そう。私も同じやつにしようかな。」
 早々に注文を決めた。
「すみませーん。注文お願いします。」
 貴正は、店員を読んだ。
「はいはーい!」

 ボインボヨンと、豊満な胸を盛大に揺らしながら店員が近づいてきた。俺は、見間違うこともない。
 美人三姉妹のなかで、最強のおっぱいの持ち主、関水磨衣子であった。
「あら、貴正くん、佐江。二人とも、来てくれたんだ。」
「うん。美賀子のクラスの中華レストランが気になってね!」
 佐江と美賀子は、部活中も割と良く会話している。結構、仲が良いのだろうと見ていて思った。まぁ、見た感じ、マネージャー四人は、全員仲が良さそうではあるのだが。
「二人は……もしかして、デートなの?」
「そそそそ、そんなんじゃないです!」
 ものすごい、必死で佐江が否定した。そんなに全力で否定されて、貴正は少しショックだった。

 嫌、あれだけ否定しているということは、もしかして向こうは少し自分を意識しているのではないかと貴正は少し期待したが、やっぱり違うのだろうか考えを改めた。
「ただ、偶然であって、一緒に回ることになっただけだよ。」
 貴正はありのまま、起こったことを磨衣子に告げた。
「そう。安心したわ。」
「え?」
「あっ! 嫌、なんでもないわ! それで、ご注文は?」
「ああ……じゃぁ、肉まんとタピオカドリンクでお願い。」
「私も、同じものでお願い。」
「かしこまりました!」

 注文を承り、磨衣子は、席から離れていった。磨衣子は、チャイナ服を着ていて、太腿まで、生脚があらわになっていた。さらに、胸の膨らみが、しっかりとチャイナ服から強調されていた。
 とても良きだと貴正は、思った。磨衣子の接客中、磨衣子の胸に目を何度も移っていたが、佐江は気づいている様子はなかった。美賀子や彩香ほど、視線移動に気づくほど、野生の感は働かないのだなと感じた。

「ははは……デートなんて、磨衣子ちゃんって面白いね。」
 まだそれ引きのばすのかと思ったが、貴正は自分の状況について話した。
「まぁな。俺は、彼女どころか、友達もあんまりいないのになぁ。」
「え? そうなの? 以外だね。貴正くんってモテそうだし、友達もたくさんいると思ってた。」
 そんなことはなかった。友達と呼べるものは、去年のクラスには、せいぜい五十嵐くらいしかいなかった。同じ学年の部活のメンバーも貴正は自分の学年で唯一の試合出場選手ということもあり、どこかよそよそしい態度をとっていた。
「そうなんだ。貴正くんってさ……好きな人はいないの?」

「ええ?」
 突然のしつもんにマスオ以下略。
「そ、そうだね。好きな人か……」
 実は、気になる人が貴正にはいるのだが、それを誰にもいったことがなかった。


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