私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

伍長閣下目線、11章7話。【議会狂騒曲】

 今、国会議事堂両院本会議場は荒れ荒れしい。野党からのヤジの嵐、ざわめく議員、フラッシュを切る記者団。いきなりの事で何のことだかわからないだろう。私は今日、首相指名を行うことになっていた。そして数分前、首相に指名したのは…

『首相指名、自由連合党党首ヨーゼヴェネル・S・フシュガヴィリ!』

 ヨシフであった。
 まぁ、そのせいか先ほどよりヤジが止まらない。特に左翼の政党から、『立憲君主制ではないではないか!』とか、『国王の独裁体制だ!』だの『やり直せ!』だなうるさいのだよ…。
 仕方がないので、私自ら壇上に立ち、理由を説明することにした。

「彼を首相に指名した理由をご説明いたします。まず、上院下院両院の総議席を集計したところ、自由連合党が12議席ほど多い事。二つ目に国家基盤もままならい現在の国政は初代首相でもあり、建国の父でもある彼に頼んだ方が良いこと…」

 しっかりした理由だと思ったのだが、野党からは…

「それなら別の人物を起用すればよいではないか!国王に都合が付く人物ではないかね!?」
「そうだ!」

 はぁ、

「以上の理由から、ヨーゼヴェネル・S・フシュガヴィリ氏を首相に指名する!」
「独裁者だ!」
「国王は祖国を苦しめるつもりなのか!」

 聞き捨てならんな。独裁者とは…。

「では、言わせていただこう。私や首相は知っている人は知っている、異世界からの転移者だ!地球からのな!私と彼がいた世界、地球では私はドイツ連邦共和国の指導者、彼は旧ソ連政権下のロシアで数々の要職に就いたエリートだ!私も彼も政治に関しては一流だといえる。ルーズヴェール氏チャーチム氏も同じ地球からの転移者でもあり、彼らもまた一国の指導者や政界の要職に就いた。そそしてその後、私達はこの国家を作った。私達がこの国家を作った理由は1つ、地球への帰還であった。だが全員地球では死んだ身、帰還できない。なら地球で培えた能力を使い、国家を作ろうとしているだけだ!
 では聞こう!野党で今ヤジを飛ばしている人たちに聞く。
 君らはこの出来立てほやほやの国家を、の考え主義主張を尊重する国家を作れるかね?政治家は確かに強いが、国民よりも上に立ち威張れる立場ではないはずだ!私は地球で指導者時代、私欲のために政治家になったりした政治家を数多く見てきた! 
 別に私は彼を使って何かをしようとは思わない。信頼できる彼を起用しただけだ!彼の政治能力は一流だ。それこそ私以上に…。彼は政治の世界に私欲を持ち込んだり、使用しない。そんな度胸もない…。
 さらにソ連要職時代、彼は自国民を大切にしていた。それこそ当時の指導者以上に…そんな彼はこの国を豊かにしてくれる、その希望にかけて起用した。
 何度も言うが、この国の未来をかけて彼を起用した!政界介入目的でもなければ、独裁目的でもない!私欲のために彼を利用するわけでもない!
 ヤジを飛ばす暇があったら、内閣を倒す議席を取得し、首相になりなさい!批判だけではなく実力を示しなさい!」

 言ってから思ったけど、完全に内容のすり替えだな…。
 言い過ぎたかな…?と、少々言い過ぎたを後悔しながら、国王専用席へと戻った。





 後々、世論調査で何故か私の言葉を評価する…が圧倒的多数を取ったことに私は驚愕したことだけ伝えておこう。


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