私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

伍長閣下目線、11章2話。【国王は議会へ踏み入れる】

「陛下!お時間です。」

 老紳士風の職員の男が私を呼びに来る。
 それを待っていた私は、お前本当に国王か?と言われる焦げ茶色のスーツの上着を着なおし、鏡で髪をきれいに整えながら、サラリーマン用に作られた鞄を下げ廊下へと出ていく。
 午前11時ちょっとすぎ、国会議事堂内は記者団のフラッシュが聞こえる程度でしゃべり声は本棟からは聞こえない。記者団といっても私を撮っているのではなく、ヨシフあたりを撮っているのだろう。ヨシフの部屋近くから聞こえるし…。
 静寂とはいかないほどの廊下を歩き、私と老紳士は裏側の両院本会議場のいる愚痴前へとやってくる。この国初の国会とも会って、滅多なことでしか使われない両院本会議場を今回は使用する。私がやるのは主に、国会開会宣言と首相指名、上院議長指名、下院議長指名、両院議長指名を行う。
 各院の議長は候補はおり、全員有能な人材でもあるのだが、問題は首相指名である。本来ならば今日首相指名を行うはずであったが、先の選挙ではどの党も過半数を取っておらず、正直どの党の党首を指名するか判断しかねない状態なのである。つまりはまだ決まっていない。ヨシフかもしれないし、チャーチムやルーズヴェールかもしれない…。

「では、行ってらっしゃいませ」
「うむ…。」

 老紳士はそう告げると、一歩後ろに下がり静かに黙礼した。それを見届けた私は警備員が立つ扉の前に立ち、ネクタイを締めなおした。まぁ、落ち着いているようにも見えるが実際久しぶりなのでめちゃめちゃ緊張しています。心臓バクバク言ってる…!
 その扉が開き、室内の明るい光が差し込んできた。明るすぎて目を細めてしまう。
 そのとたん、拍手が巻き起こってきた。
 軽い例をし、私は静かに国王特別席まで歩いて行った。ちょうど議長の後ろの席に…

 こうして、この国初めての国会が開会された。

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