私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

真実 略歴(前)【この歴史は正しいのであろうか?】

 紀元前1世紀後半、動物しかいないフェルトワンの大地に人間が住み始めた。だが、その数万余りの人類の中に二人の兄弟がいた。彼ら兄弟を周囲からは悪魔の兄弟と言われていた。その理由は簡単、彼らが生まれた直後、両親が他界、初の誕生日を両者が迎えたころには集落に死の病が蔓延など、不幸続きだからである。
 それから数十年が過ぎ、紀元1世紀、彼ら兄弟の息子たちが周辺の集落をまとめ、一つの国家を形成した。クルーウォール帝国、またの名を、悪魔の大帝国である。そして、彼ら兄弟の息子たちは文から一つの欲望を託されていた。

 全世界統一国家の形成である。

 つまり、フェルトワンのみならず、多次元世界(地球含む)のすべての大陸や大地を征服することであった。
 だが、恐ろしいことに、彼らは形成して1年もたたずにフェルトワン全域を征服してしまった。0013年である。西大陸から始まり、中央大陸、極東大陸、現国連島、現異次元門島すべてを征服した。
 0020年、12年の歳月をかけ、異世界へと行ける門、現異次元門が作れらた。そして、彼らは念願だった異世界征服をする…はずだった。
 0051年12月の寒空の日騎士団の一つであった、元明団が帝国に反旗を翻すような形で、皇居、国議会堂を無血占領した。その時、皇居や国議会堂の国旗は赤い旗に白い丸が書かれ中に、黒く輝く五芒星に鉄十字が空でなびかせていた。
 そして数日後の0052年1月12日、帝国政権クルーウォールは皇帝の処刑、クーデター派による新政権新国家新憲法の制定により崩壊した。そしてその崩壊直後に新国家ヴィルへヴィアルム連邦が現国連島で建国宣言された。
 完全な民主政を目指すために、貴族制を全面撤廃し議会を選挙制にした。国家元首および首相は連邦議会の常任委員長の中から選出される仕組みだった。これで、しばらくは安泰…そう思われていた。
 連邦議会に一人の男が選出された。
 男の名はブロームント…帝国の生き残りであり皇位継承権を持った皇族の残党であった。そんなことは全く知らない連邦議会では遂に彼は常任委員長へと就任し、国家元首の地位まで這いあがった。0097年のことである。
 そして、独裁ともとれる恐怖政治が行われ始めた。そして国家は分裂した。神聖クルーウォール大帝国とヴィルヘルム大公国の二つである。
 だが両国の国内政治状況はまさに雲泥の差であった。
 神聖帝国は年を重ねるごとに軍備を拡張し続け、国内政治をおろそかにしていた。それとは正反対にヴィルヘルム大公国は国内政治を中心とし、国防は二の次になっていた。

 紀元2世紀前半、両国が長年覇権争いをしていた国連島と周辺海域で両国は大規模な軍事衝突があった。当時の2か国の覇権は西大陸全域と中央大陸北部を神聖クルーウォール大帝国が、中央大陸南部(現ヴィルヘルム大公国領)と極東大陸をヴィルヘルム大公国が占めている状態だった。
 国連島での軍事衝突は20年以上続いた…ある兵器が出てくるまでは…
 その兵器は、核
 世界を滅ぼすことを前提にしたような兵器であった。
 最初に持ったのは2か国ではない。西大陸のヴェルト州連合王国…旧名大英州帝国である。突如として出現した新国家は核という超兵器を盾にし、西大陸南部全域を占領併合した。そして、世界の軍事バランスが全く間に崩壊した瞬間であった。

 して、最初に行動を起こしたのはヴィルヘルム大公国である。
 紀元2世紀後半、2ヶ国は不可侵条約及び安全保障条約を締結し、神聖帝国包囲網の構築を始めた。現在の国際統合連盟の前進組織である、国際連合の独自制裁により、神聖帝国は軍事にも国内内政にも衰弱しきった状態が目立ち始めた。
 崩壊も近い…世界中でそのように思っていただろう…。だが、悲劇は起こった。
 大英州帝国の核ミサイル発射場でコンピューターの超誤作動により1発のICBMが発射されてしまった、それは真っすぐにある場所へ着弾した。
 そこは……自国内に試作中であった原子力エンジン…原子力発電の総合研究所付近であった。もちろん、そこには大量の核があるので、超新星爆発真っ青な大爆発を起こした。
 そして…その爆発により、人類の文明や精神、そして一つの島がフェルトワンより失われた。大英州帝国はもちろん、神聖帝国は見るも無残に崩壊し、ヴィルヘルム公国はかろうじて残ったが、文明、科学技術は衰退していた。

 そこから人類は緩やかな衰退へと向かっていったが、紀元5世紀異次元門で異変が起こった。赤い旗に鉄十字…ナチス・ドイツが時間をさかのぼり、20世紀の地球から文明レベルの低下真っ盛りのフェルトワンへやってきたのである。
 そのころ、旧神聖帝国地下研究所で密かにとある組織が始動を開始した。組織の名は元老会…老人会ではないが、元老院の前進の組織と言われている。
 彼らは、神聖帝国時代に研究された、核兵器および放射能無効化技術の開発試作製造に勤しんでいた。 そんなとき、ある男児が地下研究所で発見された。
 彼の名は神郷妙圓…ス連初代大天皇帝である…だが、これは世間的に知られている名前…、諸説はあるが軍神だったという説がある。あくまで説なので…。
 しかし、彼が発見されたとき、それをにおわせる証拠もあった。
 この研究所は3世紀も前に破棄された場所である。そこに生きた状態で見つかることはあり得ない。そして、あり得ないことに彼は死ねなかった。ある時、彼は誤って巨大水槽に転落した、だが、発見された彼は酸素を関係ないように無邪気に遊んでいた。溺死レベルの長時間潜水は人間ではできない…そう書かれていたのである。

 582年8月21日、ナチス・ドイツの総統アドルフ・ヒトラーの自殺によりフェルトワンにやってきたナチス残党はある者は地球へ帰還し、そしてある者たちは、一つの兵器を作りそれを海中深くに埋め閉じこもった。
 アドミラル・ツェッペリン級…そう名付けられた兵器に…。
 そして、その兵器はしばらくは世界に浮上することはなかった。

 紀元6世紀、現ス連邦都市、ロンドメル、旧名大英州帝国属領マスケット共和国で元老会を主軸とし、一人の男児を国王にする、ス連邦が建国された。その時、世界に存在する国家はヴィルヘルム大公国のみだったので、瞬く間に周辺を開拓していき、西大陸の新たな…そしての国家になった。
 そう、ヴィルヘルム大公国は滅びていた。紀元5世紀後半あたりでは確かに存在した。だが、滅びていた。
 ス連邦は、今までの国家運営とは違い、完全連邦制の民主主義型帝政であった。つまり、自治共和国として、ツァール共和国とアメルバリカー共和国が(のちに独立するが)、元老会の他に国会を作り、民主主義化を目指したが、国家元首を嫡男制の帝国政権を維持するという、お前らの国、頭おかしいだろう…状態であった。

 しばらくは世界情勢は安定しており、元老会の歯止めもあって、世界はス連邦圏と自治区などが点在する状態だった。
 だが、新たな脅威が訪れた。
 紀元6世紀後半、極東大陸では、国家形成はされず、無法地帯ともなっていたが、そこに一つの国家が建国された。
 カルファベルト神宮帝国…フェルトワンで唯一の魔素の研究をし、魔術により文明力を上げた魔法国家である。科学と魔術…この二つは古代より険悪なものであった。
 極東では、魔術の研究が盛んだったが、西、中央大陸は科学技術が盛んだった。そのため、ス連邦圏は魔法国家である神宮帝国を激しく警戒し、国家の建国の認可を出さずにいた。
 これに腹を立てた、神宮帝国はス連邦圏の一つ、現レ連の本島に強襲上陸し、占領した。これを口実に、ス連邦圏は、692年9月の1日に宣戦布告、第1次世界大戦が勃発した。

 両国の戦争は一進一退の大攻防戦だった。
 699年ス連邦は現レ連の本島を解放した。死者両国合わせて12万人
 702年神宮帝国はス連邦圏の一つ、アメジスト講和国を陥落させた。死者両国合わせ22万人
 戦線はあちらこちらに飛び火し、両国はその戦線の維持が不可能に近くなってきた。決定的だったのはバニラ要塞の戦いだった。
 この戦いは戦争初期から激戦区となり、30年たっても決着がつかず、数百万もの兵がここで命を落とした。いまだに、この記録は破られていない・・てか破れるか!
 あまりにも膠着が長引いたため、両国の兵士間である交渉が行われていた。
 そして、741年突如として、両国の兵士が将校を殺害、一斉に決起した。その両国の兵士たちは、バニラ要塞のあるペルシアント地方で独立、国家を建国した。
 名をペルシアント王国…最初で最後の独裁国家である。

 両国は、この行為が各戦線で行われるのじゃないかと焦り始め、748年講和会議と不可侵条約の締結を行い、第1次世界大戦は終戦を迎えた。 
 しかし、講和の時は遅かった。
 この戦争で、ス連邦圏の中から、ツァール公国、アメルバリカー合衆国連邦、ヴェルト州連合王国、ペイルスルス王国、ナシルダ王国、カール大帝国、ベーレル共和王国の7か国が…。神宮帝国から、ポルトブルクトフ皇国、聖帝国ルべラント、極東連合、北東連合、東西連合、南極連合の6か国が独立した。
 戦争の間や、その後に実に13か国が2つの陣営から独立したのである。



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