私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

ヨシフおじさん目線、9章2話。【講和会談は簡単には行われなかったよ…】

 講和会談。
 私はそう思っていたが、実際あの2個中隊はただの威力偵察だった…。
 威力偵察とでもいうべきなのだろうか…。ってそれは今さっき言ったこと。正直言うが、私は早く白旗を上げてくれないだろうか…。と思っている。おそらくここにいる兵士すべてがそうだろう。
 しかもこの基地ではやることなすことが全くない。娯楽がない。びっくりするほど暇である。いや、逆に娯楽があったらそれはそれで…
 静かな戦争…まさにこういうことを表すのであろう…
 コンコン

「失礼します」

 部屋の中に一人の男が入ってくる。
 彼の名は木城 晴彦氏、現ス連邦外務省対異世界局に勤務する公務員である。
そんな彼がここに来た理由…

「もう、交代の時かね?」
「はい」

 そう、私はあくまで一国家の首相としてやってきただけあって、職務上の都合で在住時間が限られている。
 そのために後任として、彼、木城 晴彦氏が全権大使の職を継ぐことになっていた。

「しかし、私よりも若いのに、こんな重役大丈夫かね…主に精神的退屈面で」

 そこを尋ねてみたら…

「ははは、確かにつらいと聞いてますが、私はこう見えて精神的退屈面は強いほうだと思いますよ…」

 そう笑いながら答えられた。むぅ、そうか…ならいいのだが…。

「おっと、一応講和を受け入れる姿勢が相手方に出てきたら連絡をくれ…」
「了解しました」
「では、木城 晴彦君!あとは任せたよ」
「はい」

 荷物をまとめ、髪を愛用のくしで軽く整えたら、部屋を出ていった。
 そのまま、正面玄関前に止まってあった国連軍のジープに乗り込み、再度異次元門をくぐる。
 その異次元門の暗闇の中、私にはある疑問があったので、思い切って聞いてみることにした。

「運転手さん。この光は何なんですか?」

 暗闇の中、ぽつぽつと青色の光がある。
 電灯のようにも思えるが、こんなところに電気が通っている訳はなく…。

「さぁ?実は我々もわからないんだよねぇ」

 実態は不明のままであった。
 っと、進行方向にうっすら光が差し込んでくる。
 それが徐々に大きくなっていき、あまりの太陽光の眩しさに目を閉じてしまった。
 数分後、ゆっくりと目を開けると、そこは…。幻想的でもなく、ただの平原が広がっていた。
 つまり、私にとっての第2の故郷となってきているフェルトワンに帰ってきたのである。

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