私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

ヨシフおじさん目線、2章3話。【彼は南国の光景を初めてみる】

  青い空、青い海そして似合わない私の服装。そして一行開いていた文。
 指導者時代の服装に革靴、整えられた髪に立派なお髭…という、海に全く入る気がない格好でやってきている。

「あぁ、きれいだ。私の本国では見られなかった南国の光景だ…」

 っと、その前にやるべきことがあったな。
 私は国連行きと書かれた看板を見つけ船のチケットを買うことにした。場所はちょうど、桟橋へ向かう道の途中であった、

「すまない。国連行きの船のチケットが欲しいのだが」
「国連行きですね。お1人ですか?」
「あー、私と奴の分…2人分くれないかね」
「お2人分ですね。時刻はどうしますか」
「2時間後の船のものを…」

 私がそういい終わると受付の女性はチケットの発行をしている。
 なるほど、この国では女性も働くことができるのか…。私がいた時代なんか、グス、女性なんか、グス、働けなかったのに、グス、いい時代になって、グス……っと心の中で泣いていた私です。
基本的人権の尊重万歳!あとグスって鼻をすするときの音だぞ!間違えちゃぁいかん!

「2時間後の国連行きチケットお2人様で、620円になります」

 ポケットから1万円札を取り出した。
 1万円札には人が書いてあるが私は日本人ではないからして、誰かはわからない。噂だと、福沢…なんとかさんという人だそうだが…
 1万円札を受け取った受付の女性はお釣りを取り出し私にチケットと共に渡してきた。

「ありがとうございました…」
「…一つ聞きたいのだが」
「なんでしょうか」

 ここにきて私はあることに気が付いた。
 彼女もそうだが国民のほとんどに疲れが見える。まるで残業帰りのお父さんみたいな…

「私は最近この国に来たのだが来たのだがこの国は戦争でもあったのかね」
「…………」

 彼女は口を濁らせ黙り込んだ。
 やはりか、どうもこうも警備兵の多さといい国民の元気のなさといい明らかに戦時中であった。どこの国でも戦争当事国の国民は大変だね…政府などの勝手な判断で…私が子供のころ、父親が戦争で殺されたのだが、その戦争を行った政府を私は恨んでいたことがあってな…

「私が行ったことは内密にしてください。確かにこの国は戦争中です。停戦中ですが噂だとこの国の工作員がス連邦に攻撃を仕掛けようとしました。ですが失敗に終わりこの国の北部はス連の、この町は国連の管理下となったんです」
「そうか、理由は何かね」
「過去にあるのですが詳しくは国連の資料館で調べてみてください」

 彼女はそう言い終わると受付の奥へと消えていった。
 なるほど…やはり戦時中だったか。
 私は腕を組みながら待ち合わせ場所の喫茶店へと戻っていった。

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