私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

伍長閣下目線、2章2話。【おもてなしは永久に記憶される】

「いらっしゃいませ。クリーニングですか?それとも…」
「いや、クリーニングにしたいのだが。この服なのだ、ガソリンがかかってな」

 白く塗装されているであろう、きれいに施された内装には猫の耳を生やした女性が元気よく挨拶をしてくる。ふむ、元気がよろしいことで、何より何より…、戦時中とはいえ元気なことは大事だぞ……。
 早速着ていた、やつれている軍服をカウンターへと差し出す。すると店員は服を顔に近づけ匂いを嗅ぎ始めた。

「…なるほど。申し訳ございませんが、これは新しいのをそろえた方が安そうです。もしクリーニングする場合1万2千ほどいただきますが…」

 その言葉に私は少々驚いた。そんなにひどかったのかその服…。
 結構丈夫に作られたのだが…まぁ、においには関係なかったけど。

「いや、結構。新しいのにするよ」
「それでしたら、うちの隣が服屋なんですよ。今なら安いと思いますよ」
「それはどうも。そっちに行ってみるとするよ」
「ありがとうございました!」

 扉を開けそのまま右隣の服やに入っていく。
 ファッションブランド、ヴェルリア…ここか、なるほどこの国の伝統服から…ほぉ、スーツなどもあるのか。
 そう思いながら入り口の扉を開けると、

「いらっしゃいませ。ヴェルニアへようこそ」

 今度は人間の男性が店奥から出てくる。
 うむ、普通のお店だ。だが悪くない。こういうお店はこの世界ではなぜか安心するのだよな…

「どういう服をご購入に?…」
「あぁ、じゃぁスーツを」

 男性にこちらにとに案内された先にはスーツが一式そろっている場所だった。
そしてまず真っ先に値札を確認した。
 全品千2百円…!すごく良心的な値段だった。もう一度言おう、良心的だった。
 私のいた国だと5千円から1万円はするだろう。
 その中から焦げ茶色のスーツを持ち試着室へと入る。ふむ、なかなか良い生地だ。サイズもいい。これを買うとするか。



「ありがとうございました。」

 元着ていた服を紙袋に入れてもらい、買ったばかりの焦げ茶色のスーツを着込み、私は店を後にした。
 実は店員の男性に勧められてセットで靴も購入したのだが、それでも2千円行かなかった。
 ファッションブランド、ヴェルリアか。よく覚えておこう。また世話になるかもしれないからな…。
 ……なんだ?おかしい。さっきからよく警備兵の姿をよく見かける。
 町の警備にしてはさっきから皆一定の方角へとみんな向かっているんだよなぁ。

「っと、いかんいかん。当初の目的を忘れるところだった。地理を調べるには…図書館が安定してるか」

 そう思うと、私は行く途中にそれらしき大きな建造物があったのを思い出し、そちらの方角へと向かった。


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