私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

伍長閣下目線、2章1話。【彼は第1印象を変える】

 その後、わしらは昼飯を食いに近くの喫茶店へと入っていった。
 お金のことなのだが、偶然私のポケットに5万円が入っていた。
誰がいれたか知らんがそれをありがたく使わせてもたうことにしよう。

「さて、わしらは情報を収集した。お前はこれからどうする」

 コーヒーを飲んでいた私にヨシフが紅茶を右手に持ちながら尋ねてくる。

「そうじゃな…仕事があればいいのだが…」

 だが、50過ぎているはずのわしらに仕事なんてあるはずもない。あるとするならば軍の将官や軍
事学校の教官ぐらいだろう。あとは簡単な作業やコメディアンとか?

「一ついい仕事がある。わしらの本来の職業じゃよ。」

 それを聞いた瞬間、ヨシフが言いたいことがすぐに分かった。政治家…私たちはもともと指導者だったはずだ。正確には私のみだが…。
 紅茶を置き窓の外に移る景色を見とれながら話すヨシフ。お主相変わらずにあっとらんな…

「しかし、国籍はどうする?この国だと…」
「いや、方法はまだある。何もこの国の指導者じゃなくていい。新国家の指導者となればいいんじゃよ」
「…ヨシフよ、頭でも打ったのかね」

 ヨシフの正気を疑ってしまった。
 新国家なんぞ、そう簡単に作れるわけ……。

「それができるのじゃよ、伍長君。実は図書館に行ったときある本があってな。その本に新国家建国について書かれていたんじゃよ」

 ヨシフの話を聞く限りでは、簡単にまとめると次の通りである。

・新国家はどこの国の領地でもない場所のみ作ることが可能。

・指導者を最低2人決めなければならない。

・国名、国旗を国連に提出して受理されれば建国となる。

…何というか、新国家というものはそう簡単にできるものなのかね…
2番目は大丈夫そうだが…

「どこの国の領地でもない場所なんてものがあるのかね……聞いとるのか?」

紅茶のお代わりを頼んでいたヨシフに尋ねる。

「らしいぞ。最近建てられた新国家だと、カルコフ公国という永世中立国が大国に挟まれた形で誕生したそうだ。」
「…まさか、100年前とかいうなよ。」
「10年前だそうだ」
「というか、カルコフって、貴様昔そんな地方を治めてたじゃないか」
「…確かに。」

 こいつ、覚えてなかったな。
 というかさりげなく私のツッコミをさりげなくスルーしたヨシフ、に対しテーブルの下で奴の靴を踏む。まぁボケかは自分でもわからなかったラインだが…。
 驚いてこちらを向いたが、何事もなかったような顔をして見せると黙って窓を見つめるヨシフ……貴様似合っとらんぞ。

「じゃぁ、ここから二手に別れるか。貴様はどの国にも属していない領地を、私も探してみるとしよう」
「お、おう。じゃぁ2時間後ここの喫茶店で」

 奴に2万を渡すと私は金を払い外へと出ていく…が、その前にこのガソリンくさい服をなんとかせにゃならんか。
 そう思ったはクリーニング屋へと足を運んだ。というか、絶対ヨシフ気が付いていたよな?!何で指摘しないのだよ!そう私は怒りを覚えた。

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