チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記
第二十一話 始まりの日
新しい村に迎え入れられた村人は感涙に包まれた。 
村人たちが移住してから、細かな家具の作成を女性の村人が、家などの建築はメリウス達3人を中心に男たちが、食料などは定期的にプリテを中心に採集や狩猟を行った。
冬であっても森の中は豊かだった。
春には春の、夏には夏の、その季節に合わせた恵みを自然は与えてくれる。
「メリウス様ー! こっちの基礎はできましたー!」
「おおーう! それじゃぁ壁材作っておく!」
「カイン様! この寝床はどの家に?」
「あっちの家に、あ、そっちの棚はあちらの家です」
「プリテ様こちらのきのこは大丈夫ですか?」
「うーん、これこれとこれは食べられない。でもこれすりつぶせば虫除けに使える」
村人と三人の力で新たな村はどんどん形作られていく。
中央の館を寝床していた村人の各家は、一軒一軒と増えている。
それぞれの家庭に石窯が用意されてすべての家で火を使える。
寝室、食堂、水場が作られている。
村人自身の手によって家具も充実していっている。
棚が作られ、机、椅子、食器、石造りの鍋、焼板、寝具一通り揃えられている。
食料は中央の食料庫に村全体としての食料、基本的には余剰食料が収められていく。
各家庭が採取、狩猟したものは各家庭で利用する形になっている。
そして、今日は上の村から、正確には水場から水路が完成した。
「いくぞー! 狼煙を上げろー!」
狼煙が上がり、しばらくすると木組みで作られた水路に水が流れてくる。
その流れはどんどん強くなり、やがて安定してくれた。
その水の流れと、瓶にどんどん溜まっていく水の姿に、村人から歓声が上がる。
これで以前より多くの水が利用できるようになった。
水路には石蓋がかぶせられて余計なものがまじりこむことを防いで完成する。
安定して大量の水が得られれば農業も始められる。
生活に利用する以上の水はさらに下流に、土を掘った水路を作って草原へと巡らせる。
農業用水と下水用水の2つのルートを作ることで水を効率的に使えるようにするのと同時に、村の中の衛生状態を維持することにも考えられている。
農業用水の水路を巡らせ、その周囲の土地に実をなす木を植えていく。
森の恵を安定して供給できる体制づくりの一環、簡単な農場が作られる。
農場の周囲に柵を作っていく、村を囲うものよりは簡素だが、いざとなれば村へと逃げ込める時間稼ぎができればそれで十分だ。
村を囲う壁は厚みをまして上部を人が渡れるようにしたり、時折高台を設置していく。
こうすることで村の周囲を高くから見下ろせる。
外敵の接近や、農場をしている人々への注意喚起などに役立つ。
村を作る道具だけではなく、村を守る武器も作られている。
今では男衆は弓を扱い、剣や槍を使える。
弓を扱うのは狩猟にも活かされる、剣や槍を振るうことで体は鍛えられる。
女衆だって弓を取れば見事に獲物を獲ってくる。
男女ともに逞しくなっている。
食事が満たされているので、皆の体つきはどんどんとたくましくなっていく。
栄養不足状態から十分な食事と安心して眠れる寝床、それに運動。
村人は異常な速度でたくましくなっていたのだが、3人は気がつくことはなかった。
このように村を囲む環境は劇的に変化していく。
冬もあっという間に過ぎ去って、既に暖かくなってきている。
人々はこんなにも満たされた春を迎えたのは初めてだった。
「おお、ようやく新芽が出たな!」
無茶苦茶な時期に木々を植えたが、見事に新芽が並んでいた。
「そう言えばモーラさんの家、またお子さんができたそうですよ」
「おお、めでたいな。後で豚でも持っていくか」
「モーラは元気」
「まったく誰だプリテに変なこと教えるのは……」
メリウスは以前の記憶と持ち合わせる記憶に欠落したものがあった。
それは子供に関してだ。戦いに明け暮れ、生きることに必死だった彼にとって、家庭を持って子をなすということに関する記憶が、知識が欠落していた。
その結果、この村の子供の異常な成長、出産頻度、それに気がつけなかった。
そして村人の成長にも。
子がよく育つ、そのことがメリウスにとっては嬉しすぎて、目を曇らせていた。
「メリウスさまー、きのことれたー」
「おお、偉いなぁ。今日は母親にきのこ汁にしてもらえ」
「うん。またねーメリウスさまー」
子どもたちが村の中を元気よく走り回っている。
メリウスはこの光景が見たかったのだ。
穏やかな時間は長く続いた。
メリウスを怒りに捉える魔物も気配を見せなかった。
森からの恵みは村を豊かにした。
農場もどんどん大きくなる。
活動範囲を広げたことで鉱石などを含む山も見つかった。
たくさんの苦労の末に品質は低いが鉄も作れるようになり、メリウスの剣によって鉄製の道具も作れるようになる。
それらを使って村人でも鉄を加工できるようになっていく。
森に住む一部の動物を飼育することも始まっている。
特に鳥を利用した卵の安定供給は簡単でありがたかった。
豊富な体毛で包まれたおとなしい動物を飼うことで繊維を得ることが出来るようにもなった。
衣服も動物の皮とその毛を使って益々利便性が上がっていく。
村の人口も増えていた。
異常な速度で、子の成長は早く、次々と子をなしていく。
さすがのメリウスもその異常さに気がつくことになる。
驚くことに、3年の月日が経ってからだ……
「なぁ、カイン……村の子供……なんか成長が早くないか?」
「そうですか?」
「私たちはー、一年で成人してーながーく大人でいて、年を取るんだよーメリウスー」
「……私達……? もしかして……」
「まぁ、いいじゃないメリウス!
今日は村の創誕祭だよー、準備も忙しいし、メリウスもいっぱい働いてねー!」
カインもプリテも3年の月日ですっかり立派な青年、女性に成長している。
二人はメリウスの両腕として村の運用で欠かすことの出来ない家族になった。
その日は盛大なお祭り、新しい村が作られた、新しい年の始まりの日だった。
1月1日
この日がメリウス、そしてカイン、プリテにとっての大事の始まりの日となる。
村人たちが移住してから、細かな家具の作成を女性の村人が、家などの建築はメリウス達3人を中心に男たちが、食料などは定期的にプリテを中心に採集や狩猟を行った。
冬であっても森の中は豊かだった。
春には春の、夏には夏の、その季節に合わせた恵みを自然は与えてくれる。
「メリウス様ー! こっちの基礎はできましたー!」
「おおーう! それじゃぁ壁材作っておく!」
「カイン様! この寝床はどの家に?」
「あっちの家に、あ、そっちの棚はあちらの家です」
「プリテ様こちらのきのこは大丈夫ですか?」
「うーん、これこれとこれは食べられない。でもこれすりつぶせば虫除けに使える」
村人と三人の力で新たな村はどんどん形作られていく。
中央の館を寝床していた村人の各家は、一軒一軒と増えている。
それぞれの家庭に石窯が用意されてすべての家で火を使える。
寝室、食堂、水場が作られている。
村人自身の手によって家具も充実していっている。
棚が作られ、机、椅子、食器、石造りの鍋、焼板、寝具一通り揃えられている。
食料は中央の食料庫に村全体としての食料、基本的には余剰食料が収められていく。
各家庭が採取、狩猟したものは各家庭で利用する形になっている。
そして、今日は上の村から、正確には水場から水路が完成した。
「いくぞー! 狼煙を上げろー!」
狼煙が上がり、しばらくすると木組みで作られた水路に水が流れてくる。
その流れはどんどん強くなり、やがて安定してくれた。
その水の流れと、瓶にどんどん溜まっていく水の姿に、村人から歓声が上がる。
これで以前より多くの水が利用できるようになった。
水路には石蓋がかぶせられて余計なものがまじりこむことを防いで完成する。
安定して大量の水が得られれば農業も始められる。
生活に利用する以上の水はさらに下流に、土を掘った水路を作って草原へと巡らせる。
農業用水と下水用水の2つのルートを作ることで水を効率的に使えるようにするのと同時に、村の中の衛生状態を維持することにも考えられている。
農業用水の水路を巡らせ、その周囲の土地に実をなす木を植えていく。
森の恵を安定して供給できる体制づくりの一環、簡単な農場が作られる。
農場の周囲に柵を作っていく、村を囲うものよりは簡素だが、いざとなれば村へと逃げ込める時間稼ぎができればそれで十分だ。
村を囲う壁は厚みをまして上部を人が渡れるようにしたり、時折高台を設置していく。
こうすることで村の周囲を高くから見下ろせる。
外敵の接近や、農場をしている人々への注意喚起などに役立つ。
村を作る道具だけではなく、村を守る武器も作られている。
今では男衆は弓を扱い、剣や槍を使える。
弓を扱うのは狩猟にも活かされる、剣や槍を振るうことで体は鍛えられる。
女衆だって弓を取れば見事に獲物を獲ってくる。
男女ともに逞しくなっている。
食事が満たされているので、皆の体つきはどんどんとたくましくなっていく。
栄養不足状態から十分な食事と安心して眠れる寝床、それに運動。
村人は異常な速度でたくましくなっていたのだが、3人は気がつくことはなかった。
このように村を囲む環境は劇的に変化していく。
冬もあっという間に過ぎ去って、既に暖かくなってきている。
人々はこんなにも満たされた春を迎えたのは初めてだった。
「おお、ようやく新芽が出たな!」
無茶苦茶な時期に木々を植えたが、見事に新芽が並んでいた。
「そう言えばモーラさんの家、またお子さんができたそうですよ」
「おお、めでたいな。後で豚でも持っていくか」
「モーラは元気」
「まったく誰だプリテに変なこと教えるのは……」
メリウスは以前の記憶と持ち合わせる記憶に欠落したものがあった。
それは子供に関してだ。戦いに明け暮れ、生きることに必死だった彼にとって、家庭を持って子をなすということに関する記憶が、知識が欠落していた。
その結果、この村の子供の異常な成長、出産頻度、それに気がつけなかった。
そして村人の成長にも。
子がよく育つ、そのことがメリウスにとっては嬉しすぎて、目を曇らせていた。
「メリウスさまー、きのことれたー」
「おお、偉いなぁ。今日は母親にきのこ汁にしてもらえ」
「うん。またねーメリウスさまー」
子どもたちが村の中を元気よく走り回っている。
メリウスはこの光景が見たかったのだ。
穏やかな時間は長く続いた。
メリウスを怒りに捉える魔物も気配を見せなかった。
森からの恵みは村を豊かにした。
農場もどんどん大きくなる。
活動範囲を広げたことで鉱石などを含む山も見つかった。
たくさんの苦労の末に品質は低いが鉄も作れるようになり、メリウスの剣によって鉄製の道具も作れるようになる。
それらを使って村人でも鉄を加工できるようになっていく。
森に住む一部の動物を飼育することも始まっている。
特に鳥を利用した卵の安定供給は簡単でありがたかった。
豊富な体毛で包まれたおとなしい動物を飼うことで繊維を得ることが出来るようにもなった。
衣服も動物の皮とその毛を使って益々利便性が上がっていく。
村の人口も増えていた。
異常な速度で、子の成長は早く、次々と子をなしていく。
さすがのメリウスもその異常さに気がつくことになる。
驚くことに、3年の月日が経ってからだ……
「なぁ、カイン……村の子供……なんか成長が早くないか?」
「そうですか?」
「私たちはー、一年で成人してーながーく大人でいて、年を取るんだよーメリウスー」
「……私達……? もしかして……」
「まぁ、いいじゃないメリウス!
今日は村の創誕祭だよー、準備も忙しいし、メリウスもいっぱい働いてねー!」
カインもプリテも3年の月日ですっかり立派な青年、女性に成長している。
二人はメリウスの両腕として村の運用で欠かすことの出来ない家族になった。
その日は盛大なお祭り、新しい村が作られた、新しい年の始まりの日だった。
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この日がメリウス、そしてカイン、プリテにとっての大事の始まりの日となる。
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