ハガルの雨

Huyu.

仙斎茶と時


 太陽は沈まない
 月はのぼらない

 一度自分の手に入ったものは、それを手にした瞬間よりもっともっと欲しくなる
 自分の中に存在する欲望は星のように限りなく、それは太陽や月がのぼらず沈まずずっとそこにあるみたいだ

 時は儚い

 ならば、時を刻む太陽がのぼらなければいい
 時を急かす月が沈まなければいい
 地球が自転をやめればいい


 はじめからそうであったように、みな植物のようにただそこに生き、死を迎えるその時だけ 大きく息をして大きく羽ばたいて大空に飛び立てばいい

 それだけの世界だったなら、どんなに平和だろうか
 どんなに平和で単調だろうか

 一面に花が咲く季節
 自分だけがいない世界を想像したとき、平和で単調な香りと風の温もりが自分の周りにまとわりついて離れない

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