ハガルの雨
桔梗と境界線
 言葉にならないその空間と時間
 そこに名前なんて付けちゃいけない
 そう思ったんだ
 右には燃える太陽が沈んで
 左には凍る月が姿を現しはじめようとする
 陽と陰、半分になんてなるはずのないそれ
 暖かい風がスカートの裾を揺らして
 冷たい雫が髪の毛を濡らそうとする
 春と冬、半分になるはずのないそれ
 地平線なんていらない
 時間なんていらない
 線なんていらない
 基準なんていらない
 本当は境界線なんてないのに
 人は全てのモノに境界線をつけたがる
 境界線のない世界、そこは誰もが望む理想の世界か
 
 いつ始まったのか知らずに生まれてきた私たちには、いつ死ぬのかも知ることは無い
 始まりも終わりも最初から存在しないんだ
 地平線なんていらない
 時間なんていらない
 線なんていらない
 基準なんていらない
 全てなめらかに真っ平らな世界、そこは誰もが欲しがる神の世界か
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