ハガルの雨
朽葉と夜明け
 川に映る一筋の街灯の光は、いつにも増して寂しそうにおぼろげに
 雪に変わった雨は、黒に流れる川に吸い込まれて跡形もなく消えてゆく
 雲の中から川の水に触れるまでの儚い存在
 橋の手すりを握る手は冷たい
 風の波に溺れてゆく体はまだ温かい
 僕はその儚い瞬間を目撃して感じたんだ
 僕も儚くて一瞬でちっぽけだと
 黒に吸い込まれるまであとどのくらい待てばいい?
 再び、雪は雨へ
 雨は黒に吸い込まれる
 雪より雨 雨より僕のほうがはやい
 僕は――
 ふいに濡れてゆく僕の存在が雨の存在として輝き始めた
 なんだ、こんなもんか
 僕は微笑みながら橋の手すりから手を離したんだ
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