冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

冒険者は最強職ですよ? 1

残るは魔王ただ一人となり、皆のやる気は最高潮まできている。そのせいか、何やらジンとブラック以外は半分浮かれている。

「わっはーい! もうすぐで魔王を倒せるのよ!」

「私は魔王を倒したら、次はジンをベットに倒して……ぐへへへへぇ……」

「ん? 呼びましたかへレーナさん?」

「何も言ってないわ」

「へレーナさん、それはずるいですよ! 私だって密かに勉強してたんだからね……魔法を使わずに快楽に落とさせることなんて容易い事よ!!」

 がやがやと騒ぐ一向に、ジンとブラックは溜息をつく。

「少し浮かれすぎですよ……僕なんて内心ビクビクしてますよ……」

『我もだ。だが、ここまで来た以上、もう後戻りなどできん。やれるだけのことはやるのだ』

「やりきりますよ。絶対に」

『ジン、少し成長したな。我は嬉しいぞ!』

「え、あぁ、はい?」

 グダグダな感じで歩みを進めていると、突然女神が、ジンに焦るような声で話しかけてくる。

『まずいわ! 強い魔力を感知した! 揺れに備えて!』

 ジンは咄嗟に"龍神化"を発動し、皆にも注意を促す。

「揺れに備えろ! 魔力波が来るぞ!」

 その瞬間、強い殺気が篭った波動が、ジン達を通過した後、激しい揺れがジン達を襲った。

『な、なんだこの揺れは!?』

「こ、この揺れは何!? 酔いそうなんだけど!!」

「我慢しろ馬鹿レベッカ!」

「ば、馬鹿レベッカですって!? ……な、なんかドキッと来ちゃった……」

 その後、揺れは止まり、怪我はないかと確認していると、頭の中に直接話が飛び込んでくる。

『貴様ら、良くもまぁ我ら魔王軍を皆殺しにしてくれたなぁ……特に女神の力と赤龍の力を宿す小僧。貴様だけは我が直々に殺してやる』

「な、なんか頭の中に直接声が!?」

 この感じは女神が話しかけてくるのと似た感じだな……。レベッカ達は驚いてるな。

「なら早く出てこいよ?」

『……良かろう』

 そう言うと、先程まで廊下を歩いていたのに、とある部屋へと瞬間移動させられる。

「これは……瞬間移動魔法か?」

『違う。これは魔法ではない。城の特性だ』

 その声は、ジンの背後から聞こえ、すぐ様戦闘体制になって振り返る。魔王は、玉座で頬杖を付き、足を組んで座っていた。

 その姿は恐ろしく、顔にはいくつもの傷。魔王と言わんばかりの服装をし、ジンの二倍はあろう身長に、何者をもビビらせるかのような目。それを見た時、ジン以外の者は、恐怖で立ち上がることすら出来なかった。龍のトップ、レッドでさえも……。

「貴様が……魔王」

『あぁ。我が名はワールド=ヘル=エンド。……なんだ、そこで今にも逃げ出しそうな面をした者共は?』

 殺気しか感じられない……これはコイツらにはちときちぃか……。

『貴様らは邪魔だ。貴様らは大人しく、コイツが無様に殺される姿を見ていろ』

 そう言った次の瞬間、目の前からレッド達が居なくなり、玉座の横にあった牢屋に出現する。

「お前は……人を自由に移動させられるのか?」

『これは城の特性だと言っただろ? 我の魔法ではなく、ある特定条件でのみ発動できるものだ。まぁそれは教えんがな?』

「まぁどうでもいい。こっちは体温まってんだよ。てめぇはいつまで玉座に座ってんだ?」

『まぁそう急かすな。いきなり殺すのも面白くない。……少し話をしようじゃないか?』

「話? そんな余裕ぶっこいいてていいのか?」

『何、ほんの少しだ。我の質問に答えてくれればそれでいい』

「どんな質問だ?」

『……なぜ、我々が貴様らを殺そうとするか知ってるか?』

「はぁ? なんだそのクソみてぇな質問は? そんなの、人間が憎いからだろ?」

『あぁ、大正解だ。なんで憎んでるのか知りたいか? それは……』

 少し間を置き、エンドは両手を広げて声を大にして叫ぶ。

『貴様ら人間が、我が妻、セシル=メレスを殺した事だ! その復讐に、我は人間界を支配しようと決意したのだ!』

「はぁ? それはそいつが何かしたから殺されたんだろ? なら、そんな事でキレてちゃあ……」

『そんなこと? 違う。貴様は何も知らないからそんな事が言えるのだろ?』

「何が言いたい? 今のところ、貴様が勝手にキレてるようにしか聞こえないが?」

『……なら、事の発端を話したやろう。……我は、元々は人間だったのだ』

 その言葉に、ジンと牢屋に入れられた者達、そして、ジンを通して聞いていた女神すらも驚いた。

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