冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

そこは楽園という名のオカマ大国でした 6

 ダイコと離れてからジンとランの二人は、九つ目の障害物へと差し掛かっていた。

「ダイコさん大丈夫かな……」

「今はダイコさんを信じるしかないよ……」

「だよね……それよりもゴールすることが大事よね!」

「そうだよ! 僕達が今先頭にいるんだから頑張らなくちゃダイコさんも喜んでくれないよ!」

「うん! このままゴールへ行こう!」

 八つ目の障害物で他の競技者が躓いている間に、二人はなんとかクリアし先に進んでいた。

 そして九つ目の障害物も時間が少しかかり、後ろの競技者に抜かされそうになったが、なんとか首位で通過した。

 そして最後の障害物に向かっている時だった。
 激しい地震が起こり周りにいた観客や選手が足を止める。

「な、なんだこの揺れは!?」

「今どこかで爆発音がしなかった!?」

「何が起きてるの!? ……そしてこの嫌な気配は何……?」

 皆が騒然としていると一人の黒いスーツを身に纏い、黒いシルクハットを被り杖を持った男が空を飛んでいた。

「こんにちは、様々な種族の皆さま。私は魔王様の下僕。魔王幹部のレネードと申します。以後お見知りおきを」

 そう挨拶をし、シルクハットを外し深くお辞儀をする。皆は空を見上げ怪訝な表情をする。

「そう固まらないでください。ただ少し様々な種族の方々を頂戴しに来ただけですので。今魔王軍は人手不足でしてね……困ったものです」

「な、何を言っている! そんなこと許されるわけ……」

 ジンがそうレネードに向け言うとレネードはジンの方を向き、沈黙したまま何かを観察するかのよう見る。

「あなた見るからに弱そうですのに口は達者なんですか?」

「強い弱いは今はどうでもいい! 人を連れてくのは辞めろといったんだ」

「雑魚は引っ込んでろ」

 そうレネードがいいジンに殺気を向ける。
 ジンは身震いし、大量の汗をかき言葉がでなくなる。

「そちらの隣にいるのは……おや? どこかで見たような……」

「あなたは……」

「まぁ何かの気の所為でしょう」

「ラン……?」

 ランがレネードを見る目は殺意に満ち溢れていた。全身に力が入っているのがジンにはわかった。そしてその理由を察した。

 レネードはランの両親を殺した犯人だったのだ。ランは小さい頃親を殺されている。その時はまだ幼かったがその顔はしっかり覚えていた。買い物からの帰りに空を飛んでどこかえさっていったのを見ていたから。

「はいはーい。じゃあ少し人を貰ってきますよー?」

 そういうとレネードは手に魔力を込める。
 ジンは動かなければいけないのは分かっているのだが、先程の殺気に怯え動けずにいた。
 ランは「そんなことはさせない!」といい矢をレネードに向け射る。

「そんな攻撃じゃ傷はつけられませんよ?」

 そういいランに向け魔力弾を放つ。矢は魔力弾に焼かれそのままランの元へ落ちていく。

「ラン! 避けろ! クソッ! 動けよ俺の足!」

 だがジンは動けずただ声をかけ続けることしかできなかった。ランは「そんな……いや……」といいその場に崩れ落ちる。

「早く逃げろ! ラン!!!」

 そして魔力弾はランへ落ちる。魔力弾は爆発し周りの土を抉り物凄い爆風を巻き起こす。

「うそ……、だろ?」

 ジンは涙を零しながらその場に膝をつく。


「ジンちゃん! そんな簡単に諦めていいの?男でしょ! しっかりしなさい!」


 すると後ろから声が聞こえた。
 その声のする方を向く。

 そこにはランを抱えて立っているダイコがいた。
 隣には近くにいた選手二人を抱えているレベッカもいた。

「だ、ダイコさん! それにレベッカさんもなぜ……」

「地震がしたあと嫌な気配を感じてね、急いでここまでやってきたらこんな事になってたのよ。あとほら。ランちゃんは任せたわよ。気絶してるだけだから安心して頂戴」

「ダイコさんありがとうございます……自分は何も……」

「なぁに? この子ホントに男の子? ジンって言ったかしら? そんなことで冒険者なんてやってるの? そんな覚悟でやろうと思っていたの?」

「そ、そんなことはっ……!」

 だがジンは言葉を返せなかった。
 正直なところジンに覚悟なんてなかった。もっと甘いものだと思っていた。だからさっきも動けず今も言葉を返せなかった。

「図星ね。そこで大人しく見てなさい。そして今回の経験から学びなさい。もっと強くなりなさい。ダイコさんが期待の新人って言ったくらいなんだから少しは私にも期待させて」

 ジンは泣きながら頷いた。そしてその闘いをしっかり見ることに決め涙を拭う。
 ダイコとレベッカは前へ出てレネードのところへ向かう。

「お? 次はオカマに可愛い女性ですか? ……あなた達は少し周りの人と違いますね……これは私も本気でいかないといけないですね……」

「そんなとこで魔法を放つだけじゃなくて降りてきたらどうかしら?」

「いえいえ、私はここで魔法を放ち続けるという方法が一番効率よく倒せると思うのでこのままで……!?」

 そう言ったレネードへ向けダイコが地面を抉り、巨大な岩をレネードへ投げた。
 レネードは驚き「これは空も危険ですね……」と、いい地上に降りる。

「二対一は少し不本意では?」

「その分私達は魔法が使えないから五分じゃないかしら?」

「おやおや、そんな種明かしをしてもいいのですか?私、自分で言うのもアレですが強いですよ?」

「大丈夫よ。こっちもそれなりに強いから、行くわよレベッカちゃん」

「ええ、臨時コンビと行きましょう」

「ふふ、楽しみだわ」


 そういい二人はレネードへ一直線に向かった。

 魔王幹部対ダイコ、レベッカコンビの闘いがここに始る。

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コメント

  • ノベルバユーザー438963

    主人公にイラついたの久々

    1
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