冒険者は最強職ですよ?
なんか勇者に嫌われたんですけど? 6
お金を貯めるべく外へ出たジンとマーシュは、少し強めのモンスターと闘っていた。
ジンのレベルアップ兼ねて、一石二鳥と言うことでなるべくマーシュには手を出さないで貰っている。
マーシュはこの時少し警戒していた。
「これが冒険者の動き……?ありえない……幾ら何でもこの短期間で成長しすぎだわ……」と心の中で思っていた。
ジンの成長は誰から見てもありえないものであった。
冒険者と言うのは本来最弱の職業であり、成長なんてものはどの職業よりも遅いものである。
それが今のジンの成長速度は目にも止まらぬスピードで成長をしていたのだ。
マーシュは何度か尋ねたりもした。だが決まって「そんなことないですよ! 僕なんてまだまだです!」の一点張りだった。
怪しいと思いながらもそういう事にしておくことにした。
その後もモンスターたちを次々と倒していき、お腹もすいたということでお昼休憩にしていた。
「そう言えばマーシュさんってなんで回復専門の魔法使いになろうと思ったんですか?」
「ん? 私? そうだねぇ……」
目を瞑り過去を思い出しながら喋り出す。
「最初はね、攻撃専門にしようとしていたの。でもね? ある日私の目の前で人がモンスターに襲われてたの。でね? 私はその時はまだ駆け出しで何も魔法も覚えてなくて何もする事ができなかったの」
「そんな過去があったんですね……」
「うん。それでね、レベルが上がった際に割り振られる魔法ポイントって言うのがあってね? それを全部回復系魔法につぎ込んだの」
魔法ポイントの事はジンも理解はしていた。前に1度ランに睡眠魔法を教えて貰った時も、魔法ポイントのことを説明してもらい、その睡眠魔法を何度も練習した。
「魔法ってさ、使うのが難しくて簡単な魔法でもすぐにできるわけじゃないの。だからその時襲われていた人からモンスターをなんとか倒して回復魔法をかけようとしたの」
「かけようと……?」
「うん。でもね、回復魔法なんてその時初めて使ったから上手くできなくて結局そのまま襲われた人は死んでしまったの」
マーシュが語ってくれているその顔を見た時、ジンは俯き言葉を失う。その顔はどこか泣きそうで辛そうで悲しそうだった。
「その時からね、私は回復専門にしてどんな人でも助けられる人になるんだー! って1人で頑張って頑張って、今のレベルになるの」
「……マーシュさんは、」
そこでジンは言葉に詰まってしまう。
「私ね、その見殺しにしてしまった人の彼女さんからすごく妬まれたの。すごく嫌われたの」
突然の告白にジンはさらに言葉を失う。
「仕方ないよね……私のせいで彼氏さんを延命させられなかったんだから……」
そして一粒の涙がマーシュの頬を伝う。
「あの時はすっごく悔しかった。すっごく後悔して塞ぎ込んで、落ち込んだ」
ジンはただマーシュの言葉を聞いていた。
「それでさ……彼女さんも次の日自殺してしまったの。私は二人の人を見殺しにした。私は意気地無しなの」
「そんなことないですっ!!!」
突然の叫びにマーシュは驚き目を見開く。
「僕には言う資格はないし、言われたらうざいって思うかもしれませんが、マーシュさんは頑張ったんです! 頑張った結果がどうする事もない方向へ進んでしまっただけなんです!」
マーシュは俯きただ涙を流していた。
「僕が言うのはおこがましいですが、その経験があったからそのレベルにまで到達するのとが出来たんです! マーシュさんは賢者になって多くの人を救ってきたんですよね!?」
「ジンは優しいね……慰めても何もでないよ?」
「慰めなんかじゃない! 僕はそんな悲しんだマーシュさんなんか見たくない! いつも見たいにいじられてる可愛らしいマーシュさんの方が好きです!」
「でも私は二人を見殺しに……」
「頑張った結果がそれなら仕方ないですよ……俺だって……似たような場面がありましたよ……」
ジンの告白に次はマーシュが黙る番だった。
「前に魔族襲撃があったじゃないですか……あの時僕は冒険者になると言うことを理解していなかったんです……僕に力なんて無くてただ見ているだけだったんです……魔王幹部と戦うダイコさんとレベッカさんを...魔王幹部に殺されそうになったランを……だから僕はその時決めた。もう二度と後悔の無いように強くなると……」
マーシュはこの時、似たような経験をしているのに、こんなにも強く生きていけるなんて凄い、と褒めて、自分に幻滅した。
なぜ自分よりも若い子の方がこんなにも強く生きているのに、私は弱く生きているのか。冒険者というハンデを背負いながらも、頑張っていけるのかと。
その時だった。
「マーシュさん今、なんで自分は弱いんだろうとか考えませんでした?」
まるで心を見透かされているかのような感じになり、その問に答えることができなかった。
「僕も同じです。でもそのままズルズルと引きずっているのは良くないんですよ。じゃなければ成長はしないし強くもなれない。僕はそう思ったんです」
「で、でも……」
「僕はまだ誰も助けるほどの力はありません。でもマーシュさんは人を救える力があって、多くの人を救ってきたんですよね?」
その言葉を聞き今まで救ってきた人を思い浮かべる。数え切れないほどの救ってきた命を。
「もしあの時あなたが回復魔法を覚えなかったら、貴方が今まで救ってきた人は救われなかったんですよ」
マーシュはジンにそう言われ心の中で一度気持ちを整理し、「私も……やらなきゃいけないことがある!」と心の中で決断し、そしてジンにこう告げた。
「ありがとうジン、私これからも頑張る。パーティーの回復役としてこれからも頑張る!」
「それでこそマーシュさんですよ!」
マーシュは最高の笑顔を作ってピースサインをし、「これから先、絶対誰も死なせない」と心の中で誓った。
ジンのレベルアップ兼ねて、一石二鳥と言うことでなるべくマーシュには手を出さないで貰っている。
マーシュはこの時少し警戒していた。
「これが冒険者の動き……?ありえない……幾ら何でもこの短期間で成長しすぎだわ……」と心の中で思っていた。
ジンの成長は誰から見てもありえないものであった。
冒険者と言うのは本来最弱の職業であり、成長なんてものはどの職業よりも遅いものである。
それが今のジンの成長速度は目にも止まらぬスピードで成長をしていたのだ。
マーシュは何度か尋ねたりもした。だが決まって「そんなことないですよ! 僕なんてまだまだです!」の一点張りだった。
怪しいと思いながらもそういう事にしておくことにした。
その後もモンスターたちを次々と倒していき、お腹もすいたということでお昼休憩にしていた。
「そう言えばマーシュさんってなんで回復専門の魔法使いになろうと思ったんですか?」
「ん? 私? そうだねぇ……」
目を瞑り過去を思い出しながら喋り出す。
「最初はね、攻撃専門にしようとしていたの。でもね? ある日私の目の前で人がモンスターに襲われてたの。でね? 私はその時はまだ駆け出しで何も魔法も覚えてなくて何もする事ができなかったの」
「そんな過去があったんですね……」
「うん。それでね、レベルが上がった際に割り振られる魔法ポイントって言うのがあってね? それを全部回復系魔法につぎ込んだの」
魔法ポイントの事はジンも理解はしていた。前に1度ランに睡眠魔法を教えて貰った時も、魔法ポイントのことを説明してもらい、その睡眠魔法を何度も練習した。
「魔法ってさ、使うのが難しくて簡単な魔法でもすぐにできるわけじゃないの。だからその時襲われていた人からモンスターをなんとか倒して回復魔法をかけようとしたの」
「かけようと……?」
「うん。でもね、回復魔法なんてその時初めて使ったから上手くできなくて結局そのまま襲われた人は死んでしまったの」
マーシュが語ってくれているその顔を見た時、ジンは俯き言葉を失う。その顔はどこか泣きそうで辛そうで悲しそうだった。
「その時からね、私は回復専門にしてどんな人でも助けられる人になるんだー! って1人で頑張って頑張って、今のレベルになるの」
「……マーシュさんは、」
そこでジンは言葉に詰まってしまう。
「私ね、その見殺しにしてしまった人の彼女さんからすごく妬まれたの。すごく嫌われたの」
突然の告白にジンはさらに言葉を失う。
「仕方ないよね……私のせいで彼氏さんを延命させられなかったんだから……」
そして一粒の涙がマーシュの頬を伝う。
「あの時はすっごく悔しかった。すっごく後悔して塞ぎ込んで、落ち込んだ」
ジンはただマーシュの言葉を聞いていた。
「それでさ……彼女さんも次の日自殺してしまったの。私は二人の人を見殺しにした。私は意気地無しなの」
「そんなことないですっ!!!」
突然の叫びにマーシュは驚き目を見開く。
「僕には言う資格はないし、言われたらうざいって思うかもしれませんが、マーシュさんは頑張ったんです! 頑張った結果がどうする事もない方向へ進んでしまっただけなんです!」
マーシュは俯きただ涙を流していた。
「僕が言うのはおこがましいですが、その経験があったからそのレベルにまで到達するのとが出来たんです! マーシュさんは賢者になって多くの人を救ってきたんですよね!?」
「ジンは優しいね……慰めても何もでないよ?」
「慰めなんかじゃない! 僕はそんな悲しんだマーシュさんなんか見たくない! いつも見たいにいじられてる可愛らしいマーシュさんの方が好きです!」
「でも私は二人を見殺しに……」
「頑張った結果がそれなら仕方ないですよ……俺だって……似たような場面がありましたよ……」
ジンの告白に次はマーシュが黙る番だった。
「前に魔族襲撃があったじゃないですか……あの時僕は冒険者になると言うことを理解していなかったんです……僕に力なんて無くてただ見ているだけだったんです……魔王幹部と戦うダイコさんとレベッカさんを...魔王幹部に殺されそうになったランを……だから僕はその時決めた。もう二度と後悔の無いように強くなると……」
マーシュはこの時、似たような経験をしているのに、こんなにも強く生きていけるなんて凄い、と褒めて、自分に幻滅した。
なぜ自分よりも若い子の方がこんなにも強く生きているのに、私は弱く生きているのか。冒険者というハンデを背負いながらも、頑張っていけるのかと。
その時だった。
「マーシュさん今、なんで自分は弱いんだろうとか考えませんでした?」
まるで心を見透かされているかのような感じになり、その問に答えることができなかった。
「僕も同じです。でもそのままズルズルと引きずっているのは良くないんですよ。じゃなければ成長はしないし強くもなれない。僕はそう思ったんです」
「で、でも……」
「僕はまだ誰も助けるほどの力はありません。でもマーシュさんは人を救える力があって、多くの人を救ってきたんですよね?」
その言葉を聞き今まで救ってきた人を思い浮かべる。数え切れないほどの救ってきた命を。
「もしあの時あなたが回復魔法を覚えなかったら、貴方が今まで救ってきた人は救われなかったんですよ」
マーシュはジンにそう言われ心の中で一度気持ちを整理し、「私も……やらなきゃいけないことがある!」と心の中で決断し、そしてジンにこう告げた。
「ありがとうジン、私これからも頑張る。パーティーの回復役としてこれからも頑張る!」
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