冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

それは突然の出来事で 1

 ジン、レベッカ、マーシュだけとなってしまった三人は、そろそろこの町も出ようという事で、帰り支度をしていた。

 帰り支度が整うと、ジン達は店の店主に「長らくお世話になりました。ありがとうございました」と、礼を言って宿から出る。

 暫く歩いていると、何故か勇者達が門の前で集まっていた。

 門の前まで歩くと、案の定勇者達に声をかけられた。

「もう出ていってしまうのか?」

「えぇ、一度レガンへ戻ります」

「そうか……お前とはまたいつか、決闘をしたいな」

「僕もですよ! 本当にありがとうございました。またどこかでお会いしましょう」

 その後、握手をセルノドと交わしたジンは、その場を後にした。セレンがジンに中指を立てていたのは秘密。

 ジンはこれからどうするのかをレベッカに訊く。

「レベッカさん、これからどうします? レガンへ戻るのは良いですが、あそこで何をするんです?」

「一度レガンへ行き、状況を整理しつつ、冒険の準備もする。出来れば一人だけで仲間も欲しいところだわ」

「でも、正直三人だけでも大丈夫じゃないですか?」

「あぁ、そうだったわ。ジンはもう強いんだったわ」

 そんなことを言い合いながらレガンへと帰る。帰りは少し走りながら帰ったため、来た時よりも早くレガンへ帰れた。

 レガンへ着くと、ジン達はまず初めに宿を探そうとした。だが、ジンが「ランの家が少し離れた所にあるんです。そこに泊まりましょう」と、いいランの家へ向かう。

 心のどこかでランがいないかと思いながら。

 だが、いるはずもなく「だよなぁ……」と、呟き、家の中へ入っていく。

「綺麗な家ね。こんな所に住めるなんて羨ましいわ」

「ジンが羨ましいですぅ〜」

「いえいえ、ここは僕の家じゃなくてランの家ですよ!?」

 ジンはランと過ごしてきた日々を懐かしく思う。

「とりあえず……ジン、ステータスカードを見せてくれるかしら?」

 レベッカの急な発言に、ジンは少し戸惑う。

 隠すことはしない方がいいなぁ……

 そう思い、ジンはステータスカードを取り出し、血をつけた後、字が浮き上がるのを待つ。

 レベッカとマーシュは、少しドキドキしながらステータスカードを、覗き込む。

 そこに書かれていた事を目にして、二人は驚愕する。

 ジンは全てを話そうと、レベッカとマーシュに自分は何者で、なぜここまで成長したのか、やらなければいけない事、などを話す。

 ある程度納得した二人は、それぞれがジンに質問をする。

「では、ジンは一度本当に死んでるのね?」

「はい。さっきも説明しましたが、その後に、とある女性と会い、そこでユニークスキルの事や、魔王の事とかを教わりました」

「ジンは、もし私が回復魔法を教えたら、使えるのですか?」

「それはまだわかりません。試したことがないので」

「そっかぁ……回復役が二人はいると楽なんだけどなぁ……」

「僕はマーシュさんに回復して貰いたいですけどね?」

「ジンは冗談が上手いねぇ」

 いや、冗談じゃないんだが……

「ジン、後一つ聞いてもいいかしら?」

「なんです?レベッカさん」

「この"女神の加護"ってなんなの? これもあなたに元々あったユニークスキルなの?」

「いえ、それは死んだ後に、そのユニークスキルが出現しました。多分あの時オーラを纏えたのは、そのユニークスキルのおかげかもしれません」

 そのユニークスキルは、何故ジンに出現したのか。女神とは本当にいるのか。などの疑問がレベッカには多々あったが、さすがにジンも疲れただろうと思い、質問はしなかった。

 その日は帰ってきた直後で、疲れも溜まっていたので、寝ることにした。

 翌日、意識が朦朧とする中……
『あぁ……朝か……まだ眠いし、二度寝し……ん? なんだこれ……柔らかい』

 ジンは寝返りを打つと、何か柔らかいものに当たる感触がし、その感触を確かめるべく、目を閉じたまま手で触る。

 すると……
「んん……アッ……」

 ジンはまだ寝ぼけており、声が聞こえておらず、さらにその"柔らかい物"を触り続ける。

『あぁ……柔らかいなぁ……何か触っていると落ち着くなぁ……でも何に触ってるんだろうか……』

 ジンは、自分が触っていたものが何か気になり、目を開く。

 そして、触っていたものが何かに気付き、冷や汗が大量に吹き出す。

「あら……ジンお目覚め? ……ところでどうして貴方は私の"胸"を触っているのかしら?」

 ジンは何も喋ることなく、レベッカに蹴飛ばされ、壁に激突したあと、土下座をしてレベッカに謝ったのだった。

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