冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

どうしてこうなった? 5

「あのぉ……いつまで僕は引っ張られるんですかね?」

「ジンが逃げるかもしれないから温泉に着くまでよ」

 あの目はやばい。多分逃げたら殺される。

「わかりましたよ……もう逃げませんから、引っ張るのだけは……」

「ダメよ」

「のぉーん……」

 そのまま引っ張られながら歩いていると、ものすごく大きな建物の前で止まる。

「着いたわ。ここがこの町で一番の人気を誇る温泉。その中でも有名なのが超治療の湯、と呼ばれる温泉が有名だわ」

「すごく名前が安易すぎやしませんか?」

「何を言ってるの!? 超治療の湯よ? その温泉に浸かれば体の疲れが一瞬で取れるのよ」

「へぇ〜! じゃあ名前の通りなんですね?」

「そうよ」

「他の種類のお風呂もあるんですよね?」

「あふわよ。露天風呂や水風呂、あとは温水プールもあって楽しむ要素も兼ね備えた完璧な温泉よ」

「レベッカさんがそこまで褒めるのはなかなか見たことがないですねぇ……これは相当期待値高いかも?」

「もう我慢出来ないわ! 早く入りましょう!」

 中へ入ると、浴衣を着た男女がそこら中におり、皆牛乳瓶を片手に持っていた。

「レベッカさん。なんで皆牛乳瓶持ってるんですか?」

「お風呂から出たら牛乳を飲むというのは当たり前なのよ? それがまたたまらなく美味しいのよ!」

 僕は牛乳よりコーヒー牛乳の方がいいのになぁ……

「さぁどんどん行くわよ!」

 そのままずかずかと進んでいき、まずは受付でバスタオルを一枚もらい、水着も渡される。この水着は混浴であるが故の必需品だ。聞いたところ、水着を着なくても良いらしい。

 まぁ僕は絶対、何があっても水着は着るけどね?

 その後、一旦着替えるために更衣室へ向かい、着替え終わったわと直接お風呂へ向かう。

 湯気のせいで曇り、先が見えないガラス張りのドアを開けると、広大な浴場があった。

 九割の人間は水着を着用しており、水着を着てないのは子供たちだけだった。

「うわぁ〜! ひっろいなぁ〜! しかも本当にたくさんの種類のお風呂がある! 全部制覇してやるぅ〜!」

 一人はしゃぎながら待っていると、後ろから「「「お待たせ〜」」」という声が重なって聞こえる。

 ジンはその声に反応し、後ろを振り向くと思わず言葉を失ってしまう。

 やばい! すんごく忘れてた! 俺の理性がぁあ!

「どうかしら?」

 レベッカは、くるりと一週回ってみせる。その姿は周りの男性も凝視していた。

 細すぎす太すぎない体つきに、誰もが振り向いてしまう様な綺麗な肌。豊満な胸を強調するかの様なビキニ。完璧な曲線を描いたクビレが見え、思わずクビレを見たくなってしまう。どこもかしこも完璧すぎてジンは言葉が出ない。

「あの……その……僕なんかが言っていいのかわかりませんけど、とても似合ってると思います!」

「ありがとう!」

 レベッカの喜ぶ仕草はまさに乙女そのものだ。

「ジン私は!?」

 マーシュは、身長がレベッカよりも小さいわりに胸が大きく、ほんの少しだけクビレができている。でもなぜスク水なのかを教えて欲しい。ら

「マーシュさんも良きです!」

「わっほぉ〜い!」

 その喜ぶ様子は、スク水のせいなのか、高校生ぐらいの人に見えてしまう。

「ジンさん……どうです?」

 エレンは、レベッカよりは少し細身だが、負けず劣らずの豊満な胸。それにフリルが付いた可愛いビキニ。そしてウルフ特有の尻尾が見えたり隠れたりする所がまた可愛らしく見える。

「エレンさんも可愛いですよ!」

「ホント? やった!」

 それぞれが、それぞれにいい所があり、ジンはもうすでに理性が崩壊していた。

 あぁもうダメだこりゃ。皆可愛すぎるでしょ? なんで僕はこんな人達とお風呂に入るの? 何か周りから視線を感じるのはなぜ?

 そんな事を思いながらも、まずはシャワー室へ向かい、体を洗った後は電気風呂へと向かった。

「はぁ〜。ジン〜? 最高に気持ちいねぇ〜」

「そうですね〜! この電気がいい感じに刺激的で気持ちいです!」

「疲れもとれるしねぇ〜」

「「ふぅ〜」」

 そんな気持ちがる二人を、レベッカとエレンは他の風呂から、じーっと見ていた。

「私、電気風呂苦手なのよ……」

「私もです。毛がものすごく痛いのです」

「そう……でもまだここからですわ! まだいくらでもチャンスは来るわ」

 それから、ジンとマーシュは電気風呂からでると、レベッカが猛ダッシュでジンの元まで行き、「次は私が連れていくわ!」と言って引っ張っていってしまった。

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