冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

僕が守らなきゃだめなんだ 5

「嘘でしょ……」

「そんな……」

「三人してどうしたの? あの人質の子達知り合い?」

「知り合いも何も、あの三人は私達と共に冒険をしていた仲間です……」

「それは……」

 ジンはずっと黙ったままピクリとも動かず、ただ目を見開いて見ているだけだった。

 そして、歩いてこちらへ来る魔王軍達は、城から放たれる光で、照らされている位置まで来ると、進行は泊まり、突然真ん中に立っている者が喋り出す。

「やぁ諸君。君たちかね? 我らが魔王様が直々にお選びくださった幹部達を殺したのは」

「そ、そうよ……」

「全く……それに手下達も大勢やってくれたらしいですねぇ……今魔王軍は人手不足なんです。なのでそう簡単に大勢殺されると困るんですがねぇ……」

「そんなことはどうでもいいわ……それより、そちらの三人がそれぞれ抱きかかえている人質はどちらで?」

「あぁ、彼女たちはあなた達のお友達見たいですねぇ? 大地を歩いている所を襲って捕まえて、色々と尋問しました。それはもうベラベラ喋ってくれましたよ。白い目を向きながらねぇ?」

「ひどい……」

 そう、人質にされていたのは、あの日旅立った三人。ダイコ、ラン、ネインだった。今は気絶させられているのか、だらんと項垂れている。

「ひどい? 私共からすれば貴方達も酷いのですよ? 殺さないだけありがたいと思って頂きたいですねぇ……」

「ゲスめ……」

「心外ですねぇ。紳士と呼んで頂きたいのですが……」

 レベッカ、マーシュは睨み、へレーナはいつでも動けるような体勢でいる。ジンはまだピクリとも動かない。

 魔王軍の真ん中に立っている者が、ベラベラと独り言を言っていると、がっくり項垂れていた三人の中で、ネインが動き出した。

「おや? 目が覚めましたか……まぁ正直子供は利用価値は無いので、殺すの可哀想なので返してあげましょう」

「ここは……あっ、ジンお兄ちゃん!」

 その言葉に、ジンはようやく動き出し、片膝をついて「おいでネイン」と優しく語りかける。

 ニコニコしながら走ってジンの元へ走るネイン。それをジンは今か今かと待ちわびる。

「まぁ、そう運良くはいかないのが人生でねぇ……」

 ジンは涙を目に浮かべながら待っていた。すると突然、ネインが走るのを止める。

 何が起きたのかと思い、ジンはネインへ問いかける。

「ネイン? どうした? 早くこっちへ……」 

「ごめんねジンお兄ちゃん」

「えっ?」

 突然謝るネイン。どうしてか全く理解できないジン。そして次の瞬間、予想もしてなかった出来事が起きてしまう。

「何を言って……」

 尋ねようとした次の瞬間、目の前でネインが弾け飛ぶ。血を地面に撒き散らし、腸や眼球がそこら中に飛び散る。

「……は?」

 そのあまりにも残酷な出来事に、レベッカとマーシュは見ていられず目を瞑り、へレーナは絶句し、ジンは何が起こったかわからない顔で呟く。

「おい……ネイン? どこ行ったんだ? おい……ネイン……」

 ジンはヨタヨタ歩きながらネインの名前を小さく呼ぶ。その無様な姿を見て、魔王軍の先頭に立っている者は嘲笑う。

「ははははは! 君たちだって二人殺してるんだぁ、そんなガキが一人死ぬくらいどうってこと無いだろう!? 見たかいあの弾け方を! 最高に綺麗な花火のようだったよ!!!」

 それを聞き、レベッカとマーシュは本気でブチ切れ、飛びかかろうとする。が、体に力を込めオーラを纏っている刹那、急に突風が巻き起こる。

 その強烈な突風に、レベッカとマーシュとへレーナは、体が飛ばされないように必死に耐えた。

 突風が止んだかと思った次の瞬間、耳を塞ぎたくなるような轟音が鳴り響く。

 咄嗟に耳を抑え、その轟音のなった方へ目線を向ける。

 そこには、今までに無いくらいの力を感じるオーラを纏ったジンが、先頭に立っていた者の顔面を殴っている光景が目に入った。

「ジン!?」

 レベッカがそう叫ぶ頃には、ジンは何発もの強烈なパンチを繰り出していた。

 だが、その攻撃はまるで効いておらず、ジンはカウンターをくらい元いた位置へ吹っ飛ばされた。

「はぁ……今の攻撃は何なんです? もしあれで魔王幹部が二人もやられたとなると、こちらとしては恥ずかしいのですが……」

「ネインをどうした……」

「おう怖い。そんなに大事なお友達でしたか……あぁ、申し遅れましたね。私は魔王様の側近、魔王軍の中では四番目くらいの実力ですかね。名をムルド=デス=ワールと申します。以後お見知りおきを」

「名前なんてどうでもいい。ネインをどうしたと訊いている……」

「だから先程も言ったでしょう? 殺したんですよ! 元々掛けておいた爆発魔法を発動させてねぇ!! 見事な散りざまだったでしょ!? ふははははは!!!」

「テメェェェエ!!!」

『ジン抑えて!! アイツは強すぎる! ここは逃げて!!』

 そんな女神の必死の叫びは、ジンには聞こえてはいなかった。

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