冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

与えられた試練 2

『もうすぐ着く。その寝ぼけてる馬鹿を起こせ』

「ジン起きて〜、もう着くらしいわよ〜!」

「あんな所にシマシマパンティが! ……むにぁむにぁ……」

「ね、寝言だと!?」

『たたき起こせ』

「馬鹿なこと言ってないで起きなさい!」

 バチンッ、とへレーナが全力でビンタをする。すると、ジンはゆっくり目を開けて起き上がる。

「ふわぁ〜〜……着きました?」

「もうすぐらしいわ」

「そうですか……それで、お聞きしたいんですが、なんでか右頬がやけに痛いんですけど、知りませんか?」

「いいえ何も?」

「そうですかぁ……にしても痛いなぁ……」

『着いた。着陸する時揺れるから気をつけろ?』

「ジン、何か踏んでるわ。ちょっと立ってくれる?」

「え、何です?」

 ジンが立ち上がると共に、レッドが着陸する。その揺れでジンはバランスを崩して落っこちる。

「うぎゃあ!?」

『何をしておるのだ……だから気をつけろと言ったろ?』

「だって何か踏んでるって……」

「あぁ、それは嘘よ。貴方は素直すぎるわ」

「なんだと!?」

『はぁ……まぁいい。付いてこい』

 レッドは、人間の姿へと変わり、スタスタと歩いていく。それに、ジン達は遅れないように付いていく。

 アルゴネズムは基本曇っており、晴れ間などほとんどでない。そのため、辺りは薄着味悪い。

「それにしても暗い国ですねぇ……これ山の頂上ですよねぇ? 標高どれくらいです?」

『そうだなぁ、標高五千メートルくらいかの?』

「五千メートル!? 道理で息がしずらい訳だ……」

『そっちのウルフは大丈夫か? きついようなら酸素マスクを持ってくるぞ?』

 酸素マスク!? そんな物があるのか……凄いなこの城

「いえ、平気です、私も鍛える身なので、これぐらい耐えないと付いてけないので」

『そうか。頼もしい』

 それからは、一度荷物を置くために、それぞれに部屋が与えられた。その部屋はどれも広く、一人だと過ごしにくいぐらいだ。

 レッドが、一時間後、また呼びに来るといい、どこかへ去ってしまった。その間、ジンはステータスカードをチェックする事にして、ベッドへ寝そべった。

「あぁ、やっぱり"女神の加護"と"神力"か無くなってる……だけどステータスはこのまんまか。この"限界を知らぬ者"のおかげかな」

 ジンは、女神の事を思う。

 女神様、頑張ってるかなぁ……早く戻ってきてくれないかなぁ……こんな時、話し相手が居ないんじゃつまらないなぁ……

 そんな事を思いながらも、目を瞑り、眠りに落ちる。

 それから一時間後。

『おい。起きろジン』

「……あ、レッドさん。すいません寝てました」

『良い。では行くぞ。支度しろ』

「何処へです?」

『食事だ』

「……ほえ?」

 身支度を整え、ジンは言われるがままにレッドに付いていく。そして、ものすごく大きな洋風な扉の前へ来る。

『我の他に一匹居るが気にせんでくれ』

「は、はぁ……」

 そして、扉はゆっくりと開かれる。

 その扉の向こうには、料理を貪り尽くしているレベッカ達と、それを見て笑っている白髪の女が座っている。

「あぁジン! 遅すぎ! 私達で料理食べ尽くしちゃうところだったわ!」

「そ、そうですか……」

「早くこっちに来て食べよ!」

「は、はいわかりました」

 ジンはキョロキョロしながら、全長八メートルはあろう机の、真ん中の方の席へ座ろうとする。が、レッドに何故か止められる。

『何を一人で座ろうとしている。我と一緒に座るのだぞ?』

「へ?」

『当たり前だ。これからは弟子なのだからな。師弟関係ならば時を共に過ごすのは当たり前だろ?』

「待ってください。それは初めて聞きました。……って事はですよ? もしかして寝る時も……」

『一緒だ』

「お風呂の時も……」

『一緒だ』

「お散歩する時も……」

『全部一緒だ』

「……それはまずいんじゃ……」

『何故だ? 当たり前なのだろ?』

「いやいや、レッドさんは女性ですし……僕は男ですし……そのぉ……ね?」

『関係なかろう。それを認めなければお主は鍛えん。良いな?』

「あぁずるっ! ……わかりましたよぉ……」

 いつもなら、とやかく行ってくるレベッカ達は、目の前に出されている食事に夢中になっており、どうやら聞こえてなかったらしい。

「それでレッドさん、あちらの白髪の女性の方は?」

『あれは我が友、白龍のウィッテ=ホワイトだ』

 あれが、白龍……どんな龍なんだろう……

 ジンが見詰めていると、白龍らこちらに気づき、ニヤリと怪しい笑を浮かべた。

「冒険者は最強職ですよ?」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く