冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

与えられた試練 16

「あの〜、ちなみに聞きたいんですけど、龍族の力が宿ったとしたら、僕はどうなるんです?」

『そうですねぇ……龍族、中でもドレッド=レッドという名の龍は女神よりも強いです。なので、その力が流れたとしたら確実に今よりは強くなれます』

「へぇ〜、レッドさんってそんなに強いんですねぇ〜!」

『……ん? 待って、今レッドさんっていった? 知り合いなのですか?』

「あれ? 知らないんですか? なんか女神様が頼み込んで、レッドさんに僕を強くするようにしてくれたって、レッドさんは言ってましたよ?」

『えっ!? では女神は隠していたんですねぇ……後でお仕置きを……。ちょっと待ってください? もしかしてですけど、そのキスの相手ってまさか……』

「レッドさんです」

『…………』

「レッドさんです」

『二回も言わなくていいわ……まさかそんな運のいい事があるんですか……まぁいいです。そろそろ時間です。では、現女神の救出、頼みましたよジン』

「わかりました」

 そして、ジンの目の前が光り、ジンは意識を失う。そして、現実世界で目が覚める。周りには誰もいない。自室で寝ているのだろう。

「うっ……あれ? なんか疲労感が無い……そうか、龍族の……あっ! ステータスカード見てみよう!」

 ジンは自分の部屋にいたため、すぐに起きてカバンを漁り、ステータスカードを取り出し、剣でほんの少しだけ指先を斬り、血をつける。
 そして、もしが浮かび上がる。

「どれどれぇ……ん!?」

 ジンは思わず叫びそうになり、片手で右手を抑える。

「な、なんだこれぇ……」


ジン
職業 冒険者

HP 4560
MP 1000
攻撃 3895
防御 3699
魔法 2005
敏捷 4076

スキル
熟練度 長剣 100
熟練度 短剣 45
熟練度 細剣 36
熟練度 武闘家 100

ユニークスキル
"限界を知らぬ者"
"言語理解"
"赤龍の力"
"龍人化"(赤龍の力発動時のみ使用可能)

アビリティ
"龍人化"発動時、身体中に龍の様な鱗を纏い、ステータスが超超向上

 と書いてあった。

「この"赤龍の力"は……多分前にあった"女神の加護"みたいなものか……それに龍人化って……」

 ジンは、どうしてこうなったのかを振り返る。

 まずは、あの日のキスが原因と考えていいだろう……しかもかなり濃厚なやつだったしなぁ……その時のレッドさんの奴を飲んじゃったしなぁ……それだな。うん。

 ジンは、ステータスカードをカバンへしまい、ベッドに横たわる。

 この龍の力はみんな気づいているのか? それとも僕がこの力を発動させるまで気づかないのか? エルさんはあの暗闇の世界に入った瞬間にわかったって言ってたけど……

 ジンは、この力の事は敢えて黙っておこうと決めた。気づかれたらその時は素直に話そうということにした。

「よし。これで自分の事もわかったし。取り敢えず食事部屋へ行ってみよう」

 ジンは、もしかしたら皆が集まってるかもしれないと思い、食事部屋へと歩みを進める。

 暫く歩き、ようやく扉の前へと辿り着く。

 なんだか少し緊張するなぁ……まぁいいや。開けようかな。

 ジンは扉を開け、食事部屋へと入室する。そこには、皆が落ち込んだ顔をして椅子に座っていた。扉が開いたことを知り、全員は一斉にそちらを向く。

 ジンは、扉を開けた瞬間に、皆の表情が暗いものから明るいものに変わったのを見て、少しビックリする。

 そして、真っ先に飛びついてきたのは、レッドだった。

『大丈夫か!? ジンよ、怪我はないか!? どこか疲れが残ってないか? 気持ち悪くはないか?』

 続いてレベッカ、その次にマーシュ、エレン、へレーナの順に飛びついてきて、ジンは飛びついてきた勢いで倒れてしまう。

「そんなに勢い良く飛びつかなくても! いてててて! あっ! 誰だ今どさくさに紛れてケツ揉んだ人は!」

 皆は、ただひたすら「ありがとう」とだけ言い、皆涙を流していた。ジンは、一人一人に声をかけ「大丈夫ですから」と言う。そして、そんな事をしているジンの元に、ホワイトが歩み寄ってくる。

『ジンちゃん、本当申し訳なかったわ。龍族の者として、やってはいけない失態をしたわ。なんなりと罰は受けるつもりよ。何でも言ってちょうだい』

 突然そんな事を言って、頭を下げたホワイトに、ジンは皆退け、立ち上がってから、ホワイトの目を見て話す。

「ホワイトさんが悪いのでは無いのです。むしろ、今特訓をしてもらってる僕が謝るべきなんです。急に押しかけてごめんなさい、と。それに、この件は終わったんです。皆助かったんだからいいじゃないですか!」

『ジンちゃん……』

 ジンがニコニコ笑っていると、ホワイトは目を輝かせながら、抱きついてくる。

「ほ、ホワイトさん!?」

『本当にありがとう!』

「んん!?」

 ホワイトは、そう言ってジンの唇を奪う。

 龍のみさなんって、そんなにキスをしたがる種族なんですか? ほらほら、レッドさんの目が凄いことに、あらあら、レベッカさん達が肩をならしてますよ。これはあれですね。半殺しコースですね!

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