冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

もう負けない 2

「多いですねぇ……」

『ここに来るとは……相当な強さがないと上がっては来れないんだがなぁ』

「感じます。アイツら、完全に正気を失ってます。多分あの時使った黒玉を……」

『そうか、それがあったな。まぁいい、ジン。本番だ。特訓の成果を発揮する時が来たな』

「突然でしたけどねぇ……」

『ホワイト、お前は他の連中を起こしにいけ。エルフの娘は我と空を飛んでる奴らだ。ジンは地上の敵を殲滅しろ』

『わかったわ』「「はい!」」

 ジンは、ベランダから飛び降り、ホワイトは寝てるレベッカ達を起こしに、レッドとへレーナは、魔法を展開して空の敵に攻撃。それぞれの役割を果たす。

 ベランダから飛び降りる時、レッドが『頑張れよ』と呟いたは、ジンには聞こえてはいない。

 ジンは地面に着地すると、そこにも千を超える魔王軍がうじゃうじゃといた。

「空に千……地上にも千……一体どうやってその数を……まさか!?」

 ジンはその導き出された答えに、一滴の汗を垂らす。

 魔王軍が何故一ヶ月も攻めて来なかったのか。それは、攻めてこなかったのではなく、攻めてくるための数を増やし続けていた、といく答えに、ジンは到った。

「お前ら……元々は人間で……どれだけの数殺られて……」

 その呟きは、我を失っている魔王軍には届くはずもない。ジンは、その残酷な仕打ちに、苛立つ。

「魔王軍、絶対に許さない。僕は何としてでも魔王軍を滅ぼし、ランと女神様を救ってやる!」

 そう言って、両手に剣を持ち、勢い良く飛び出していく。

 空でも戦闘が始まっており、大きな爆発音が鳴り響く。

 ジンが闘っているところに、起きて来たレベッカ達が加わる。

「ごめんジン! 今加勢するわ!」

「レベッカさん! ありがとうございます! 敵は正気を失ってます! それに手強いので、気をつけて闘ってください!」

「わかったわぁ! さぁエレン、マーシュ、私達の特訓の成果を見せてやろうじゃない!」

「「やってやるぅー!!」」

「なんか凄いやる気がある!?」

「「「うらぁぁぁあ!!!」」」

「それになんか豪快になってる!? どんな特訓をしてたの!?」

 そして、ジン達陣営は、バッタバッタと魔王軍を蹴散らしていく。数では圧倒的不利だったが、戦力では圧倒的有利だ。そのおかげで、見る見るうちに敵の数が減っていく。

 そして三十分が経過した頃、敵の数は残り百となる。

 ジン達は容赦なく倒していき、敵の姿が無くなる。ジン達は息一つ乱すことなく、闘いを終えた。

「エレンさん強くなりましたね〜」

「はい! 私だって鍛えて貰ったんです! 雑魚ぐらいはぶっ殺してやりますよぉ!」

「なんか言葉使いが荒くなってる……」

「いえいえ〜!」

「褒めてないです」

 ジンが剣を鞘に収めて、エレンにツッコミを入れる。そして、ふぅと一息ついた時だった。

「……!? レベッカさん、マーシュさん、エレンさん、何かきます! この気……多分魔王幹部クラスが……!」

 そう言った瞬間だった。空に体長十メートルはありそうな、巨大な鴉から、三十人ほど降りてくる。

 音もなく着地をし、こちらに殺気を向けてくる。それに、どの敵も強い。気の量が雑魚たちとはまるで違う。

「久しぶりですねぇ……貴方達をはるばる魔界から殺しに来ました」

「ムルド……」

「おやおや、名前を覚えていただいて恐縮です。……そう言えば、あの時出てきた光の正体、あれは女神だったんですねぇ? 驚きましたよ。ですが、彼女は我ら魔王軍にと堕ちた。もう為す術など無いのだから降伏したらどうです?」

「「「女神様が!?」」」

「それは知ってる。だから僕は女神様を助けなければならない。それとランもだ」

「助ける? 笑わせないでくれ! あの状態の女神から正気を取り戻そうなんてそんな方法は……」

「ある。絶対にある。それを僕は知っている」

 その方法は恥ずかしくてこんな所では言えないけど!!

「ッ……ですが、ここで私に殺されるのですから? まぁ助けることは不可能なのですがねぇ!」

「安心しろ、お前が殺されるんだ。この僕に」

「ハハッ! 何の冗談だ! たかが龍如きに特訓をつけてもらっただけで粋がるな!」

「龍にビビって逃げたお前が言えるのか?」

「あの時の私とは違うのだよ! 今の私は魔王様より力を授かってパワーアップしてるんだ! あんな龍など怖くもないわ!」

「そうかい……なら……」

 そう言っていると、後ろからレッド、ホワイト、へレーナが加わった。

「丁度いいです、レッドさん、それに皆も。僕、実は隠してた事があるんですよ」

 そう言うと、皆は不思議そうな顔をして、ジンを見つめる。

「実はですねぇ……」

 ジンは全身に力を込め、ユニークスキル"赤龍の力"を発動させる。その瞬間、その場の全員は、全身を震わせた。あの赤龍のレッドでさえ、鳥肌が立った。

「な、なんだその力は!?」

 ムルドが血相を変えて、大声で叫ぶ。他のみんなも気になっている様子だ。

「まぁ簡単に言いますと……」

 ジンは全身に、燃え上がっているかのような程の赤色のオーラを纏い、こう呟く。

「お前を殺せるぐらいに成長したんだよ」

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