世界最強も異世界に連れてかれると生きるのは本当に難しい

霊怜

第四章 学校

次の日、レイスは樹威に連れられ、学校に行くことになった。
テスト、というものを受けさせられたレイスは、教室、とは違う部屋で紙に大量の文字を並べていった。


「ライラスくん」

「は、はい」

「全て満点なんて、なかなかやるじゃないか」

「あ、有難う御座います」

レイスは、天才として崇められるようになってしまった。


レイス・ライラス。滅龍族と呼ばれる龍族の端くれ。落ちこぼれだとか、弱者だとか、忌み子だとか言われ育ったレイスは、この世の歪みを破壊するためだと言い、強くなるためだけの旅に出た。

「なんで、満面とれるの?」

樹威は首を傾げ、レイスに問う。

「知らないなぁ。なんでだろう」

元々、ラグイラ一の頭脳を持つ天才と呼ばれたレイスは、文字さえ覚えればすぐに別世界でも天才と呼ばれるようになる。

ある日、クラブ活動というものに勧誘された。

「クラブ活動?」

「みんなで一緒にやる、団体のまぁ、そんな感じのやつ!」

「どんなのがあるの?」

「サッカー部、バスケ部、弓道部、野球部、卓球部、吹奏楽部、柔道部、剣道部、その他もろもろ」

「見学ってのは出来るのか?」

「もちろん!それじゃ、ついてきて!」


レイスはまず、弓、という理由で弓道部に向かった。

「なんだ、簡単じゃないか」

普段から弓を使っていたレイスには、真ん中を射止めたり、自分の好きなところを射止めたりするのは、簡単だった。

「…インパクト

轟音が鳴り響き、当たりは土煙に覆われる。

「…なんだ!」

煙の中に3つの影が動き、そして消える。
三体の同時攻撃に、レイスは少し戸惑いながらも回避し、2体を焼いた。
残り一体は遠くから気弾を撃とうとしている。
レイスは目の前にあった弓を手に取り、弦を引き絞る。
自らの魔力を込め、残りの敵へと放つ。
その矢は見事脳天を貫き、魔力に乗せた追加効果、『炎上』により、高く燃え盛っていった。

レイスの周りには、弓道部員も居た。正体を隠した方がいいと、樹威に言われて隠そうとしていたのが、一瞬でバレてしまった。

「…!逃げて!」

バレてしまったと、少し落ち込んでいる時、頭上から一筋の太刀が振り下ろされる。『覇王』レイス・ライラスは、腕を振った風圧で太刀を破壊し、持ち主本体をも破壊した。
急な襲撃、そして、襲撃者の正体、様々な疑問が飛び交う中、レイスは冷静になった。

「この世界に、俺以外の転生者がいる」

その結論に至ったレイスは、弓道部員に弁明した。
俺は、本当にこの世界でやっていけるのか、そして、妹のことを、忘れてはいけない。

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