異世界転移なんてクソゲーだ!

錫メッキ

1-2主人公初めての拾い食い




そうしてジャングルみたいな森で目がさめた俺は、
ひとしきり叫ぶとフ、と昔テレビで見たサバイバル特集を思い出す。


「えーと、まずは水場を探すんだよな!」


いつまでもこのままでいるのは無駄なので、
そんなおぼろげのなんちゃって知識を頼りに俺は森を探索し始めた。


「どこだー、川…って言うかもうずっと木ばっかりじゃねぇか畜生!」


ズブズブのド素人が簡単に川なんて見つけられるはずもなく、
体感で3時間ほど探してみたが一向に見つからない。


「クソぅ…確かあの番組では…なんか穴掘ってたよな、
土が湿ってたら川が近いとかなんとか…?」


試しに近くにあった手頃な石を拾うと、そのまま地面をガスガス掘り返してみた。


「おお!湿ってる!」


掘り返した土が湿っていたことにより俺は川が近くにあると俺は確信する。

かわー、かーわーと呟きながら近くを探してみるが、確信とは裏腹に一向に川が見つかる様子は無い。


「…あの番組…ガセネタ掴ませやがって…」


後で俺は衝撃の事実を知ることになる…
こんな木の生い茂った森の土が湿っているのは、割とデフォである事を…


そんな事は全く予想していなかった俺は、
長く歩いていたこともありいい加減に水分が欲しくなってくる。

そうして悩んでいた俺だが、
さっきまでのことが嘘みたいにある事を閃いた。


「そうだ、水がなければ果物を食べればいいじゃない!」


俺は自分の事を天才か!などと自画自賛しながらさっきからちらほらなっていた果実?をもぎ始めた。


それは直径6センチ程度の球体の形をしており、
見た目は紫をベースにオレンジ色の丸い模様が散らばっている…水玉模様の果実?であった。


「見た目はアウトだが…ゲテモノほどいける的な…異世界だし!」


正直水分が摂取できるならもう何でも良かった俺は、
目を閉じてその果実?を優雅に口に放り込んだ。

何ということでしょう。

噛めば噛むほど溢れ出てくる果汁はまるで、
小学校の頃洗わずに3日感放置した雑巾をぎゅっと絞ったときの香りを彷彿とさせ、
昔騙されて食べたプチトマトの茎の様な強い青臭さが口いっぱいに広がる。

正直言って死んだ方がましであった。


「ゴブッ」


そうして俺は異世界に来て初めての意識の喪失を経験したのだった。



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