月島 祐

5月

あれから一ヶ月。

僕の生活は変わらない。

寝ては起きて、大好きな写真を撮る生活が続いた。

桜の写真を主に撮っていた僕。


一ヶ月前の敗北。

泉町での日々。


そんな事を考えていた。


泉町に行くのは体が拒否しているきがして行く気にはなれない。


プルプル…

僕は毎日のように春香に電話を掛けた。


だが、今までとは違ってでない日々も増えていた。



僕はそれに気が付かず電話を掛け続ける。


「もしもし」

「出た。」

おばけでも出たかのように僕は言った。

「だって掛けて来たのは祐だよ。」


そりゃそうだ。

電話を掛けておいて出たは酷すぎる。
自分でも思ってしまった。


「会いたい」

僕はまたいつものように言う。


「彼氏がいるから無理だよ」


春香はそう答える。


「やだ!会いたい」


僕はまるでおもちゃを買ってもらえないこどものように駄々をこねる。


すると春香はすかさず
「祐は甘えん坊だよね」


こう答えた。

「甘えん坊だよ!だから会いたいんだ。」


僕はそればかり言っていた。




「甘えん坊なのはだめだよ!もっと強くならなきゃ」


言われてしまった。

僕は好きで甘えん坊になってる訳でもないし、ただ人から感じる一歩が一万歩に感じるんだ。


朝も起きれない。

働けない。

笑えない。

もうこんな人生糞食らえ。そんなことさえ思っていた。


「わかった。」

僕はこれしか言い返せなかった。


ほんとはもっと人と同じように生きたいだけなのに…




でも彼女から言われる「甘えん坊」は何故か嫌いにはなれなかった。

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