本日は性転ナリ。
After Story…My Dearest.46
その流れに足を止めぬよう、私はさらに続けた。
「色々と話したいからさ…いきなりで変かも知れないけど、今日、ウチに遊び来ない?」
再び教室の空気がピタリと止まる。今度は気のせいでもなんでもない。周囲の話し声がスピーカーのボリュームのツマミをくるりと回す様に突然静かになった。
そして周囲の視線が私達に集まっているのが分かる。
するとリヴィはその青い瞳をぼんやりと私に向けながら『突然ね』と微かに笑みを浮かべた。
『私も貴女には色々と聞きたい事があったの。どういう心境の変化があったのかは知らないけれどそう言ってくれて嬉しいわ』
リヴィはそう言って手に持ったペンの先を私に向けた。
いや、その先は僅かに私を逸れている。リヴィが指しているのは私の…後ろ?
ふと前方へ身体を向けると、莉結と目が合った。と同時に背後からリヴィの声が届く。
『彼女がどう思うかは知らないけどね』
それから学校が終わるまで莉結とは喋る事は無かった。あからさまに避けられているとかそういう感じでは無く、お互いに何か喋り掛け辛くてタイミングが合わない、そんな感じだった。それでも下校時にはいつもの様に二人で帰るワケで…
このまま無言で帰るのは何だか嫌だったから、下駄箱で靴を手に取った莉結の背中に私は声を掛けた。
「ねぇ、もしかして怒ってる?」
莉結の動きが止まって、私に背中を向けたまま『怒ってなんかないよ』という小さな声が下駄箱に響く。
「じゃあ何で?どうしてこんなんなっちゃってるの?」
『分かんない…今日、会うんでしょ?』
「それは…勝手にごめん。だけどこのままにしてたら何か嫌なんだもん」
すると莉結がゆっくりと振り向く。俯いた顔の表情は夕陽の影に隠されてよく分からない。
『それは私もおんなじだよ。だけど…なんだろ、それが分かっちゃったら今の関係が終わっちゃうような気がして…』
その時、床に一粒の雫が落ちるのが見えた。莉結にそっと歩み寄ろうとすると、長い髪の隙間に何かが光った。
それは、顎の先に滴る涙の粒だった。
『だって瑠衣は衣瑠だもんッ、もう瑠衣じゃないもん。何であの人達は私達の邪魔をするの…』
『えっ?』
気が付くと私は莉結の身体をギュッと抱きしめていた。私の胸元から顔を上げ、私を見つめる莉結の濡れた睫毛が夕陽の茜色を映している。
そんな莉結の瞳を真っ直ぐに見つめて私は目を細め囁いた。
「ばっかじゃないの?私はずっと"ここ"に居るって。莉結が何処かに行っちゃわなきゃ私が莉結の側を離れることなんて無いよ」
莉結の腕が私の身体をギュッと締め付けると、それに応えるように私も腕にギュッと力を入れた。
そして"すぅー"っと莉結の胸元が膨らむと、『よしッ…』という吐息にも似たような声が聞こえた。
『衣瑠、ありがと。もう…大丈夫』
そう言ってスッと莉結の身体が離れると、『学校じゃこういう事はダメなんじゃ無いのッ?』といつもの悪戯な笑みが私の目に映ったのだった。
「色々と話したいからさ…いきなりで変かも知れないけど、今日、ウチに遊び来ない?」
再び教室の空気がピタリと止まる。今度は気のせいでもなんでもない。周囲の話し声がスピーカーのボリュームのツマミをくるりと回す様に突然静かになった。
そして周囲の視線が私達に集まっているのが分かる。
するとリヴィはその青い瞳をぼんやりと私に向けながら『突然ね』と微かに笑みを浮かべた。
『私も貴女には色々と聞きたい事があったの。どういう心境の変化があったのかは知らないけれどそう言ってくれて嬉しいわ』
リヴィはそう言って手に持ったペンの先を私に向けた。
いや、その先は僅かに私を逸れている。リヴィが指しているのは私の…後ろ?
ふと前方へ身体を向けると、莉結と目が合った。と同時に背後からリヴィの声が届く。
『彼女がどう思うかは知らないけどね』
それから学校が終わるまで莉結とは喋る事は無かった。あからさまに避けられているとかそういう感じでは無く、お互いに何か喋り掛け辛くてタイミングが合わない、そんな感じだった。それでも下校時にはいつもの様に二人で帰るワケで…
このまま無言で帰るのは何だか嫌だったから、下駄箱で靴を手に取った莉結の背中に私は声を掛けた。
「ねぇ、もしかして怒ってる?」
莉結の動きが止まって、私に背中を向けたまま『怒ってなんかないよ』という小さな声が下駄箱に響く。
「じゃあ何で?どうしてこんなんなっちゃってるの?」
『分かんない…今日、会うんでしょ?』
「それは…勝手にごめん。だけどこのままにしてたら何か嫌なんだもん」
すると莉結がゆっくりと振り向く。俯いた顔の表情は夕陽の影に隠されてよく分からない。
『それは私もおんなじだよ。だけど…なんだろ、それが分かっちゃったら今の関係が終わっちゃうような気がして…』
その時、床に一粒の雫が落ちるのが見えた。莉結にそっと歩み寄ろうとすると、長い髪の隙間に何かが光った。
それは、顎の先に滴る涙の粒だった。
『だって瑠衣は衣瑠だもんッ、もう瑠衣じゃないもん。何であの人達は私達の邪魔をするの…』
『えっ?』
気が付くと私は莉結の身体をギュッと抱きしめていた。私の胸元から顔を上げ、私を見つめる莉結の濡れた睫毛が夕陽の茜色を映している。
そんな莉結の瞳を真っ直ぐに見つめて私は目を細め囁いた。
「ばっかじゃないの?私はずっと"ここ"に居るって。莉結が何処かに行っちゃわなきゃ私が莉結の側を離れることなんて無いよ」
莉結の腕が私の身体をギュッと締め付けると、それに応えるように私も腕にギュッと力を入れた。
そして"すぅー"っと莉結の胸元が膨らむと、『よしッ…』という吐息にも似たような声が聞こえた。
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