本日は性転ナリ。

漆湯講義

After Story…My Dearest.30

…莉結は私の気持ちを理解してくれたかの様に何も言わずに私の背中へと手を回し、そっと私の身体を包み込む。
そして莉結の頬が私の頬と重なり、柔らかな髪が私の顔を覆った。
外からは小さな虫の音がちらほらと聞こえている。遠くの方からは迷子になってしまったのか、烏の寂しげな声が聞こえる。
私たちはそんなセカイの中、お互いの体温を感じながら、静かに時を刻んだ。
暫くして耳元にそよ風の様な声が囁かれた。

『私で良かったら聞くよ?』

私はギュッと腕に力を入れ直すと「ううん、大丈夫。こうしたかっただけ」と囁き返した。
すると莉結はクスクスと笑って『何それっ。そんなんじゃ納得しないよー』と私の脇腹を摘んだ。

「ちょっ…何すんの?ホントなんだから納得してよッ」

『じゃぁあの時逃げずにこうすれば良かったじゃん』

「それは…あの時はそういうキブンじゃ無かったの!もう過ぎた事なんだから時効でしょ!」

『はいねッ、じゃぁいいよっ♪』

私は莉結のあっさりとした返答にポカンと口を開いてしまう。

「えっ?いいの?」

『うん、いい。ホントはもっと問いただすつもりだったけどさ、なんか衣瑠とこうしたらどうでも良くなっちゃった♪』

"一緒だ"って思った。私も莉結とこうしたら、なんか他の事はどうでもいいーっ!って思えちゃったもん。なんだか不思議、"モンダイ"と"コタエ"が一緒なんだもん。
私は莉結の身体ごとくるりと横に回転すると、見下ろす形になった莉結の顔を見つめて「私もッ♪」と満面の笑みを浮かべてみせた。
それに対して"ばーかッ"と言った莉結の笑顔は、私の心に鮮やかな花を咲かせた。



コメント

  • 漆湯講義

    返信遅くなってすいません(゚Д゚≡゚Д゚)
    そういうの良いですね(。^ω^。)
    たしかに今書いてる小説の主人公を別作品のサブキャラだったり通りすがりの人みたいに書いてみたいなぁとかは思ったりしますね(。>ω<。)ノ
    ミツキさんのそのアイデアもめちゃ良いと思いますよ(´,,・ω・,,`)

    私としてやってみたいと言えば、実際に存在する土地や建物を舞台にして、リアリティーのある小説は描きたいなぁなんて思ってます٩(๑•̀ω•́๑)۶
    私自身テレビとか漫画とかで自分の知ってる所が出てくるとすごく嬉しくなるタイプなのでwwwww

    0
  • 漆湯講義

    ミツキさんコメどうもです٩(๑•̀ω•́๑)۶
    "こういうの"というと具体的にはどんなことですかっ?(。>ω<。)ノ

    1
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