本日は性転ナリ。
After story...Dear Rei .11
『さてと…仕切り直し仕切り直しっ♪』
彩ちゃんの声に私達は水桶に冷たい水を汲み、掃除の準備を始めた。
『みんなホントごめん。まさかこんな所で会うなんて…』
『もっと冷静になるべきだったわね。』
『それはムリッ。何回アイツを夢の中で殺したと思ってんの?みんなが居なかったら間違いなく新聞載ったわ。』
『みんなと言うより私と莉結ちゃんでしょ?ホントに簡単に人を殺すとかそうゆうのやめてよっ。』
いや、彩ちゃんはそれ言える立場じゃないと思う、被害者ここにいるから。
『ホント稚華ちゃん1人じゃなくて良かったぁー…衣瑠ももーちょっと冷静にならなきゃだね。衣瑠は1人で生きてる訳じゃないんだよ?』
心配する莉結の顔を見てつくづく自分のした事を反省した。もう莉結が悲しむコトしちゃダメだよ、私。なんてッ♪
「ホントにごめんって!!まぁ…一件落着って事でいいよね♪」
『無理矢理だなぁー!!あははッ♪』
気を取り直し墓石を丁寧に磨き上げていく。私たちの大事な妹の"部屋"だもん。
『アレっ?稚華さんも嶺ちゃんも椙山(スギヤマ)だよね?』
掃除を始めて間もなく、墓石を見つめて莉結が頭を傾げた。彫られた文字に目をやると確かに墓石には"椙山"ではなく"月見里"と書かれている。
「ツキミサト?」
『ううん、"やまなし"。珍しいっしょ?コレね、お母さんの苗字なんだ。』
「そうなの?え、だけど…」
『うん、お母さんが私たちの苗字はそのままの方が学校とかで辛くならないだろうってそのままにしたんだ。だけど、これは嶺の願いなんだ。アイツと一緒の墓には入りたくないっしょ?』
「けど大丈夫なの?」
『苗字が違ってもってコト?それなら問題ないみたい、だから私も苗字変わる前に死んじゃったらココに入るんだ♪』
『私の苗字にならいつでも変えていいのに。』
『彩ッ!!ビックリしたなぁ、突然耳元で囁かないでよ!!』
みんなで綺麗に磨かれた墓石が夏の日差しをキラキラと反射している。その光に負けない程の笑顔を見せて莉結が空を見上げて言った。
『嶺ちゃん喜んでるかなぁー?』
『あったりまえだよ♪コレで喜んでなかったらお仕置きだなッ。』
みんなで手を合わせ、それぞれの想いを胸の中で嶺ちゃんに話した。話したいコトがたくさんありすぎて、長い間私たちに沈黙が続いた。
最後まで手を合わせ想いを伝えていた稚華さんの目に涙が溢れた事に気付いたのは私だけだったかもしれない。
墓石の前には綺麗な小さいピンク色の花がきらきらと咲き誇り、4本の白い煙が青い空へと昇り続けている。
『あーッ、お腹減ったなぁー。』
「そだねぇー、私もなんかお腹減った。」
『そりゃあんなコトすればお腹も減るさッ♪まぁ、今日はお詫びって事で私おごりますッ……』
嶺ちゃんに"またね"と言ってその場を後にし、少し歩いたところでふと私は振り返った。
死後のセカイは本当にあるのかな…
私は時々そんなコトを考える。
そして今日、その答えが少しだけわかった気がする。
きっとそれは、このセカイに遺されたヒト達が開拓した、旅立ってしまった"大切なヒト"と、唯一共に過ごすことのできるとても幸せなセカイなんじゃないか、なんて。まぁ…こんなこと莉結にも恥ずかしくて言えないけど。
『衣瑠ーっ、何やってんの?いくよーっ!!』
「ごめーん待ってー!!」
嶺ちゃんの墓前に添えられた一輪のタカネザクラ。
その花に込められた想いは私たちだけのヒミツだ。
季節は巡り、また春が来る。
その時はまたみんなでお花見をしよう。
咲き乱れる桜の中、私たちは"また逢える"。
心の中で生き続ける可愛い可愛い妹に。
彩ちゃんの声に私達は水桶に冷たい水を汲み、掃除の準備を始めた。
『みんなホントごめん。まさかこんな所で会うなんて…』
『もっと冷静になるべきだったわね。』
『それはムリッ。何回アイツを夢の中で殺したと思ってんの?みんなが居なかったら間違いなく新聞載ったわ。』
『みんなと言うより私と莉結ちゃんでしょ?ホントに簡単に人を殺すとかそうゆうのやめてよっ。』
いや、彩ちゃんはそれ言える立場じゃないと思う、被害者ここにいるから。
『ホント稚華ちゃん1人じゃなくて良かったぁー…衣瑠ももーちょっと冷静にならなきゃだね。衣瑠は1人で生きてる訳じゃないんだよ?』
心配する莉結の顔を見てつくづく自分のした事を反省した。もう莉結が悲しむコトしちゃダメだよ、私。なんてッ♪
「ホントにごめんって!!まぁ…一件落着って事でいいよね♪」
『無理矢理だなぁー!!あははッ♪』
気を取り直し墓石を丁寧に磨き上げていく。私たちの大事な妹の"部屋"だもん。
『アレっ?稚華さんも嶺ちゃんも椙山(スギヤマ)だよね?』
掃除を始めて間もなく、墓石を見つめて莉結が頭を傾げた。彫られた文字に目をやると確かに墓石には"椙山"ではなく"月見里"と書かれている。
「ツキミサト?」
『ううん、"やまなし"。珍しいっしょ?コレね、お母さんの苗字なんだ。』
「そうなの?え、だけど…」
『うん、お母さんが私たちの苗字はそのままの方が学校とかで辛くならないだろうってそのままにしたんだ。だけど、これは嶺の願いなんだ。アイツと一緒の墓には入りたくないっしょ?』
「けど大丈夫なの?」
『苗字が違ってもってコト?それなら問題ないみたい、だから私も苗字変わる前に死んじゃったらココに入るんだ♪』
『私の苗字にならいつでも変えていいのに。』
『彩ッ!!ビックリしたなぁ、突然耳元で囁かないでよ!!』
みんなで綺麗に磨かれた墓石が夏の日差しをキラキラと反射している。その光に負けない程の笑顔を見せて莉結が空を見上げて言った。
『嶺ちゃん喜んでるかなぁー?』
『あったりまえだよ♪コレで喜んでなかったらお仕置きだなッ。』
みんなで手を合わせ、それぞれの想いを胸の中で嶺ちゃんに話した。話したいコトがたくさんありすぎて、長い間私たちに沈黙が続いた。
最後まで手を合わせ想いを伝えていた稚華さんの目に涙が溢れた事に気付いたのは私だけだったかもしれない。
墓石の前には綺麗な小さいピンク色の花がきらきらと咲き誇り、4本の白い煙が青い空へと昇り続けている。
『あーッ、お腹減ったなぁー。』
「そだねぇー、私もなんかお腹減った。」
『そりゃあんなコトすればお腹も減るさッ♪まぁ、今日はお詫びって事で私おごりますッ……』
嶺ちゃんに"またね"と言ってその場を後にし、少し歩いたところでふと私は振り返った。
死後のセカイは本当にあるのかな…
私は時々そんなコトを考える。
そして今日、その答えが少しだけわかった気がする。
きっとそれは、このセカイに遺されたヒト達が開拓した、旅立ってしまった"大切なヒト"と、唯一共に過ごすことのできるとても幸せなセカイなんじゃないか、なんて。まぁ…こんなこと莉結にも恥ずかしくて言えないけど。
『衣瑠ーっ、何やってんの?いくよーっ!!』
「ごめーん待ってー!!」
嶺ちゃんの墓前に添えられた一輪のタカネザクラ。
その花に込められた想いは私たちだけのヒミツだ。
季節は巡り、また春が来る。
その時はまたみんなでお花見をしよう。
咲き乱れる桜の中、私たちは"また逢える"。
心の中で生き続ける可愛い可愛い妹に。
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コメント
漆湯講義
いつもコメント嬉しいです!!(*`-ω-)bそして…本当にありがとうございます(。TωT。)