本日は性転ナリ。

漆湯講義

179.差し込む光

レイちゃんが目覚める事なく窓から朝陽が差し込んでくる。
それは毎日変わらずにやってくる朝だ。
この素晴らしい1日の始まりを、私は当たり前だと思い込んでいた。
必ず来る朝。翌日も同じように。その翌日も1ヶ月後も…

私が産まれてからの毎日がこんなにも奇跡的で感謝すべきものだとレイちゃんに気付かせてもらった。

つまらない1日も、つまらないと思える時間がある。
辛い1日も辛いと感じることができる時間がある。
だから私は今できる事をするんだ。1分1秒をレイちゃんと共に刻み込んで。私の時間をレイちゃんと共に過ごすんだ。

時折レイちゃんは寝ながらも苦しそうに身体を捩らせた。私たちには決して見せなかった顔だ。
その度に私たちはレイちゃんの手を握り声を掛けた。

太陽が天高く昇りきろうとする頃、レイちゃんの瞼がそっと開き、その2つの瞳が私たちを見つめた。
『姉ちゃんたち…おはよ。』
ふっと微笑むその顔を見た瞬間、張り詰めていたものがプツンと千切れた。

『嶺…れいぃーッ!!』
「『レイちゃんッ…』」

『ちょっと…重いってぇ…子供みたいに泣かないの。お姉ちゃんでしょ?』

私たちの頭をぽんぽんと撫でながらレイちゃんが微笑んだ。

『あれ…そういえば学校…』

『そんなん行くわけ無いだろっ…バカッ。』

『ひどいなぁ…学校は行かなきゃダメだよ。ね?だけど…』

レイちゃんの腕が私たちを包み込んだ。
『もう少しだけだから…学校…行っちゃイヤだよ…』

『やっと素直に…なりやがって…てかもう少しなんて言うなッ。何年でもずっと側に居てあげるからッ…嶺が良くなるまで学校行かないかんね…』

『ウンっ…』

コメント

  • 漆湯講義

    Aisuさんとても嬉しいお言葉ありがとうございますm(__)m♪

    1
  • あいす/Aisu

    なんか実際に体験した話のような感じですね。 描くの上手いなぁ

    2
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