本日は性転ナリ。

漆湯講義

138.お祭り

GWに入ったばかりの"とある日"。突然、電話が鳴った。

えっと…稚華さんからだ。
「もしもし…」
『もしもーし?稚華だけど明日ヒマ??』

もの凄くいきなりだ…

「え、その前に久しぶり!…それで明日はヒマだよー♪」

女子というものは前もって予定を組まないと遊べない生き物らしいが、生憎私はそのように育ってきていない。

『りょーかい!!莉結ちゃんにも声かけていいかなぁ??』

莉結…も、たぶん大丈夫だと思う。

そして翌日、私たちは近所の公園で待ち合わせをすると、初夏のような暑い陽射しの中歩き出す。

「今日はどこ行くー??」

『レイがどーしても"凧"見たいって言うから見に行きたいかな。』

「えぇ?じゃぁ凧場行くー??」

私たちの住む地域では全国的にも少しだけ有名な祭がある。"浜松祭"だ。地元住民には熱狂的な人も多く、"祭のために1年がある!"と言う人も少なくない。

海沿いの防砂林に挟まれた広いグラウンド"凧場"で行われる凧揚げは"喧嘩凧"などと呼ばれ、毎年多くの観光客や祭に参加している人々を楽しませている。

稚華さんの影からレイちゃんがポツリと言う。『私行ったことないから…』
莉結が居るせいなのか、稚華さんの影に隠れてしまって存在感が小さい。
『私もさぁ、実は行ったことないんだ!!毎年ウチの前に屋台が通るからそれは見たりしたけどね♪レイがこんなこと言うの珍しいからさ♪』

『私も賛成ーっ♪今日はスニーカーだし日焼け対策もバッチリだから♪よろしくね、レイちゃん♪』
そう言って影に隠れるレイちゃんの目線まで腰を落として莉結が言う。

「じゃぁ早速シャトルバスで向かっちゃおー♪」









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