124.作戦？

「良かったら教えてくれない…？」

彩ちゃんは少し遠くを見つめたようにして一回深呼吸をすると少し微笑んで話してくれた。

『この歳で婚約者を決められたのよ？相手は大手建設会社の社長の息子さんだって…息子って言ってもクソジジイよ？ふふ♪笑っちゃうわ…』

「そんな…だけど、死ぬくらいならちゃんと断って…」

『そうもいかないのよ♪…この世界は面倒くさいわね。本当に。』

私には分からない"何か"があるのだろう。
だけど…人の命よりも大事なモノなんてあっちゃいけない。

結婚から逃れる方法がそれしかないなんて…

いっそ向こうが心変わりでもして断ってくれればいいのに…

「そうだ！私にいい案があるっ！！要は相手に悪い思いを与えずに諦めさせればいいんだよねっ♪」

その日は何とか説得をして"小さな劇"の延長を考えてもらい、後日"とある作戦"を行うこととなった。

作戦当日…

私たちは身なりを整え、駅に隣接する高級ホテルへとやってきた。
"婚約者"の梶島(カジシマ)さんは、ここ"ホテル・オークランド "に宿泊しているそうだ。

『こんなことで本当に諦めるかしら？まぁ…私は悪い気がしないけど…』

「いいからっ♪"前みたいに"やってよ？私も頑張るから♪」

『どうなっても知らないから。いろんな意味で。ホラっ！来たわ。』

「え？、あ！あの人？よし…頑張ろう！」

グレーのスーツ姿で現れたその男性は、ピンと伸びた背筋で細身の30代後半くらい。髪はピシッとまとめれていて見るからに仕事ができそうってカンジ…
"カジシマ"はフロントでチェックアウトの手続きをしている。

フロントから外へ出るためには必ず私たちのいるココを通る。

そこで作戦実行だ。

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