本日は性転ナリ。

漆湯講義

116.この気持ちwhat's?

『なにやってんのぉ!屋根の上になんかいると思ったら…危ないで早く部屋戻りぃ!』

心臓が止まるかと思った…

屋根の下の庭を見ると、お婆ちゃんがこちらを見上げていた。

私たちは言われるがままそそくさと部屋へと戻った。

お婆ちゃん…いつから見てたんだろ…

そればかり頭の中で考えていた。

部屋の明かりが逆光になってシルエットしか見えてないよなぁ…どうしよう…いや、別に変なことしてたわけじゃないし…

あれ…じゃぁ何をしようとしてたんだろ…


隣に座る莉結の顔色を伺う。

私から顔を背けるように俯いていてよく分からない。

とりあえず話題を変えようと莉結の肩にポンと手を乗せ、何もなかったかのように話し掛けた。

「ねぇ、なんか昔を思い出しちゃった…よ…ね?」

と、思わず動きが止まってしまう。

今までこんな莉結は見たことがなかった。

真っ赤に染め上げ下唇を少し噛んだ、なんとも言えないその表情は私から言葉を奪っていった。

そのまま私は俯き、何も喋る事なく時は過ぎていく。

20分くらいたっただろうか…
莉結は突然立ち上がり、"お風呂入ってくるね♪"と部屋を出て行ってしまった。


ジブンのこの気持ちが何なのか分からない。

その答えを教えて欲しくて、私は彩ちゃんにメッセージを送信した。


すぐに返事が来た。が、そこには"私に聞かないでよバカ!!!"の文字。

えぇ?!なんで怒ってんの?私と彩ちゃんの仲でしょー??
怒る理由もわからずに、とりあえず謝っておくことにした。
他は…

少ない連絡先をスクロールして探してみる。

あ、稚華さんに聞いてみよう!


稚華さんから返ってきた答えは"自分の胸に聞くべしーッ!!www"だった。

訳が分からないが、人に聞いても無駄みたいだ。

しばらくして莉結が部屋に戻ってくると、"いつもの莉結"に戻っていた。


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