本日は性転ナリ。

漆湯講義

99.過去の繋がり

『あ、ところで…レイは、"嶺"って書くんだけど…』

稚華さんはそう言いつつ引き出しからメモ用紙を取り出して"嶺"と書いた。

「へぇー、そうなんだ!」

それしか答えようがないけど…

『こんな名前、他ではあんまり聞かないよねぇ??』

「そ、そうかもしれないけど、どしたの??」

『あぁ…だよねぇー…ごめんね!何でもないからさっ。』

なにを言いたかったんだろう。

すると稚華さんは私の背後の本棚を指差した。

『あ!あんな所に昔のアルバムがあるなぁ!!せっかくだしさ、見る??』

っと口で言いつつも、既にアルバムを手に取り私の目の前に広げていた。



あ…

そこには見覚えのある風景が写っている。

「これ…聖英病院…?」

そこには見慣れた部屋…病室。

そうか。そういえば稚華さんも小さい頃入院してたって言ってたのはこのことか…

写真に写っているベッドの上には幼いレイちゃんの姿…その横には満面の笑みを浮かべる小さな稚華さん。

2人とも院内着…姉妹で入院してたんだ…


「これがレイちゃんで、こっちが稚華さんでしょ??2人とも可愛いね♪」

『そーだよっ♪レイ可愛いでしょぉ??てかてかなんか思い出したぁ??』

「んー…ごめん。私、本当にあの頃の記憶がすっぽり抜けちゃってるみたいでなんにも思い出せないんだよねぇ…」

するとレイちゃんが急に真剣な眼差しでこちらを見つめてきた。

そして何かを決意したかのように、眼がカッと見開いてこう言ったのだ。

『衣瑠さん。いや…如月瑠衣さん!!!ずっと…ずっと会いたかったです…』

え…いまなんて??

キサラギルイ?あぁ…私のことか…

え?どうしてこの子が??

「え……今なんて?君は…レイちゃんは…」

突然の事に理解が付いて来ていない。

そんな私にトドメを刺すように決定的な一言が突き刺さった。

『私は…私は瑠衣さんの…"被験体"なんです。』


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