二重人格のいじめられっ子が転生されたら

TORN

6話「もう一人の俺」

 そんなこんなで訓練が始まった。
 魔法をひと通り教えて貰った。
 当然魔法0の僕は端っこに待機していた。
 まぁ普段からハブられたりとかが多かったので慣れっこなんですけどね!!
 そんな自己嫌悪をしていると、訓練中なのに女子が僕によってきた。
 一ノ瀬さんだ。

「小林くん、そんなとこで座ってて退屈しないの?」
「あー、正直退屈だけど僕にはできない事だから気にしないで?」
「なんか気分を害したなら謝るわ。良かったらなんだけど私の訓練相手になってくれないかな?そっちの方が効率がいいから」
「えーとー、何すればいいのかな...?」
「私と戦うのよ?ただそれだけ」
(筋力俺……10ですよ?)

 でも助かった!
 喋るに劣化しすぎた僕だったから今後どうなるのかと思ったよ。
 僕はありがとうと告げると、無事訓練に参加することになった。


 僕と一ノ瀬さんの訓練が始まった。
 一ノ瀬さんとの訓練で僕の仕事はただ一ノ瀬さんに攻撃を仕掛けること。
 しかも周りに人はいない。
 僕は自分なりの全力で挑むことにした。
 僕は足元にあった砂を一握り掴んで目の前に投げる。
 僕なりの目くらましだ。
 いや、目くらましのつもりだった。
 けどそんなもの彼女には通用しなかった。
 受けるかのように目は開きっぱなしでこっちに向かってくる。

 マジかよ。

 僕は支給された剣で一ノ瀬さんの剣を受け止める。
 普通に力負けした。
 剣を流して後ろに退避。
 そのまま逃げに集中する。
 どうすればいっぱい食らわせられるか、そんなことを考えながら。
 だが一ノ瀬さんはお構い無しにこちらに走ってくる。
 それも僕より全然早く、島田並みではないが……。
 
「そんなんだから虐められるのよ!!」


 そう一ノ瀬さんが言い放った。
 そうだなー、まさにその通りだ。
 僕は振り返りそれと同時に剣を振りかざす。
 けどスムーズに躱されてしまい、剣を向けられる。
 
 サク!

 痛~~!!
 痛い。泣きそうなほど痛い。
 本気で切りにきやがった。
 そんなことを思い、痛みのする方に目を向ける。
 二の腕が深くさかれている。
 そして今まで経験したことのない恐怖感。
 武田たちのいじめが軽く感じられた。
 血の量が多いせいか、意識が朦朧としている。
 そんな中一ノ瀬さんが、

「強くなりたいんでしょ!」

 僕に問う。
 僕は掠れた声で、

「つ、よく……なりた...い……。
見返し、たい。そして...自分を守れるような...自分で守れるような人間に、なりたい。」

 僕は意識が遠のく中そう告げる。
 もうダメだ……。
 そう思い意識を手放した。





 目が覚める。
 どこだここは。
 目の前にいる女は誰だ?
 状況が把握出来ない。
 とりあえず身を起こす。
 すると目の前の女が、

「大丈夫!?本当にごめんなさい!小林くんのためにやってきたと思ったのに、殺しかけてしまって!!」
「俺たちは何をしていたんだ?」
「……え?それは訓練をではないですか?」
「訓練、か。訓練ならまだ終わってないじゃないか。これからが本番ってやつだろ?これで終わりなんて悲しすぎるぜぇ?」

 俺はとびっきりの笑顔で女にいう。
 とにかく体を動かしたい。
 こいつの体は久しぶりだからなー。
 それに所有権は広夢の奴のだからな。
 楽しめるうちに楽しんでおくのが吉だ!
 そう思い女の方を向く。

「本気を出してなかったのですか!私の心配を返してください!!」
「何言ってんだ?まぁいいや...。負ける気がしないからな。
相手してやるよ。あと、ハンデをやろう。俺は始めの10秒間手を出さない。自由に攻撃してこい。そのあいだに間に1発でも当てることが出来たならもう十秒追加だ。それでいいか?」
「随分舐めていますね。バカにしたこと、後悔させてあげます!!」

 そして訓練が始まった。
 俺は剣を見る。
 地面に刺さっている自分の剣を。
 引き抜き、柄にしまう。
 その間に女が迫ってきた。
 まず横ぶりの剣を、のけぞって回避。
 流れでスムーズに来た縦ぶりの剣はバック転で回避する。
 目の前にいる女は目を見開いている。
 どうしたんだ?
 疑問に思いながら、時計を見る。

 もう十秒?こいつの剣技遅すぎだろ……。

「十秒経った。ではこちらの番だ。
 剣は使わないから安心してくれ。」

 そういい僕は柄に入れたばかりの剣を柄ごと裏に投げる。

 そして手を前にかざす。
 女は警戒しているのか、こちらの様子を伺っている。

 そんな深いことしないのに……。

 そう思い、俺は手を握った。
 空気を掴むようにして。

「このエリアの俺の口5cm外、酸素濃度1」

 ただ一言、そう告げた。
 すると急に女が喉を掴んでもがき始める。
 苦しんでいるらしい。

 どうやら俺のステータス、『無限』は伊達じゃなかったな。
 
 試したかったことが終わり、能力を解く。
 ちなみに魔力は減らず、繊細なイメージだけ。
 脅しとくか...。
 そう思い、女の目の前でしゃがみ込む。
 顔を伺うと、真っ青で震えている。
 何だ?その顔は。
 吹きそうだ。
 そう思い女の髪を引っ張り上げ、無理やり目を合わせさせた。
 そしてこう告げる。

「俺の主はいじめを受けてるそうだな。今度からはお前が守れ。守れなかった場合は分かっているだろうな?俺は好きな時に好きなように来ることができない。だからこの体を守ることができない。俺はこの体を守るために存在しているようなものだからな。だから俺が来れない時はお前が守れ。約束だぞ?」
 
 そう言うと意識が一瞬で飛ぶ。
 どこかに呼び出されたかのように。
 そして広夢と入れ替わるのだった。


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