ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~
第三十七話 ギルド感謝祭
……ゴロゴロ。……ゴロゴロ。
俺は家のロビーのソファーで転がっている。最近はローザがシスターの仕事を再開して家を空けることが多くなった影響で、なかなかみんなでダンジョンに行く機会がない。そのうえ異端審問機関もヘルヘイムの情報について調査中とのことで全く招集がかからない。なので俺は今とっても暇なのだ。
「……ユート。……暇なら一緒に……行こ?」
「ユートよ、クエストに一緒に行くのである」
シルヴィアとレイチェルがそんな俺を見かねてクエストに誘ってくる。最近はこの二人と、時たまアリサを加えた三人で清掃活動のクエストに行っているみたいだ。
俺も暇だから行けないわけではないのだが、清掃活動などという面倒な仕事は極力したくない。
「……わるいけど、今日もだるいんで二人で行ってくれ」
俺は完全にニート化してしまっていた。この世界に来てからは精力的に頑張ってきたけれど、本来の俺の気質は怠惰そのものだ。一度気力の線が切れてしまうとこんなものである。
ちびっこ二人は顔を見合わせてため息をついている。……すまんな。一緒に行ってやれなくて。
――チリリィィィン。――チリリィィィン。 ――チリチリチリチリチリリィィィィン。
玄関のベルの音がけたたましく鳴り響いた。……誰だベルを鳴らしまくってるやつは。俺は起き上がって玄関まで向かい、入り口のドアを開けた。
「どなたです――」
「――ダーリン!! なんでわたくしを迎えに来ないんですの!?」
白いシスター服に金髪の髪、そして俺を勝手に婿認定している人物と言えば一人しかいない。……そこにはエリーがいた。彼女は腰に手を当てながら、前傾姿勢のポーズを取って俺の顔を睨みつけている。
「……エ、エリーか。その、ダーリンってのはよしてくれよ」
「何言ってますの? ダーリンはダーリンなんだから、そう呼ばせていただきますわよ」
俺たちのやりとりが気になったようで、シルヴィアとレイチェルが玄関のところまでやってきた。
「今ダーリンと聞こえたのだが、この者がユートの恋人であるか? ……はて? どこかで見たような気がするのである」
レイチェルは首を傾げて考え込んでいる。
「わたくしエリーと申しますわ。そしてお察しの通り、ユートの妻ですの」
「「――――!?」」
ちびっこ二人組は揃って驚きの表情を浮かべている。そして俺の右手をシルヴィアが、左手をレイチェルが引っ張って騒ぎだした。
「――いつ結婚したのであるか!? 恋人がいるというのも初耳であったがまさか結婚までしているとは! 詳しく話すのである!」
「……ユート……お姉ちゃんか……わたし……しか……結婚だめ」
「ちょっとあなたたち! わたくしの夫に気安く触らないでくださります!?」
……おいおい、これどうやって収集付ければいいんだよ。俺が慌てふためいてると、救世主が現れた。
「はいはーい、ストップストップ! 喧嘩はダメよ~」
ローザが俺たちの間に入ってこの騒ぎを止めてくれた。……なんだ、ローザも帰ってきてたのか。
「喧嘩なんてしてませんわ! わたくしの夫を誘惑するお子様にちょっと注意していただけですの」
エリーはローザに向かって抗議する。
「まあまあ落ち着いて。どうしてもっていうから連れてきてあげたけど、騒ぎを起こしたってなったら今後は教会から出ることもできなくなっちゃうわよ?」
「うっ……、それはいやですの」
ローザの説得によりエリーはようやく大人しくなった。
「ユートよ、後でちゃんと話を聞かせるのだぞ?」
これ以上話をややこしくしたくなかったので、俺は黙ってうなずいた。……あとでローザに頼んで一緒に誤解を解くとしよう。
「よし、一件落着ね! それよりも今日は大事なお知らせがあるのよ! みんなロビーに集まれー!」
まだ全然解決してないような気もするけど、ローザが止めてくれて助かったのも事実。とりあえずここは流れに身を任せよう。俺たちはロビーへと向かった。
――――――――――――――――――――
「……話ってのはなによ?」
くしゃくしゃの頭をしたアリサが階段を下りてくる。今日は一日中休むつもりだったのだろう。急に呼び出されて若干不機嫌そうだ。
「よし、みんな集まったわね。今日は教会主催のイベントのお知らせに来たのよ! これを見なさい!」
ローザは手に持っていた縦長の布切れを広げて見せた。そこには『ギルド感謝祭!!』と大きな文字で書かれている。
「……ギルド感謝祭?」
なんだろう? ギルドの催し物だろうか?
「ふふーん、何だと思う? ……実はね、ギルド対抗の運動会を開こうと思ってるの!」
……運動会? これまた突然だな。
「――そしてなんと優勝したギルドには、虹のオーブをプレゼントしちゃうわよ!」
――ガタッ! 俺は机を両手で叩いて立ち上がった。
「虹のオーブってどんな種類のオーブなんだ?」
「……ユート君には馴染み深いオーブよ。十連召喚の儀で使うものだからね」
「――なんだって!? そのギルド感謝祭ってのはいつ開催される? 参加条件は? どんな種目があるんだ?」
ローザは腕を前に伸ばし、手のひらを下に向けて上下にパタパタする。
「抑えて抑えて、そんなにいっぺんに言われても答えられないわよ」
……あ、しまった。オーブの事となると気持ちがはやってしまうのは俺の悪い癖だ。
「まあ安心しなさいな。わたしたちのギルドも出場できるわよ! 出場条件は上級冒険者が三人以上所属していることだから」
上級冒険者三人とは随分俺たちにとって都合がいいな。……ローザがあえてそのギリギリの線に設定したってことか。
「残念ながらわたしは運営の立場だから応援しかできないんだけどね。でも代わりにエリーを登録しといたから安心して参加してちょうだい!」
エリーが俺たちと一緒に……? 俺がエリーのほうを見るとウインクして反応した。
「――いいですこと? わたくしが参加するからには、優勝しか許されなくってよ! 気合入れて臨みますわよ!」
――優勝。望むところだ。俄然楽しくなってきたぜ。
俺は家のロビーのソファーで転がっている。最近はローザがシスターの仕事を再開して家を空けることが多くなった影響で、なかなかみんなでダンジョンに行く機会がない。そのうえ異端審問機関もヘルヘイムの情報について調査中とのことで全く招集がかからない。なので俺は今とっても暇なのだ。
「……ユート。……暇なら一緒に……行こ?」
「ユートよ、クエストに一緒に行くのである」
シルヴィアとレイチェルがそんな俺を見かねてクエストに誘ってくる。最近はこの二人と、時たまアリサを加えた三人で清掃活動のクエストに行っているみたいだ。
俺も暇だから行けないわけではないのだが、清掃活動などという面倒な仕事は極力したくない。
「……わるいけど、今日もだるいんで二人で行ってくれ」
俺は完全にニート化してしまっていた。この世界に来てからは精力的に頑張ってきたけれど、本来の俺の気質は怠惰そのものだ。一度気力の線が切れてしまうとこんなものである。
ちびっこ二人は顔を見合わせてため息をついている。……すまんな。一緒に行ってやれなくて。
――チリリィィィン。――チリリィィィン。 ――チリチリチリチリチリリィィィィン。
玄関のベルの音がけたたましく鳴り響いた。……誰だベルを鳴らしまくってるやつは。俺は起き上がって玄関まで向かい、入り口のドアを開けた。
「どなたです――」
「――ダーリン!! なんでわたくしを迎えに来ないんですの!?」
白いシスター服に金髪の髪、そして俺を勝手に婿認定している人物と言えば一人しかいない。……そこにはエリーがいた。彼女は腰に手を当てながら、前傾姿勢のポーズを取って俺の顔を睨みつけている。
「……エ、エリーか。その、ダーリンってのはよしてくれよ」
「何言ってますの? ダーリンはダーリンなんだから、そう呼ばせていただきますわよ」
俺たちのやりとりが気になったようで、シルヴィアとレイチェルが玄関のところまでやってきた。
「今ダーリンと聞こえたのだが、この者がユートの恋人であるか? ……はて? どこかで見たような気がするのである」
レイチェルは首を傾げて考え込んでいる。
「わたくしエリーと申しますわ。そしてお察しの通り、ユートの妻ですの」
「「――――!?」」
ちびっこ二人組は揃って驚きの表情を浮かべている。そして俺の右手をシルヴィアが、左手をレイチェルが引っ張って騒ぎだした。
「――いつ結婚したのであるか!? 恋人がいるというのも初耳であったがまさか結婚までしているとは! 詳しく話すのである!」
「……ユート……お姉ちゃんか……わたし……しか……結婚だめ」
「ちょっとあなたたち! わたくしの夫に気安く触らないでくださります!?」
……おいおい、これどうやって収集付ければいいんだよ。俺が慌てふためいてると、救世主が現れた。
「はいはーい、ストップストップ! 喧嘩はダメよ~」
ローザが俺たちの間に入ってこの騒ぎを止めてくれた。……なんだ、ローザも帰ってきてたのか。
「喧嘩なんてしてませんわ! わたくしの夫を誘惑するお子様にちょっと注意していただけですの」
エリーはローザに向かって抗議する。
「まあまあ落ち着いて。どうしてもっていうから連れてきてあげたけど、騒ぎを起こしたってなったら今後は教会から出ることもできなくなっちゃうわよ?」
「うっ……、それはいやですの」
ローザの説得によりエリーはようやく大人しくなった。
「ユートよ、後でちゃんと話を聞かせるのだぞ?」
これ以上話をややこしくしたくなかったので、俺は黙ってうなずいた。……あとでローザに頼んで一緒に誤解を解くとしよう。
「よし、一件落着ね! それよりも今日は大事なお知らせがあるのよ! みんなロビーに集まれー!」
まだ全然解決してないような気もするけど、ローザが止めてくれて助かったのも事実。とりあえずここは流れに身を任せよう。俺たちはロビーへと向かった。
――――――――――――――――――――
「……話ってのはなによ?」
くしゃくしゃの頭をしたアリサが階段を下りてくる。今日は一日中休むつもりだったのだろう。急に呼び出されて若干不機嫌そうだ。
「よし、みんな集まったわね。今日は教会主催のイベントのお知らせに来たのよ! これを見なさい!」
ローザは手に持っていた縦長の布切れを広げて見せた。そこには『ギルド感謝祭!!』と大きな文字で書かれている。
「……ギルド感謝祭?」
なんだろう? ギルドの催し物だろうか?
「ふふーん、何だと思う? ……実はね、ギルド対抗の運動会を開こうと思ってるの!」
……運動会? これまた突然だな。
「――そしてなんと優勝したギルドには、虹のオーブをプレゼントしちゃうわよ!」
――ガタッ! 俺は机を両手で叩いて立ち上がった。
「虹のオーブってどんな種類のオーブなんだ?」
「……ユート君には馴染み深いオーブよ。十連召喚の儀で使うものだからね」
「――なんだって!? そのギルド感謝祭ってのはいつ開催される? 参加条件は? どんな種目があるんだ?」
ローザは腕を前に伸ばし、手のひらを下に向けて上下にパタパタする。
「抑えて抑えて、そんなにいっぺんに言われても答えられないわよ」
……あ、しまった。オーブの事となると気持ちがはやってしまうのは俺の悪い癖だ。
「まあ安心しなさいな。わたしたちのギルドも出場できるわよ! 出場条件は上級冒険者が三人以上所属していることだから」
上級冒険者三人とは随分俺たちにとって都合がいいな。……ローザがあえてそのギリギリの線に設定したってことか。
「残念ながらわたしは運営の立場だから応援しかできないんだけどね。でも代わりにエリーを登録しといたから安心して参加してちょうだい!」
エリーが俺たちと一緒に……? 俺がエリーのほうを見るとウインクして反応した。
「――いいですこと? わたくしが参加するからには、優勝しか許されなくってよ! 気合入れて臨みますわよ!」
――優勝。望むところだ。俄然楽しくなってきたぜ。
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