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悪の組織は少女だらけでした。

北国 珠

ファンタジー世界で、メデューサ様の憂鬱と悲しみを見た気がしました。

アリス「…」

ただひたすらにぼんやりしながら、ファンタジー世界へ向かう。
今回の役柄は『悪の四天王の一人の名もない魔女』。ネスアさんとの共演である。…もっとも、ネスアさんはラスボスだけれど。

アリス「ネスアさんは…すごいなぁ。ラスボス、かぁ。美人メデューサってのもあるのかな、確かにラスボスっぽいしね」

そんなことを一人呟いた…はずだった。

ネスア「ふふ、なんにもすごくないわよ?」
アリス「ぴゃ…っ!?ネ、ネスアさん、聞いてたんですか……!!」
ネスア「ええ、最初から最後までね。」
アリス「…流石ラスボスといいますかなんといいますか…」

驚きで変な声を上げてしまったり、本音を本人に聞かれてしまったこともあり、林檎のように顔を赤くする私の頬に触れながら、ネスアさんはこう言った。

ネスア「確かに、私はよくラスボスの役をやることが多いわ。でもね、アリスちゃん。私はこのメデューサの体のせいで、ほとんどの場合で雑魚になることができないの。なれたとして…中ボスよね。」
アリス「で、でも…せっかくなら雑魚よりボスの方が…!」
ネスア「……あくまで私の自論なんだけど。

強いだけじゃダメ。どれだけ、そのキャラクターを印象づけるか。それが悪役側に大切なことだと思うの。…どんなに弱いいわゆる雑魚キャラでも、そのキャラクター性によって頭に残ることってあると思うの。

どれだけ、悪として«見る側»に印象が残るか。私は悪役として、そこが大切だと思ってるの。だから、ありきたりなラスボスより、意外性があったりする雑魚の方が…私はよっぽどいいと思うわ。

私はね、何にでもなれるあなたが正直羨ましいの。…もちろん、これは皮肉でもなんでもないわよ。」

真剣に、私を見つめているそのネスアさんの目には、私には計り知れない悲しみがあるようだった。

アリス「ネスア…課長…」
ネスア「だからネスアでいいって言ったでしょう?ほら、あなたの出番よ、行きなさい…『魔女』」
アリス「…はい、分かりました…『魔王様』っ!」

ネスアさんに見送られた後、勇者達の目の前に降臨する。そして、ストーリーの一部として倒される為に、用意されたセリフを言う。

アリス「『やっと来たのね、勇者。魔王様の所には、行かせないわよ…!』」

勇者「『俺はな、世界を救わなくちゃならないんだよ!だから…その邪魔をするなら、容赦はしないっ!!』」


_________

ネスア「お疲れ様でした。ふふ、素敵な演技だったわよ。」
アリス「お疲れ様でしたー。」
共演者にそう伝えると、足早に舞台を出る。

まだまだ、やらなくちゃいけない仕事はあるのだから。


_____

アリス「そうだ、ネスアさん」
ネスア「何かしら、アリスちゃん?ふふ、なぁに?食事のお誘いかしら?」
アリス「い、いえ…私がここに来た時…【世界線】って言葉が出てて…その意味を教えてもらいたくって。」
ネスア「…えっとね、この世には色んな世界があるの。それはもう分かるでしょう?学園モノやファンタジーモノ…その一つ一つの世界が存在するけれど、結局それは芝居に過ぎない。何故なら、本物の世界は大筋のひとつしかないから。その一つ一つの世界から、オールマイティな存在を集めたのが【DIRTY】とかって訳。」
アリス「…その、本物の世界が私達の集まるあの世界ってことですか…?」
ネスア「さぁ…それはどうでしょうね?でも…«見る側»の世界と言っておけばいいのかしら…」
アリス「さっきもありましたけどその見る側ってなんですか、さっぱり理解が出来ないんですけど」
ネスア「まぁ……私たちが言うのも野暮だけど…芝居をする演者がいて、その芝居を見る者がいる。……それしか言えないわ。私達【演者】の口からは、ね。」
アリス「…???」

謎が深まっただけのような気がする…けど、これ以上深追いしてると本当に一緒に食事しながら話さなくちゃならなそうだし、それはそれで怖いし…(ホテル的な意味で)。仕方なく私は次の仕事場へ向かう事にした。




ネスア「…アリス、あなたが望むなら、いつだって真実は分かるはずよ。だってあなたは………」
ユウ「あら、ネスアさん。次の仕事があるんじゃなかったんですか?」
ネスア「あら、ユウちゃん…ちょっとモフらせてくれる?」
ユウ「嫌です、部下にセクハラされたくありません。」
ネスア「もう…頑ななんだから…」

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