記憶のない冒険者が最後の希望になるようです

パクリ田盗作@カクヨムコン3参戦中

第45話 マトイとデート



大領主就任式は2週間後、それまでの間チャンス達はメイリュウ神社の世話になることになった。


「チャンス、デートしよう」


依頼達成報告から割り振られた部屋に戻ると、唐突にマトイがチャンスをデートに誘う。


「? いきなりどうしたの……」
「え? 船酔いした時背負ってもらったし、そのお礼?」
「なんで疑問形なの?」


マトイの唐突なデートの誘いにチャンスは戸惑う。


「まぁ、出歩いてもいいって言われたし、気分転換にはいいかな?」
「かくいう私も、フソウでは観光はしたことないから、ちょうどいいかなって?」
「そっちの方がピンと来る理由だね。じゃあ、散歩がてらに行く?」


チャンスはそう言ってマトイを散歩に誘う。


「もう、デートって言ってるのに! 男の人って可愛い女の子とデートできると嬉しいんじゃないの?」
「自分で言う……? まあ、否定しないけどさぁ」


マトイは頬を膨らませて散歩じゃなくてデートだと抗議する。
チャンスは苦笑しながらもマトイとデートできることを喜んでいると伝える。


「じゃ、行こ!」
「はいはい」


マトイは笑みを浮かべながら手を差し伸べる。チャンスは仕方ないといった感じでため息をつくとマトイの手を握って神社を出ていく。


「しかし……どう見てもフソウは時代劇の街並みに近いなあ……僕以外にも転生した人いたのかな」


フソウの街をマトイと歩くチャンス。フソウの街並みは、日本のテレビで見た時代劇の江戸の街並みに瓜二つで、チャンスは自分以外にもこの世界にトリップした人がいるのではないかと思った。


「ところでマトイは、何か目的とか計画はあるの?」
「ノープランだけど?」
「おう、いい笑顔だな」


マトイにデートのプランを聞くと屈託のない笑顔でノープランと答えるマトイ。


「チャンスの手って、思ってたより大きいね?」
「そう? 他の人と比べたことないし、マトイの手が小さいだけじゃないかな?」
「私も、あんまり比べたことはないな」


マトイはチャンスの手の大きさに気づき、お互いの握っている手を見つめる。


「あ、エヘヘヘ」
「……何? その笑いは……」


不意にお互いの手を見つめていたマトイが笑う。
手を見ながら急に微笑むマトイの姿に怪訝な表情を浮かべたチャンス。


「あのね、僕ね、こうやって、誰かと手を繋いで歩くの、生まれて初めてなんだよ!」
「……そうなんだ」
「うん!」


ぎゅーっとチャンスの手を握って話すマトイ。
何となく、チャンスの第六感が告げていた。彼女に過去を尋ねてはならない、と。
この少女の過去に何かがある、そのぐらいは気付いているが――だからどうした、としかチャンスは思わなかった。 そういう精神構造の少年だった


「結構、歩いたね?」
「途中で立ち寄った団子とか、お茶とかもおいしかったね。いいとこだね、フソウって」


目的もなくぶらぶらとフソウの街を歩くチャンスとマトイ。
チャンスはフソウの街並みを気に入り呟く。


「じゃあ、いっそのこと、ここに住んじゃう?」
「え?」


不意にマトイがフソウに住まないか提案してくる。


「食べ物も美味しいし、治安もいいし、コネもあるから、生活するのには全然困らないでしょ? 気に入ったなら、ここに住んでもいいと思うよ?」
「…………」
「エリザベートも吸血鬼の関係が終われば文句ないだろうし、チャンスが言ったら、今のシャナもうんって言うと思う。アズラエルは、言うに及ばずでしょ?」


マトイの言葉からチャンスはマー・ヘイロンの問題を解決した後のことを考える。
フソウに住む自分。そこにはエリザベート、ユイ、アズラエル、そして………


「……マトイは?」
「ん、そこで真剣に聞き返すの?」


チャンスがマトイに問いかけると、不意を打たれたようにマトイは言葉に詰まり、顔を赤くして言う。


「チャンスが一緒にいたいって言ってく―――」
「一緒に、いたいよ」


チャンスが一緒にいたいと言ったらいいよとマトイが応えきる前に、チャンスは一緒にいたいと即答する。


「……まだ、ちゃんと言ってない」
「だって、考えても答えは変わらないし?」
「……チャンスって強引だね」


マトイは顔を真っ赤にして、照れながら文句を言う。
チャンスは真顔のまま自分の答えは変わらないとマトイに伝える。


「まだ、ここに落ち着くか、別の場所に落ち着くか、旅を続けるか決まってないけど……マトいに一緒にいてほしい、それは本音だよ」
「………」


マトイは告白とも受け取れるチャンスの答えを聞いて目を見開く。


「今、フってなってストンって落ちる感じがした」
「いや、擬音で言われても……?」


マトイは自分の胸を抑えて擬音で今の気持ちをチャンスに伝える。
チャンスは擬音で感情を伝えられてリアクションに困る。


「僕もよくわからない……でも、全然不愉快な感覚でもないし……チャンスといると、何かと新鮮?」
「あのね、僕はアミューズメントパークじゃないんだからね……それよりも返事、聞かせてくれる?」


チャンスは苦笑しながらもマトイに返事を促す。


「……ん、僕はチャンスと一緒にいるよ? ずっと。チャンスといると、すっごく……うん、楽しい!!」
「ん、それは良かった」


マトイはずっとチャンスと一緒にいると答える。
チャンスは、マトイの答えを聞いてほほ笑む。


「よし、もうちょっとデートしよう!」
「はいはい、いくらでも付き合うよ?」
「……エヘヘ」


日が暮れるまでチャンとマトイのデートは続いた。

          

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