記憶のない冒険者が最後の希望になるようです

パクリ田盗作@カクヨムコン3参戦中

第38話 玉守の神社




メイリュウ神社の主、白蛇からの依頼で玉守神社で目撃される怪物討伐の依頼を受けたチャンス達が玉守神社がある村へと向かっていた。


「………」
「どうしたのチャンス? フソウに来てから様子が変だよ」


チャンスは村の家屋や畑を見て押し黙っている。
その様子に気づいたマトイがチャンスの顔を覗き込んで声をかける。


「え? あ、うん………なんとなくこんな風景を昔見たような……」
「もしかしてチャンスさんはスオウ方面の出身者ですか?」


チャンスはスオウ建築の木造住宅を見て何処かで見たような既視感に陥る。
チャンスがそのことを口にすればエリザベートは、チャンスがスオウに関係する地域の出身者なのではと推測する。


「うーん……知っているけど違うというか……この気持言葉にできない」
「まあ、依頼を解決すれば、あの白蛇さんが記憶を取り戻す魔法を使うと言ってたし、今は依頼に集中しよ」


チャンスの失われた記憶は一旦保留し、玉守の神社へと向かう。


「ここかな? メイリュウ神社と同じ赤くてでっかい門みたいなのあるし」
「あれは鳥居といって、此処から先は神様が住む場所って意味だったかな?」
「西の方なのにお詳しいんですね」


玉守の神社にたどり着くとマトイが鳥居を指差し、チャンスが無意識に鳥居について説明する。
二人の話を聞いていたのか、鳥居の近くで掃除をしていた白い服に赤い裾の長いスカートを履いた女性が声をかけてくる。
フソウ人にしては珍しいプラチナブロンドの腰までまっすぐに伸ばした髪、黒と金の虹彩異色症の瞳。そして何よりも今までチャンスが出合った女性の中で一番胸が大きかった。


「あ? もしかして……?」
「ええ、メイリュウ神社から派遣された、冒険者の方々ですね?  私はこの神社の神主、玉守霞と申します」


鈴がなるような声で挨拶をする女性、玉守霞。


「ご丁寧にどうも、冒険者のラスト・チャンスです」
「同じく、私はマト」
「私は、冒険者のエリザベートと申します」


三人は霞に自己紹介する。チャンスも男なのか失礼だと頭でわかっていても視線が霞の胸に向かってしまう。


「ふんふむ」
「あ、あの……? 僕の顔に何かついてます?」


チャンス達が挨拶すると、霞はじいっとチャンスを見つめる。
チャンスは胸を凝視したのがばれたのかと、上ずった声でごまかし、視線を逸らす。


「あらあら、ごめんなさい。随分と面白い運気をお持ちだと思いまして……癖のようなものです、お気になさらずに?」
(逆に気になりすぎるんですけど……)


霞は一人納得した顔で袖口で口元を隠して笑い、チャンスは苦笑する。


「そろそろ、依頼の内容を聞いていい?」
「ああ、そうですね、歩きながらでよろしいですか? お手伝いしてもらいたい場所へ、ご案内します」
「ですね、手早くすませましょう」


チャンスと霞の会話を聞いてなぜかムッとしたマトイは割って入るように依頼内容を聞く。霞は社へと歩き、エリザベートも後ろを続く。


「…………」
「? どうしたの? マト―――ふえ!? なんひゃお!?」

マトイが立ち止まったまま動かないことに不審に思ったチャンス。
マトイは振り向くとチャンスの両頬を引っ張って弄りまわす。
不意打ちぎみに頬を引っ張られたチャンスは悲鳴を上げる。


「鼻の下伸ばしてるチャンスが悪い」


一通りチャンスの頬を引っ張ってすっきりしたのか、マトイはそう言うと社へと向かう。


「なんなの……一体……鼻なんか伸びないよ……」


チャンスは訳が分からないといった顔でしばし呆然とし、気を取り戻して社へと向かう。


「村の近くにこんな自然が……凄い……モンスターとか、大変じゃないですか?」


境内に入ると社の周囲は森に囲まれていた。チャンスは鬱蒼と生い茂る森の自然に驚き、感嘆の声を漏らす。


「いえ、この周辺はある神具の効果で危険なモンスターは寄せ付けなかったので」
「神具?」


モンスターの侵入を心配するチャンス。霞は神具による効果で一切寄せ付けないので安全だと伝える。
マトイは聞きなれない言葉にきょとんとしながら聞き返す。


「ええ、私の先祖が手に入れ、奉納されたという勾玉です」
「それは、依頼にあった?」
「はい」


霞はエリザベートの質問に答えるように頷く。


「勾玉は周囲の環境と同調し、共振する力のあるものです。その効果を利用して勾玉を浄化することで、この周辺を清めていたのですが……」
「そのマガタマが穢れて、この周辺も穢れたと?」
「はい、勾玉に近づくほど淀んでいまして……モンスターも出現しているので、本家筋に、と」


霞は勾玉の能力を説明し、その勾玉が何らかの形で穢されて本来足を踏み入れることができないはずのモンスターが徘徊するようになったという。


「まぁ、何にせよ実際に見て、確かめないとね」
「ですね――?」


マトイが現場へ行こうと提案すると、エリザベートが上の空のような殻返事をする。


「? どうしました? エリザベートさん」
「あ、いえ、勘違いかと……では、急ぎましょう。夜が更ければ、面倒が増えますから」
「ふんふむ」


上の空な様子のエリザベートに声をかけるチャンス。
エリザベートはごまかすような仕草をして勾玉が奉納されている場所へ向かおうとする。
霞はエリザベートを見つめて意味深に呟く。


「あんまり、その『力』で人を見るのはよくない」
「ああ、すみません、つい癖で」


マトイの瞳が紫になり霞を咎める。
霞は謝罪するとエリザベートを見つめるのをやめた。


(……随分と、苦労を背負う殿方ですねー)
(……何か、同情の視線で見られている気がする)


勾玉が奉納されてる場所へと向かう途中、霞はジーっとチャンスを見つめ、チャンスはなぜ同情的な視線で見つめられるのかわからず、困惑する。



勾玉が奉納されている洞窟にブクブクに太った死人のような青白い肌のスキンヘッドの中年男性がいる。
墨で黒く染め上げた道士服。胸には太極図の刺繍がされており、袖は地面を引きずるほどに長く垂れている。
その瞳は血がそのまま眼球になったように赤黒く染まり、口から犬歯が突き出している。


「ふむ……これだけ『穢して』なお、私を『拒む』か」


黒い泥に覆われる勾玉。男はそれに手を触れようとすると、勾玉が拒絶するように電流が走り、勾玉に触れようとした男の手を焼き焦がす。


「まったく、この地に根差しすぎだ。さすがは、『神の金属』よ。条件が合えば、こうも強く世界の繋がるか」


勾玉から放たれた電流で重度の火傷の負った男の手。次の瞬間にはブクブクと泡立ち皮膚が元に戻っていく。


「とはいえ、一気に『穢せ』ばこの周辺全部吹っ飛ぶ……まったく――ん?」


男は何かに気づいたのか、洞窟の天井を見つめる。


「おや? まさか玉守の巫女か? もう気付いて、浄化にやって来たか、悪くない読みだ」


男が見つめる先は洞窟の岩肌しかないのに、男には遠くの様子が見えているのか邪悪な笑みを浮かべる。


「なら、ちょっとぐらい歓迎してやるかね」


男の袖から大量の符が舞い、地上へ向かってひとりでに飛んでいく。
符は洞窟から地上に出ると、寄り集まり巨大な人骨になっていく。




チャンス達が勾玉が奉納されている場所へ向かっていると、森に生える木よりも超巨大な人型のスケルトンが突如現れる。


「何ですか!? あれ!?」
「いえ、あれはさすがに私も初めて見ます……でも、おかしいです。あんなモノが出るほど穢れていたら、もう人が生きられるはずが」


突如現れた超巨大スケルトンに戸惑う霞。


「アレ、アンデッドじゃない。ゴーレムとも、ちょっと違う。魔法生物なのは、確かだけど」


マトイは超巨大スケルトンを見てそう伝える。


(まさか、気のせいじゃなかった? そこにいるのですか?)


エリザベートは超巨大スケルトンの姿を見て、その背後にいる存在の正体に一人気づく。


真祖吸血鬼エルダー・ヴァンパイア――マー・ヘイロン!!)




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