私はもう忘れない
病院
〜次の日の朝〜
「んじゃ、今日は何から始める?」
  カズくんが伸びをしながら問いかける。
「...どうしよっか...」
  このあと何をすればいいのかお互いわからない状態であった。
「殆どが行っちまったしなぁ〜。何か行動をやらないと記憶が戻らないのも困ったもんだな」
  空を仰ぎながら考えていた。
  すると葵はカズくんに1つ提案した。
「ねぇ、カズくんの体は今病院にあるの?」
「あ?いきなりなんだよ。」
「もし、病院にあるんだったら見に行きたい...」
  カズくんは瞬きをした。
「......なんで?」
「...何となく...」
  少しカズくんが考えていると上の方から声が聞こえた。
「やっと見つけたぞ〜」
  二人は上を見るとそこにはカズくんのと同じスーツを着ている男性が空を飛んでいた。
「...え?」
「ゲ?!?!」
  すると突然カズくんに腹パンを食らわし着地。
  ーーーえ?。
  突然のことに頭が追いつかない葵と倒れたままのカズくんに向かって、いきなり空から舞い降りてきた、(落ちた?)男性が元気の良い声を出した。
「久しぶりだな。出来損ない!」
「るせぇー!!おめぇーも人の事言えねぇーだろ!!人をなんだと思ってんだ!この眼帯野郎!!」
  よく見ると右目に眼帯を付けていた。髪の色は青色で陽の光に当たると綺麗にキラキラと光っているように見える。
「おーおー威勢はいいじゃねぇーか!」
「それはドーモ」
  カズくんは立ち上がりながら服についた砂をはらった。
「んで、何の用だよ」
「それはだな...」
  話し出そうとした時、ちょうど葵の目があった。
「こいつは誰だ?」
  葵に指を指しカズくんに聞いた。
「こいつは俺たちと同じになっちまった奴」
「俺たちとか...」
  そう言うと男性は葵をまじまじと見ていた。
「...なんですか?」
「...いや...」
  少し考えているように見えた。
「...こいつ...はっと...」
  カズくんと同じ手帳を取り出し何か見ている。
「お!やっぱりそうだ!」
「どうしたんだよ...」
「やっぱりお前は出来損ないだな。」
  「いいから教えろよ!」
  半ギレ状態でカズくんは聞いた。
「...手帳の真ん中らへんのページ開いてみ」
「範囲が広すぎだっつーの...」
  文句を言いつつも手帳を取り出し言われた通り真ん中らへんを見て探していた。
「...?!」
  カズくんはいきなり目を見開き固まっている。
「...どうしたの?」
  気になりカズくんに声をかけるが葵の声が聞こえていないのか動かない。
「やっぱり、お前は俺たちとは違ったな」
「え?」
  どういうことかわからない葵はカズくんに声をかけた。
「カズくん。どういうことなの?」
  カズくんがゆっくり目線だけ葵に向けた。
「......。」
「どうしたの?」
  不思議に思いもう1回同じ質問をした。
「...お前...体に戻れるようになったぞ」
「...え?」
  いきなりの言葉に頭が追いつかず、葵は立ち尽くしてしまった。
  二人の話によると、葵は道路に出てしまった子供を助けるために自ら飛び出した。そして事故にあってしまった。打ちどころが悪く生死を彷徨うことになってしまい魂が肉体から出てしまったらしい。だが、思っていた以上に外傷はあまりなく頭の方も順調に回復していったみたい。
「...それはカズくんは知っていたの?」
「...少しだけな...」
「そうなんだ...」
  今までのカズくんの行動には少しだけ不思議に感じたところがあった。でも、もし私みたいな人を知っていたり、どんな行動をすればいいのかを分かっていたらと思うと少しだけ納得した。
「とりあえず、こいつは体に戻れるようになった。病院に急ぐぞ」
  男性はそのまま歩き出した。
「あの...ちょっと待ってください」
「あ?」
  葵は男性の裾を掴み止めた。
「私が戻れるようになったのはわかりました。でも、カズくんはどうなるんですか??」
  男性は瞬きをしてそのまま首だけをカズくんにむけた。するといきなり笑い出した。
「お...お前...『カズくん』って呼ばれてんのか...クク...っ...」
「悪いかよ...」
「いや...クク...全然いいと思うぜ...クク...っ...ク...」
「笑いすぎだろ!!」
  二人とも仲がいいのかな...
そう思いながら葵はまた同じ質問をした。
「あの...どうなんですか?カズくんは元に戻れるんですか?」
  男性は落ち着いて涙を拭いた。
「あ...あ〜こいつな。こいつは無理だな」
「え...」
  葵がカズくんを見るとなんとも言えない顔をしていた。
「なんで...なんでカズくんはダメなんですか」
「こいつはもうこっちの世界に足を踏み入れた。もう手遅れなんだよ」
  手遅れ...
「でも、絶対に戻れないってことはないでしょ?」
「確かにな。絶対ではない」
「じゃ!」
「だが、それはごく稀の人間のみだ。」
「ごく...稀の人間...」
「そうだ。」
「その、ごく稀の人間の共通点とかはないのですか?」
  男性は少し考えたあと目線だけ葵に向けた。
「おまえ、そんなにこいつを元に戻してぇーのか?」
「うん...」
  一切の迷いなく言い切る。
「愛されてますねぇ〜?カズくん」
「キモい...ウザイ...喋るな...」
  今までにないほど不機嫌なカズくんに対して、男性は態度を変えずに話を進めた。
「まぁ〜、共通点は現実の世界でこいつを心の底から大事に思っているやつがいるかどうかじゃねぇーかな。詳しくは知らねぇーけど」
  心の底から大事に思っている人か...
「それなら、親とか友達とかいるじゃないですか。なんで、ごく稀の人間なんですか?」
「心の底から大事に思っている人はそんなにいねぇーんだよ。親でも少しぐらいは自由になりたいとか願望がある。それが少しでもあったらダメだ。それに、こいつはお前がこんな状態になる前からこっちの世界にいる。こいつのことを覚えているやつもいるかどうかわからん」
  心の...底から...
「なら、私が戻ってカズくんのことを思ってたらカズくんは戻れるの?」
「言葉がwwwwほんとにww愛されてるのなww ぐふっ!!!」
  カズくんの拳が男性のお腹を見事に直撃。今までにないほどの速さのように見えた。
  悶えならも立ち上がった。と、思ったら急に真面目な顔を葵に向けた。
「それは不可能だな」
「...え?」
  そう言ったあと「イテテ...」と、小さな声でお腹をさすっていた。俯いているため顔を確認することは出来ないが恐らく、ふざけた感じの空気ではない。
「なんで?...」
  そう聞くと、顔だけを葵に向け真剣な眼差しで言った。
「お前のこっちの記憶は消させてもらう。」
  顔はものすごく真剣なのだがお腹をさすりながらのため、真面目に話してくれているのか疑問である。が、その事について葵は何も思わなかった。それより、先程の男性の言葉が頭の中に繰り返しとなえられていたのだ
(...記憶...をなくす??)
「お前は、前世の記憶はあるか?お前が生まれてくる前の記憶とかは?」
「...ない」
「それと同じだ。」
「どういうこと...?」
「これからのお前に、今のこの記憶はいらない。もし、あったらお前の精神がどうなるか分からない」
「私は...平気だよ...忘れたくない...」
「忘れたくなくても、忘れなきゃならねぇ〜。それが、こっちの世界での『掟』だ」
(掟...)
  カズくんが黙ったまま俯いている。
「そういう訳で、お前はこれから自分の病院にいてもらう。そうすることによって少しでも早くに体に戻れるぞ。大いに喜ぶがいい!!」
  手を腰に当て、ふんぞり返りながら偉そうに言った。
「アホくさ...」
「聞こえてるからな。カズくん」
  語尾にハートがつきそうな声色で言った途端、ものすごく嫌そうな顔で男性を睨んでいた。
「怖い怖い。そういうわけだから、早く行くぞ...お??」
  なにかに気づいたのか、男性は言っている途中で言葉を止めた。
「どうした?」
  カズくんは、気になり男性に問いた。顔はこちらに向けずにボソリと答えが帰ってきた。
「あの女...どこに行った?」
「んじゃ、今日は何から始める?」
  カズくんが伸びをしながら問いかける。
「...どうしよっか...」
  このあと何をすればいいのかお互いわからない状態であった。
「殆どが行っちまったしなぁ〜。何か行動をやらないと記憶が戻らないのも困ったもんだな」
  空を仰ぎながら考えていた。
  すると葵はカズくんに1つ提案した。
「ねぇ、カズくんの体は今病院にあるの?」
「あ?いきなりなんだよ。」
「もし、病院にあるんだったら見に行きたい...」
  カズくんは瞬きをした。
「......なんで?」
「...何となく...」
  少しカズくんが考えていると上の方から声が聞こえた。
「やっと見つけたぞ〜」
  二人は上を見るとそこにはカズくんのと同じスーツを着ている男性が空を飛んでいた。
「...え?」
「ゲ?!?!」
  すると突然カズくんに腹パンを食らわし着地。
  ーーーえ?。
  突然のことに頭が追いつかない葵と倒れたままのカズくんに向かって、いきなり空から舞い降りてきた、(落ちた?)男性が元気の良い声を出した。
「久しぶりだな。出来損ない!」
「るせぇー!!おめぇーも人の事言えねぇーだろ!!人をなんだと思ってんだ!この眼帯野郎!!」
  よく見ると右目に眼帯を付けていた。髪の色は青色で陽の光に当たると綺麗にキラキラと光っているように見える。
「おーおー威勢はいいじゃねぇーか!」
「それはドーモ」
  カズくんは立ち上がりながら服についた砂をはらった。
「んで、何の用だよ」
「それはだな...」
  話し出そうとした時、ちょうど葵の目があった。
「こいつは誰だ?」
  葵に指を指しカズくんに聞いた。
「こいつは俺たちと同じになっちまった奴」
「俺たちとか...」
  そう言うと男性は葵をまじまじと見ていた。
「...なんですか?」
「...いや...」
  少し考えているように見えた。
「...こいつ...はっと...」
  カズくんと同じ手帳を取り出し何か見ている。
「お!やっぱりそうだ!」
「どうしたんだよ...」
「やっぱりお前は出来損ないだな。」
  「いいから教えろよ!」
  半ギレ状態でカズくんは聞いた。
「...手帳の真ん中らへんのページ開いてみ」
「範囲が広すぎだっつーの...」
  文句を言いつつも手帳を取り出し言われた通り真ん中らへんを見て探していた。
「...?!」
  カズくんはいきなり目を見開き固まっている。
「...どうしたの?」
  気になりカズくんに声をかけるが葵の声が聞こえていないのか動かない。
「やっぱり、お前は俺たちとは違ったな」
「え?」
  どういうことかわからない葵はカズくんに声をかけた。
「カズくん。どういうことなの?」
  カズくんがゆっくり目線だけ葵に向けた。
「......。」
「どうしたの?」
  不思議に思いもう1回同じ質問をした。
「...お前...体に戻れるようになったぞ」
「...え?」
  いきなりの言葉に頭が追いつかず、葵は立ち尽くしてしまった。
  二人の話によると、葵は道路に出てしまった子供を助けるために自ら飛び出した。そして事故にあってしまった。打ちどころが悪く生死を彷徨うことになってしまい魂が肉体から出てしまったらしい。だが、思っていた以上に外傷はあまりなく頭の方も順調に回復していったみたい。
「...それはカズくんは知っていたの?」
「...少しだけな...」
「そうなんだ...」
  今までのカズくんの行動には少しだけ不思議に感じたところがあった。でも、もし私みたいな人を知っていたり、どんな行動をすればいいのかを分かっていたらと思うと少しだけ納得した。
「とりあえず、こいつは体に戻れるようになった。病院に急ぐぞ」
  男性はそのまま歩き出した。
「あの...ちょっと待ってください」
「あ?」
  葵は男性の裾を掴み止めた。
「私が戻れるようになったのはわかりました。でも、カズくんはどうなるんですか??」
  男性は瞬きをしてそのまま首だけをカズくんにむけた。するといきなり笑い出した。
「お...お前...『カズくん』って呼ばれてんのか...クク...っ...」
「悪いかよ...」
「いや...クク...全然いいと思うぜ...クク...っ...ク...」
「笑いすぎだろ!!」
  二人とも仲がいいのかな...
そう思いながら葵はまた同じ質問をした。
「あの...どうなんですか?カズくんは元に戻れるんですか?」
  男性は落ち着いて涙を拭いた。
「あ...あ〜こいつな。こいつは無理だな」
「え...」
  葵がカズくんを見るとなんとも言えない顔をしていた。
「なんで...なんでカズくんはダメなんですか」
「こいつはもうこっちの世界に足を踏み入れた。もう手遅れなんだよ」
  手遅れ...
「でも、絶対に戻れないってことはないでしょ?」
「確かにな。絶対ではない」
「じゃ!」
「だが、それはごく稀の人間のみだ。」
「ごく...稀の人間...」
「そうだ。」
「その、ごく稀の人間の共通点とかはないのですか?」
  男性は少し考えたあと目線だけ葵に向けた。
「おまえ、そんなにこいつを元に戻してぇーのか?」
「うん...」
  一切の迷いなく言い切る。
「愛されてますねぇ〜?カズくん」
「キモい...ウザイ...喋るな...」
  今までにないほど不機嫌なカズくんに対して、男性は態度を変えずに話を進めた。
「まぁ〜、共通点は現実の世界でこいつを心の底から大事に思っているやつがいるかどうかじゃねぇーかな。詳しくは知らねぇーけど」
  心の底から大事に思っている人か...
「それなら、親とか友達とかいるじゃないですか。なんで、ごく稀の人間なんですか?」
「心の底から大事に思っている人はそんなにいねぇーんだよ。親でも少しぐらいは自由になりたいとか願望がある。それが少しでもあったらダメだ。それに、こいつはお前がこんな状態になる前からこっちの世界にいる。こいつのことを覚えているやつもいるかどうかわからん」
  心の...底から...
「なら、私が戻ってカズくんのことを思ってたらカズくんは戻れるの?」
「言葉がwwwwほんとにww愛されてるのなww ぐふっ!!!」
  カズくんの拳が男性のお腹を見事に直撃。今までにないほどの速さのように見えた。
  悶えならも立ち上がった。と、思ったら急に真面目な顔を葵に向けた。
「それは不可能だな」
「...え?」
  そう言ったあと「イテテ...」と、小さな声でお腹をさすっていた。俯いているため顔を確認することは出来ないが恐らく、ふざけた感じの空気ではない。
「なんで?...」
  そう聞くと、顔だけを葵に向け真剣な眼差しで言った。
「お前のこっちの記憶は消させてもらう。」
  顔はものすごく真剣なのだがお腹をさすりながらのため、真面目に話してくれているのか疑問である。が、その事について葵は何も思わなかった。それより、先程の男性の言葉が頭の中に繰り返しとなえられていたのだ
(...記憶...をなくす??)
「お前は、前世の記憶はあるか?お前が生まれてくる前の記憶とかは?」
「...ない」
「それと同じだ。」
「どういうこと...?」
「これからのお前に、今のこの記憶はいらない。もし、あったらお前の精神がどうなるか分からない」
「私は...平気だよ...忘れたくない...」
「忘れたくなくても、忘れなきゃならねぇ〜。それが、こっちの世界での『掟』だ」
(掟...)
  カズくんが黙ったまま俯いている。
「そういう訳で、お前はこれから自分の病院にいてもらう。そうすることによって少しでも早くに体に戻れるぞ。大いに喜ぶがいい!!」
  手を腰に当て、ふんぞり返りながら偉そうに言った。
「アホくさ...」
「聞こえてるからな。カズくん」
  語尾にハートがつきそうな声色で言った途端、ものすごく嫌そうな顔で男性を睨んでいた。
「怖い怖い。そういうわけだから、早く行くぞ...お??」
  なにかに気づいたのか、男性は言っている途中で言葉を止めた。
「どうした?」
  カズくんは、気になり男性に問いた。顔はこちらに向けずにボソリと答えが帰ってきた。
「あの女...どこに行った?」
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