死に溢れるこの世界で

時宮時空

第六話 混沌

 あ、あぁ。来てくれた。あいつが!
「誰だ貴様!動くな、撃つぞ!」
M16を構えたまま怒りをあらわにしながら叫ぶ。

「そんな物騒なものを向けられたら抵抗のしようがない。おい。やめてくれよ?俺もまだやりたいことがある。」
黒いコートにサングラス。黒のマスク黒の帽子。全身が黒の男はふざけた感じで言う。

「調子にのると痛い目を見るぞ。このようにな!」
そう言って撃とうとした瞬間、ここのクラスと反対方向のクラスから爆音が響いた。

「なっ...」
驚きのあまり銃を落とす。その瞬間を逃さず黒に身を包んだ男は突進した。
犯人は倒れ黒男に銃を取られる。すると二度目の爆音がし、同時に全学年が我先にと玄関に走り出す。ヒロトのクラスも同じで一斉にクラスから出て行く。まるでアメに群がるアリだ。
しかしヒロトは違った。その場に残ったのだ。
朝彼女のお話を持ちかけてきた友達が「おい、早く逃げるぞ!死ぬぞ!」と叫んでいる。
こういうときは人間、落ち着いてられずに真っ先に逃げようとする。冷静になれば安全なこともあるのに冷静になれず暴れ馬のごとく暴れまわる。

「冷静に考えろ!爆発が2回もおきてるんだ!まだ他にも爆弾があるんじゃないのか!かえって危険だ!」
そう叫んだが悲鳴と走る音でかき消されてしまう。

「ヒロト君。君の判断は正しい。今行くと返って危険だ。」
黒男は何もなかったのかのように落ち着いていた。犯人はいつの間にか縛り付けてあった。

「へっ...少し、早かったが、もうじき次の爆発が起こる...はぁ、はぁ。場所は......2階のどこかだ...場所まではしらねぇ...」
犯人は呼吸を荒くしながら言った。おそらく他にも犯人がいる。

「おい、どうするんだ黒男!みんなが、死ぬかもしれないんだぞ!」

「まあまあ。落ち着け。」

「落ち着いていられるか!」



 くそ!ただ見てることしかできない自分たちが腹立たしい。
 後の仕事はすべてSMUがやることなのだが見てるだけというのも胸糞悪い。

「おい、沖田。お前はこのまま見てられるか?」
囁くように言った。

「見てられませんが、今僕たちが行っても何も出来ません。なので僕たちに出来ることをやりましょう!逃げてきた人の保護とか!」

「バカが。それもSMUがやる。俺らが出来ることなんてな、交通規制とかぐらいしかねんだよっ!」

「しかしそれは交通警察がやることで僕たちの役ではありません...」

「くそっ!」
地面を蹴った。

「ぼ、僕の妹がいるのに..」

「なっ、なぜそれを早く言わない!」

「違うと思ってたんですけどまさかのです。」
沖田は相当つらいだろうな。まさか妹の高校で爆発が起きるとは思ってもいなかっただろう。
 そうしていると、3度目の爆発が起きたー


 3度目の爆発が起きた。ものすごい爆音とともに悲鳴があがり様々な感情が渦巻く混沌とした状況になった。

「手遅れか...」

「嘘だろ...」
爆発でどれだけの犠牲者が出ただろうか。そう考えただけで頭痛がする。

「いくぞ!」
黒男は全速力で教室をでる。「まて!」ヒロトは後を追いかけた。
黒男は華麗な身のこなしで次々と人ごみをすり抜けていく。
「おい、待てって!」
ヒロトは必死に走るもたくさんの人に阻まれ進めない。

「ヒロト君!私はおそらく職質される。職員室へいけ!」
怪しいって言う自覚があるなら怪しくないようにしろ!
なんていう暇は無い。職員室へ抜けて抜けて頑張って行く。
すると職員用エレベーターを使って逃げようと考えた人たちで溢れかえっていた。
職員室に入るか。そう思い入ろうとしたその瞬間。
ー何かに躓いて転んだー
「くそっ!黒男!何すればいいんだ!」
何に躓いたのか。見てみるとそこにはー
典型的な時限爆弾があった

コメント

  • 陰陽

    面白い!続きが気になる!

    1
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